星守る犬の紹介:2011年日本映画。この作品は『漫画アクション』(双葉社)の村上たかしの連載漫画を原作にした映画です。平成20年度第12回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員会推薦作品で、キャッチコピーは、「望みつづけるその先に、きっと希望があると思う。」です。タイトルの「星守る犬」とは、決して手に入らない星をずっと見続けている犬のことで、「高望みをする人」を例えていう言葉です。監督は『犯人に告ぐ』(2007年)などを手がけた瀧本智行、脚本は『守護天使』(2009年)などを手がけた橋本裕志です。
監督:瀧本智行 出演:西田敏行(おとうさん)、玉山鉄二(奥津京介)、川島海荷(川村有希)、余貴美子(旅館の女将)、温水洋一(「リサイクルショップ河童」店長・富田)、濱田マリ(富田の女房)、ほか
映画「星守る犬」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「星守る犬」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
星守る犬の予告編 動画
映画「星守る犬」解説
この解説記事には映画「星守る犬」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
星守る犬のネタバレあらすじ:プロローグ:奥津京介とクロの出会い
「9歳の夏、…両親そろってあっけなくこの世を去った。交通事後だった。僕は北国に住むおじいちゃん、おばあちゃんのもとに引き取られた。1年が過ぎた頃、今度はおばあちゃんが重い病気にかかった。図書館通いを始めたのは、この頃のことだ。現実を忘れるために、本の世界に逃げこんだんだ」と星がきらめく夜空を見ながら語る奥津京介の言葉から、この物語は始まります。京介が9歳の頃のある日、彼が部屋で本を読んでいると、ドンドンという音がするので、おばあちゃんの部屋の壁を、おじいちゃんがおばあちゃんの寝ている部屋の壁を壊していました。おじいちゃんは、おばあちゃんの為に、その壁を壊してテラスを作りました。そこからは満開のきれいなひまわり畑を見ることができました。おばあちゃんは犬好きでひまわりを見ながら天国に旅立ちました。「どんな人生も言葉にすれば図書館に並ぶ本と同じ」と京介は自分に言い聞かせました。その数日後、おじいちゃんが小さな子犬・クロを連れて帰ってきました。クロを抱くとすぐに京介の顔をなめてきました。これがクロと京介との最初の出会いでした。
星守る犬のネタバレあらすじ:京介、旅に出る
京介を育てくれた祖父母は亡くなり、愛犬・クロも亡くなり、成長した京介は、その家に1人で住んでいました。ある夏の暑い日の朝、京介はいつものように祖父の愛車・白のホルクスワーゲン(愛称:ビートル)に乗って、出勤します。その日は水曜日なので、開館前の図書館に寄って、本を返し、本を借りる日でした。京介は数冊本を借りて、北海道の名寄市役所に出勤しました。京介はその福祉総務課に勤めていました。同僚から女の子もいっぱい来るという夏のドライブツアーに行こうと誘われますが、京介は「そういう刺激は本の世界で十分ですから、僕は1人のほうが楽なんで」と言って断りました。同僚からは「奥津さんに言わせれば、どんな人生も報告書にまとめれば、図書館に並ぶ本と同じだからね」と言われました。その時、汗を拭いながら、警察官が「キャンプ場の裏手の放置車両の中から、白骨の死体で出てきた」と言って入ってきました。職員なみんな驚きました。現場に行ってみると、ドアの開いた汚い錆だらけのワゴン車1台と、その傍らに木で作った十字架の墓がありました。京介が車の運転席を覗くとフロントガラスに布製の小さな犬のマスコットが吊られていました。そのマスコットの裏には糸で「ハッ」とだけ文字が残っていました。警官によると、免許書なし、車検書なし、車体ナンバーも削られていた身元不明の50~60歳代の男性と秋田犬の遺体が発見されたそうです。その男性の遺体は死後半年でしたが、犬の遺体の方は死後まだ間もなかったそうでした。それで犬のほうは遺体を土に埋めて墓を作って弔ったそうです。男の遺体は無縁仏で処理することになりました。警官は、犬は「主人の死が理解できずに、…半年間ずっと待ってたんだろう。かわいそうに…」と言いました。京介は、吊されていた犬のマスコットを取り、犬の墓に手を合わせました。その時、風が吹き、京介の前に3枚の領収書とレシートが落ちました。京介はその夜、家でその男と犬のことを、6年前に死んだクロの犬小屋を見ながら考えました。そして、彼はその3枚の領収書を手がかりに、この亡くなった男と犬の足どりを追う旅を始める決意をし、その翌日、突然、有給休暇を出して、残された犬のマスコットを吊して、愛車・ビートル車で旅にでました。
