イントゥ・ザ・ワイルドの紹介:2007年アメリカ映画。物に溢れ、キャリア志向の社会に反旗を翻した、青年クリストファーは、一路アラスカの荒野をめざし放浪する。その果てに見つけた答えとは?
監督:ショーン・ペン 出演者:エミール・ハーシュ(クリストファー・マッカンドレス)、マーシャ・ゲイ・ハーデン(ビリー・マッカンドレス)、ウィリアム・ハート(ウォルト・マッカンドレス)、ジェナ・マローン(カリーン・マッカンドレス)、キャサリン・キーナー(ジャン・バレス)ほか
映画「イントゥ・ザ・ワイルド」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「イントゥ・ザ・ワイルド」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「イントゥ・ザ・ワイルド」解説
この解説記事には映画「イントゥ・ザ・ワイルド」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
イントゥ・ザ・ワイルドのネタバレあらすじ:アラスカへ到着した青年
ヒッチハイクでアラスカに向かう青年は、動植物の本を買いアラスカの自然の中で生活しようと試みる。ヒッチハイクで途中からは必要のみを持ち雪の中を行こうとすると運転手が長靴をくれた。赤い帽子を目印に枝に刺し、川を渡り、食べるためにリスを撃ち。あてどなく歩いていると、崖の上に生活の痕跡のある不思議なバスを見つけた。彼はそのバスの中で暮らす事にし、不思議なバスの日と日記に記した。彼は二年、精神の革命をするための旅と放浪して生きていた。署名はアレクザンダー・スーパートランプ。二年前、大学の卒業式でクリストファー・ジョンソン・マッカンドラスと呼ばれた彼は卒業式後の家族の食事会でハーバードのロースクールに行く予定だと話す。父から祝に新車をプレゼントすると言われた彼は、物は何も要らないと拒否した。彼は学資預金を寄付し、写真・IDカードをすべて燃やし旅を始めた。車で鉄砲水危険地帯に入り、寝ていると夜に鉄砲水にやられてしまう。車を棄て、ナンバープレートを外し、所持金を燃やした。アリゾナの湖のほとり、洗面所の鏡に捨てられていた口紅で新しい名前アレグザンダー・スーパートランプ書き、以後アレックスと名乗る。6月、実家に届いた成績表はほぼAだったが、7月になっても連絡がつかない彼に心配になった両親が借家を尋ねると既に立った後で、手紙は8月まで局留めにしてあり、彼の不在が知れないようになっていた。妹は、兄が大学を卒業したのは義務間で、存在の真理の探究をする旅に出たと理解した。
イントゥ・ザ・ワイルドのネタバレあらすじ:ジャンとレイニーとの出会い
トレーラーハウスをヒッチハイクし、ジャンとレイニーと名乗ったカップルにアレックスと名乗った。彼の両親は喧嘩ばかりで父親はNASAの研究者で母と会社を興すが失敗、離婚の危機があり、アレックスと妹は口を閉ざした。レイニーもジャンとうまく行っていなかったが、アレックスが間に入ることで、よりを戻した。ジャンが帽子を作ると約束をした翌朝、アレックスは二人のもとを去っていた。アリゾナで車が発見されたと連絡が入ったが。状況から、奪われたのではなく、放棄されたと判断された。バス生活三週間目。米が足りない、獲物が取れないとノートに綴る。農場で働くアレグザンダー。酒場で同僚ウェインに動物の飼いたい方法を教えてもらう。しかしウェインは違法行為から警察に連れて行かれてしまった。高校卒業後、両親が元々不倫関係であったと知ったアレックスは子供の頃の写真を燃やした。農園を去り、川に下りたい彼は許可が下りるまで無理と言われるが、違法でカヤックを買い川を下り、岸部にいるカップルにホットドッグを貰い談笑するも、パトロールが来たので逃げた。クリスマス、アレックスは家族に電話をしようか迷ったが、向かいで小銭に困っている人にあげてしまい掛けなかった。川を下りメキシコまで着たけれど、カヤックなくし、北へ戻る事にしたが身分証がなくて国境が越えられないアレックスは、国境越えの貨物列車に乗り込んだ。国境を越え列車を降り着いた町で身分証を発行してもらう事にしたが、町を歩いた彼はスーツを着た自分の姿を想像したが違和感を覚え、再び北を目指した。不思議なバスで自給自足の生活するアレックス。地図を作り、川に飛び石を作った。途中、バーガーキングでアルバイトをしていたが、靴下未着用のためクビにされた。彼がいなくなってから、両親は絶望と後悔に満ち、教会で祈った。両親は変わったけれど、兄は兄のすることをしなければと妹カリーンは思っていた。夏、ヘラジカを撃ったアレックスはウェインに教わったやり方で解体、燻製にして保存食にしようとするが、ハエがたかり蛆が湧き台無しにしてしまう。ヘラジカなんて撃たなければよかったと綴る一方で狼や鷹がヘラジカを食べた。