星守る犬のネタバレあらすじ:東京、1人の少女との出会い
領収書とレシートから分かったことは、1枚目からは2010年7月20日に福島県いわき市のコンビニショップ永崎で買い物をしたことが、2枚目からは岩手県遠野市のリサイクルショップで同年7月29日に物を売っていたことが分かりました。2枚目の領収書には東京都新宿区の住所と名前「前田義男」が書いてありました。そして3枚目からは同年8月17日に北海道石狩市のレストラン「マウニの丘」で食事をしたことが分かりました。京介はまず、2枚目に書かれていた住所と名前を手がかりに、東京に行きました。東京に入りましたが、土地勘のない京介は一方通行の道を間違って入ってしまい、バックをしたとき、車の左後ろ部分を傷つけてしまいました。その時、そこのビルではオーディションが行われていました。少女たちがたくさんいました。その中の1人の少女がその様子を見ていました。彼女は車のナンバープレートを見て、「旭川」とあったので、「あっ」と思いました。京介は、2枚目に書かれていた住所に行くと、そこはYM出版社という会社でした。2人の男が出てきたので、京介は、住所と名前「前田義男」のことを訊きました。すると2人の男は、前田はこの会社の創業者で死んで30年になると答えました。男の痕跡は見つかりませんでした。車を置いていた駐車場で、京介が勤務先に「今、東京で、この後、いわき、遠野とのんびりして帰るよ」と携帯で連絡をし終えると、1人の少女が「悪い奴らに追われてるの」と言って、勝手に車に乗ってきました。京介は戸惑いながら、少女に事情を聞くと、彼女は「家まで送ってくれないかな。旭川まで。親に内緒で来たの。帰りの電車賃なくなったし」と答えました。京介は仕方なく彼女を乗せて、旭川まで送ることにしました。1人で旅をしたい京介と1人で帰りたくない少女の奇妙な旅が始まりました。
星守る犬のネタバレあらすじ:犬の名前は「ハッピー」
京介が暫く運転していると、前にサンルーフから秋田犬が顔を出しているワゴン車が止まりました。それはまるであの放置車と犬のようでした。京介はその車の跡をつけました。辿り着いたのは、海辺の旅館でした。その旅館の前に、のんびりと長椅子に座って、たばこを吸っている女性がいました。その女性はこの旅館に女将でした。女将は京介の車のフロントに吊されているマスコットをじっと見ていました。どうやら、心当たりがあるようでした。女将は、そのマスコットの男の話をしてくれました。毎年、この旅館では今頃、釣り大会の団体さんが泊まるそうで、ちょうどその時にその男は「ハッピー」という犬を連れて、無料宿泊券2枚(2人分)を持って、泊まらせてくれと来たそうです。女将は「犬は部屋に連れ込んじゃあダメと言ったのに、仏心を出したのが悪かった。犬は部屋で枕を噛んで部屋は羽毛だらけになり、最後はその男はベロベロに酔っぱらって、釣り大会の団体客が記念写真を撮るときに、その中央に犬と一緒に入って来たりして、本当に迷惑な客だった」と語りました。京介は少女とこの日はここに泊まることにしました。食堂で、女将につきあって京介がお酒を飲んでいると、少女は食事でお腹いっぱいになったのか、うとうとと眠っていました。京介は少女に部屋で寝るように言いました。少女は部屋に戻りました。少女は携帯電話を忘れていきました。携帯は開いたままでした。京介が覗いてみると「今回のオーディションは不合格」という通知メールが入っていました。
星守る犬のネタバレあらすじ:京介、コンビニショップ永崎で
その翌日、旅館を出て、京介と少女は道を走っていました。少女はどうしてあのおじさんを追ってるのかと京介に訊いてきました。京介は、まだ名前も知らなかったので、「僕は奥津京介。市役所の職員。事情は詳しく言えないけど、仕事であのおじさんのことを調べてる。…君は?」と話すと、少女は「川村有希。初めて私のこと、訊いてくれたね」と嬉しそうに答えました。暫く走っていると、海辺の道に出ました。今、京介たちが車で走っている道は、かつて、あのおじさんが走っていた道でした。あのおじさんはラジオで「三百六十五歩のマーチ」を聞き、いっしょに口ずさみながら、愛犬ハッピーを助手席に乗せ、後ろに掛け時計や百科事典などの家財道具を積んで車を走らせていました。京介たちは、1枚目のレシートの福島県いわき市のコンビニショップ永崎に着きました。京介はお店の荷物整理をしている青年に、「去年の7月20日、秋田犬を連れた中年男性がここに来たと思うんですけど」と訊くと、青年は何か思い出したようでした。2010年7月20日、あのおじさんは、秋田犬を外に待たせて、この店で犬の餌や食料を買っていました。そのときに、1人の少年があんパンを万引きしようとしているところを見つけ、辞めさせて、それを自分が買って、その少年にあげました。そして、あのおじさんは少年に「おじさんはね。君なんかが想像するよりはるかに大金持ちなんだ」と言っていました。その様子を一部始終見ていた自分は、「こんなご時勢に人助けなんか気取りやがって、お人好しというかバカっていうか…」と感じたということを、語ってくれました。その青年はこの店の店主でした。今日中にこの店を立ち退かないときで、凄く苛立っていました。海辺で、京介は、有希が「あのおじさん、旅館の女将さんは悪口ばっかり言ってたけど、あのおじさん結構いい人みたいね」と言いました。京介たちがそろそろ車でそこを離れようとしたとき、道路であの店の店主が2人を見ていたのに、気がつきました。京介が彼に一礼すると、その店主は海辺に降りてきて、「さっきは済まなかったな」と謝ってきました。店主は「あのおじさんのことを思い出すと身につまされてな」と言って語り出しました。あのおじさんは買い物のあと、万引き少年とこの海辺に来て、その少年に「何であんなにお腹すかしてたの。おじさんには訳有りに見えるんだけど、話してくれないかな…」と優しく尋ねました。すると少年は「おじいちゃんが九州にいます。…それだけ」と答えました。2人を見ていたハッピーは2人を誘うように、海に入り、あのおじさんも少年も海で一緒に泳ぎました。その後、シャワーで体を洗ったとき、少年の背中にはたくさんの痣があったのでした。少年は海辺でキャッチボールをしている親子を羨ましそうに見ていたので、店主からボールとグローブを貸して貰って、2人でキャッチボールをしました。その夜、あのおじさんは少年を自分の車に1泊させ、明日は家に帰してあげると言って眠ったのですが、翌朝起きると、少年はあのおじさんの財布を盗って、いなくなっていました。あのおじさんは落ち込みました。そして店主にあのおじさんは「悲しいのは…素直に甘えられないあの子が悲しい。人のつながりがドンドン薄くなっているからさ…」と話すと、胸を押さえて苦しみ出して、薬を飲みました。ハッピーは心配そうに見ていました。こう店主は語り終えると、「いったい、あの後、どうなったのか…人のいい奴は生きにくいご時世だからよ。…何もかも忘れて、おっさんみたいに旅で出たいが、そうもいかないよな」と京介に言いました。京介たちはその街を離れました。暫く走っていると、有希は「私、あのおじさんみたいなお父さんがよかった。逃げ出した男の子と友達になれそうな気がする」と呟きました。京介は遠野まで時間あるからと言って、有希にあんパンをあげました。
星守る犬のネタバレあらすじ:京介、リサイクルショップ河童で
京介たちは遠野に着きました。そして2枚目の領収書のリサイクルショップ河童を訪ねました。でき来たのは、2人の夫婦でした。奥さんの方は、京介が市役所の役人と聞いただけで、嫌な顔をして、奥に入っていきました。主人のほうは気のいい人で京介の質問に答えてくれました。2010年7月29日、雨の日、あのおじさんは、積んでいた家財道具を持ち込んで全部で何とか10万で買ってくれと頼みました。主人は女房のいる手前、「無茶なこと言わないでください。うち、破産してしまいます」と答えました。するとあのおじさんは「電話貸してくれませんか」と言ってきたので、電話を貸してあげると、東京の友達に電話をかけまくりました。あのおじさんはお金を全部、盗まれたので、困っていました。しかし、みんなに断られて、あのおじさんは諦めて、お店を出ていきました。ただ、犬のハッピーの具合が良くなくて、あのおじさんはまた、このお店に戻ってきました。そして、主人の案内で、ハッピーを近所の獣医さんに診てもらうと、尿道結石で手術をしました。無事、手術は終わったのですが、保険がないので治療費が大金で、あのおじさんは、主人にまた家財道具全部と腕時計を10万で買ってくれと懇願しました。夜で女房も店にいなかったので、主人は仕方なく、10万で買い取りました。その中には百科事典もありました。ハッピーが無事退院して、あのおじさんは、主人にお礼を言うと、弘前に行くと言って旅立ちました。こう語った主人は、その百科事典もあのおじさんから買い取ったものと、京介に教えました。京介がその本の奥付を見ると、東京の出版社の住所と発行者の前田義男という名前が記されていました。京介は、あのおじさんはどうやら、この奥付を見て領収書を書いたようでした。あのおじさんはハッピーと弘前に行きました。そして、ある家が見えるところに車を止めました。その家から、少女がギターを担いでバンドの練習と言って原付で出ていく姿と、それを見送るお母さんを見ました。暫くしていると、そのお母さんは自転車に乗って出ていくので、あのおじさんは、車で彼女の跡をつけました。すると彼女は「ふたば園」という福祉センターで働いていました。あのおじさんは「行かざるべきだった。なあ、ハッピー。俺はお前がいれば十分だ」と車中で呟きました。京介たちはリサイクルショップ河童の主人が教えてくれた弘前に行きました。夜、ちょうどその頃は、ねぶた祭をしているところでした。凄いと驚く有希は「あのおじさんも見たのかな。ハッピーと」と言いました。京介は、何気なく祭を見ていると、観客の中にあのおじさんとハッピーがいる幻影を見て、そこに行こうとして、有希を見失ってしまいました。有希が京介の背中をポンポンと叩いてくれたので、京介は現実に戻りました。その夜は港のフェリー乗り場の駐車場で車中泊となりました。有希は東京でオーディションに落ちたことを京介に語りました。有希は「合格したら、家を出て1人で暮らすことができたのに。…去年、新しい父さんが来たんだけど、…お酒飲むと見境無く、私のこと本気で殴ってくるの。でも、母さんは父さんにべったり、…居場所がないんだ」と言ってきました。京介は彼女の話を聞いて、「僕の両親は9歳のときに交通事故で死んだ…おじいちゃんね、僕の為に犬を連れてきたんだ。クロって名前の犬を…ボール遊びが大好きで…可愛がってたのは最初のうちだけ…ある朝、遊んでと要求するクロの顔にボールを投げつけた…クロは僕の顔をただ見つめていた…僕はひどい飼い主だった。あのおじさんとは大違いだ。…だから、あのおじさんとハッピーの行方を辿ってみたかったんだ」と自分の過去と今回の旅の動機を有希に告白しました。有希は京介を励ましました。次の日、京介たちはフェリーで北海道に渡りました。2010年8月上旬、あのおじさんもフェリーで北海道に渡りました。北海道のまっすぐな道を車で走っていると、ハッピーは車のサンルーフから顔を出して気持ちよさそうでした。そこにバイクのツーリング集団に出逢い、その1人があのおじさんに「可愛い犬ですね。じゃ、ハッピーな旅を」と言って、抜き去って行きました。ある雨の日、あのおじさんはハローワークにいました。外でたばこを吸おうとしますが、たばこがきれてなくなっていました。
星守る犬のネタバレあらすじ:京介、レストラン「マウニの丘」で
京介たちは最後のレシートの石狩市のレストラン「マウニの丘」に行きました。2人はハッピーと書かれた犬小屋を見つけました。「変な物が気になるんですね」と1人の男性が出てきました。その男性はこの海辺のレストランのオーナーでした。京介が「去年の8月17日に、秋田犬を連れた中年男性がここに来たはずなんですが」と訪ねると、オーナーは「ええ、いらしゃいました。あのハッピーという文字もあの方が書かれたものです」と教えてくれました。2010年8月17日、快晴、1台のワゴン車がこの海辺のレストランにやって来ました。あのおじさんは胸の具合が悪そうでした。テラスであのおじさんとハッピーは、食事をしました。オーナーはハッピーを可愛い犬ですねと褒めました。するとあのおじさんはオーナーに犬小屋について尋ねました。オーナーは「5年前に亡くしてしまって、飼いたいとは思っているんですが、きっかけがつかめなくて」と答えました。あのおじさんは「もうこれで最後だからな」と言って、ビーフジャーキーをハッピーにあげました。あのおじさんとハッピーは夕日が沈むまで、テラスでずっと眺めていました。その夜、レストランの勘定を済ませたあのおじさんは、オーナーにハッピーを預けようとしました。「これ以上、私と一緒にいてもこいつが苦労するだけですから」とあのおじさんはオーナーにハッピーを託して、車に乗りました。そうすると、ハッピーは吠えて、鎖をとってあのおじさんの所に行こう行こうとしていました。その姿を見て、あのおじさんは、泣きながら仕方なく、またハッピーを乗せて、出ていきました。オーナーがこう語り終えると、京介に「お客さん、市役所の方でしたね。…お亡くなりになったんじゃないんですか。ハッピーも?」と尋ねてきました。京介が頷くと、オーナーは残念そうに「そうですか…私が引き留めておけばよかった」と呟きました。有希は「どうして…奥津さん!」と訊きました。京介は有希をレストランの外に連れ出して、語りました。「1週間前、林の中からワゴン車が見つかったんだ。あのおじさんは死後半年、ハッピーは死んだ直後だったそうだ。ハッピーは死ぬまで、あのおじさんの側を離れなかったんだ。…『星守る犬』って言葉知ってるかい?…決して手に入らない星をずっと眺め続ける犬のことだ。これ、高望みする人を表す例えに使う言葉らしいよ」と有希に語りました。そして、京介は、「生きるってことは、所詮、無駄だらけなんだ。…からに閉じ籠もって生きるよりも、高望みし続ける人生の方がいいと思うよ」という祖父の最期の言葉を有希に話しました。それを聞いた有希は「奥津さん、あのおじさんとハッピーの最期の場所に連れてって」と言いました。
星守る犬のネタバレあらすじ:京介と有希、あのおじさんの最期の場所へ
京介と有希は、最期の場所に向かいました。車中、京介は「犬って臭いんだ。…洗ってやらないと、すぐ臭くなる。ただ可愛いだけの存在じゃない、人間と同じように生きて、死んでいく。そんな当たり前のことに気がついた時があってね。恐れていたんだと思う。クロを失うことを…」と有希に、自分が飼っていたクロの最期の時を涙ながらに語りました。そして、京介たちはあのおじさんが車を止めた場所に着きました。2010年夏の終わり頃、あのおじさんは車のガソリンがもう空になっているのを見て、キャンプ場の裏の草むらの奥の奥まで車を入れ、止めました。あのおじさんはキャンプ場にハッピーを連れて歩いて行きました。ゴミ収集場には、全然手のついてない食材がありました。あのおじさんは、「ここ、案外いい場所かもしれないぞ」とハッピーに話かけました。自然の中で、あのおじさんとハッピーは暮らし始めました。時々、あのおじさんは胸の苦しみを訴えました。そして、あのおじさんはハッピーと出会った頃を思い出していました。
星守る犬のネタバレあらすじ:あのおじさんの過去
かつて、自分は鉄工所で溶接の仕事をしていました。ある日、家に帰ると、娘が子犬を拾ってきました。「おとうさん、犬嫌いなの知ってるでしょ」と言いますが、娘もおかあさんも、名前はハッピーで、もう既にマスコットも作っていて、飼う気満々でした。自分はハッピーの為の犬小屋を作ってあげました。親子3人とハッピーの楽しい生活が続きました。年を重ねるごとに大きく成長するハッピーでしたが、娘はハッピーが大きくなって「ちっとも可愛くない」と言って散歩も連れて行かなくなり、代わりに自分がいつも、散歩に連れて行きました。時は去年の冬、辺り一面銀世界の中、降る雪の中、たき火を起こして、あのおじさんは財布の中の免許書や痕跡が残るレシートなどを燃やしていました。時折、吹く風で数枚のレシートが飛んでいきました。車のナンバープレートもはずしました。目がもう見えなくなってきていました。たき火を見ながら、あのおじさんはまた過去を思い出しました。ある日、おかあさんが家族旅行の話しをしてきましたが、自分は不景気でボーナスも出るかどうかわからないので、乗り気になりませんでした。するとおかあさんが、友人から人材派遣会社で一緒に働かないかと誘われていることを自分に相談してきました。自分は「お前の思ったようにすればいい」と言いました。その次の日、自分は鉄工所からリストラされてしまいました。なかなか再就職先が見つからない自分に、おかあさんは実家の父の介護に行きたいと相談します。しかし、自分はいつものように「お前の思ったようにすればいい」と言いました。その年末の夜、おかあさんはぐれ始めた娘を止めますが、自分は年賀状を書いていて、何も言わなかったので、おかあさんはキレて「私は、親の介護、家事、仕事でくたくたなのよ!おとうさん、一日中家にいるんだから、なんとかしてよ!」と自分に訴えてきましたが、自分は「女同士、仲良くやってよ」と言っただけで、おかあさんは「何を言っても無駄みたいね」と呆れ果てられました。ある日、ハッピーを連れて、ハローワークに行きましたが、途中で気分が悪くなり、病院に行って薬をもらいました。夏のある日、川原でハッピーと遊んでいると、ハッピーが商店街の福引券をくわえて持ってきました。それをもって、引くと、なんと1等賞の無料宿泊券2枚が当たりました。家に帰ると、おかあさんが指輪と離婚届を出して、「ついさっき、父が亡くなった。娘を連れて実家に帰る。…介護の仕事をしながら、暮らしたいの。…」と離婚をきりだされました。
星守る犬のネタバレあらすじ:あのおじさんとハッピーの最期
2010年冬、あのおじさんは車の中で寝ていましたが、胸が苦しくなってきました。ハッピーは車のドアを開けて、食べ物を探しに行きました。車中で1人になったあのおじさんは「恐いよ~。…死にたくないよ~」と泣きながら呟き、そして、好きな「三百六十五歩のマーチ」を呟くように歌いました。ハッピーが食べ物をくわえて車に戻ってきました。でも、あのおじさんには、もう食べる気力もありませんでした。あのおじさんは「今までありがとう。…たくさんの星の音が聞こえる」と呟き、眠るように息を引き取りました。ハッピーはあのおじさんの顔をなめました。その後、ハッピーはどこにでも行けたのに、ここに戻ってきました。洗っていないので臭くなり、ハッピーを見る人の目も変わってきました。ある日、キャンプ場にハッピーが行くと、BBQをしている家族がいました。ハッピーは家で飼われたとき、BBQをしていた風景を覚えていて、食べ物を貰えると思って近づいていきました。しかし、その家族はハッピーを野良犬と勘違いし、顔に蒔を顔に投げられて、傷を負ってしまいました。ハッピーの顔は血だらけになり、右の前脚も所に行こうとしました。ハッピーには聞こえました。あのおじさんが「よし、ハッピー、よくがんばったな、ゆっくりお休み」と言う声が。
星守る犬の結末:エピローグ:人はみな、生きてゆくかぎり、星守る犬だ
京介と有希は、現場のハッピーのお墓に手を合わせて、木の枝で作られた十字架にマスコットをかけました。有希は「なんか寂しいね」と呟くと、京介は「あのおじさんとハッピーは、ずばらしい時間を過ごしたんだ。…」と言いました。有希は意を決したように「私、帰る。もうちょっと、ふんばってみる。…ありがとうございました」と京介にお礼を言いました。京介は「感謝されたの初めてだ」と言いました。京介は、火葬場であのおじさんの遺体の骨を、同僚と骨壺に入れていました。京介は骨の一部を封筒に入れました。京介は役所に戻ると捨てられた犬を見つけました。京介はその犬を連れて、あのおじさんの骨をハッピーの墓に埋めてあげました。京介は「望んでも、望んでも、叶わないから、望み続ける。ただ、それだけでいい。人はみな、生きてゆくかぎり、星守る犬だ」思い、捨てられた犬を家に連れて帰り、飼う決心をしました。天空には星々が煌めき、目の前にはひまわり畑が広がっていました。幾日か経った日、ハッピーの墓にあのおじさんの骨を埋めた場所から一輪のひまわりが咲きました。天国であのおじさんとハッピーは、幸せそうに寄り添って、満開のひまわり畑の中で暮らしていました。
「星守る犬」感想・レビュー
-
ただただ切ない気持ちです。
どうしようも、ないほど。 -
飼ってる人、ない人泣けます。私2匹飼ってます。19ねん、と8ねんです。良い映画でした
-
亡き人から、預かっていた猫が、先日亡くなりました。まだまだ、せめて、肩身にと、そばに、いて欲しかったのに、大事にしていたつもりだったのに、やはり、寂しくなれば、猫もわかるんでしょう。慣れた頃に、それにきづいてあげれず、もっと遊んであげたら、良かったと、悔やんでました。
この映画を見て、きっと、ひまわり畑で、一緒に幸せに、天国で、亡き人の側で、にゃーが、まったりしてくれてたらいいなと、改めて思いました。側にいてくれて、ありがとうね。
泣きました。号泣という感じではないですが、とうとうと。
つい半年前に飼っていた猫が老衰で死んだので重なって切なかったです。
ペットと言う括りではなく家族だからこそ続く長い悲しみの中にまだいます。
でもこの映画を通してゆっくりでも乗り越えたらと思いました。