イントゥ・ザ・ワイルドのネタバレあらすじ:スラブスでの日々
バスでの生活の四ヶ月前、アレックスはヒッピーの集うスラブスでジャンとレイニーに再会し、そこでアルバイトの小切手が入るまでレイニーの古本屋の手伝いながら滞在する事にした。アレックスは野外ライブで歌った女の子トレイシーと救済の山へ散歩し、セメントに手形を残した。滞在中、アレックスはジャンの夫は彼女を捨て息子リノを一人で育てるうちに、レイニーに出会った、その頃十代だったリノは音信不通で、彼女はアレックスを自分の息子と重ね、両親の心配をしていた。キャンプですごすうちにアレックスはトレイシーが好意を寄せるのを感じたが若すぎるの誘われても肉体関係を持たず、代わりクリスマスライブでアンサンブルをした。新年、手紙の住所をトレイシーに渡し、ジャンから赤い帽子貰い、アレックスは北へ発った。バス生活9週間目、トルストイの家庭の幸福、読みながら幸福の概念について考えた彼は、バスを去り雪山を目指そうとした。しかし、小川だったはずの川は雪解け水で渡れない水量になっていた。雨にも降られバスに戻った彼は外に出られず、孤独や恐ろしさを感じた。
イントゥ・ザ・ワイルドの結末:フランツに見送られアラスカへ
北へ向かうアレックスは老人ロン・フランツに声を掛けられ車に乗せてもらい自分のキャンプへ。そこは、温泉のヌーディストビーチのそばで、ロンはアレックスに教育を受けるべきと諭そうとする。しかしアレックスは学歴には興味はなく、岩山に上り見せたいものと言ったもののロンは登れなかった。ロンの家で亡き妻子や皮の仕事の話を聞き、教えてもらった皮細工で旅の行程を描いたベルトを作った。アレックスはロンをケツの重い老人とたきつけ岩山を登らせた。そこでロンは北に向かうアレックスに言いようのない大きな力が存在するそれが神だと語った。中州で獲物が捕まらず空腹のあまり銃を乱射するアレックスは、食べられる草物を探し、ワイルドポテトの根を食べた。しかし体調不良を起してしまう。彼が食べたのは、よく似た植物で毒性のワイルドスイトピーで麻痺、消化不良などの症状があり、治療しないと飢餓に陥って死亡すると本に書いてあった。バス生活100日を過ぎ、衰弱した彼は、クマがやってきても彼を食べようとはしないほどだった。ある早朝ロンの寝ている間に発とうとすると、起きてきたロンはナタや釣り針、網など、役に立ちそうなものを渡し車を出した。別れ際、ロンはアレックスを養子にしたいと申し出る。アラスカから帰ったら話そうとアレックスは答えた。幸福が現実となるのはそれを誰かと分かち合った時だとトルストイの本に付け加えた彼は、衰弱してもうろくに動けず、クリストファー・ジョンソン・マッカンドレスと本名を書いたプラカードをバスに掲げ、後部座席で空を見上げ、走馬灯の中で両親の元に帰る自分を見た。二週間後、猟師が彼の遺体を見つけ、妹カリーンが遺灰を持ち帰った。未現像のフィルムを焼くと、バスの前で笑うクリスの姿だった。
イントゥ・ザ・ワイルドのレビュー・感想:正しい名前で呼ぶ。
彼は精神の革命のための旅立つに当たり、ID抹消とともに自分の本名ではなく、放浪者を意味するトランプからアレクザンダー・スーパートランプと名乗り、死ぬ間際に再び本名を名乗っている。IDをいっさい持たなかった彼が、本名の署名をしなければ、きっと遺灰が帰ることはなかっただろう。彼が死を覚悟した時、両親を許し原点回帰したように見えた。
「イントゥ・ザ・ワイルド」感想・レビュー
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実話をもとにした映画で、原作「荒野へ」を読んでから見ました。原作にかなり忠実で、原作を読んで思い浮かんだ情景をそのまま映画で見ることができて感動しました。淡々としたロードムービーのような感じですが、とにかく自然の映像美が素晴らしいです。最後のアラスカの地は本当に荒野なのですが、それでも美しいと感じます。他人から見ると羨ましい生活でも当人は生きづらかった、もっと物質的に貧しくて精神的に豊かな環境であれば違った人生だったのかなと思うと複雑な感情になりました。
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旅映画と言えば、絶対にこの映画です。ストレス社会が嫌になった時に見ます。作品の内容も素晴らしいのですが、作品中のアメリカの大自然が素晴らしいです。ラストが衝撃ですが、実話を元にしており、考えさせられる映画となっております。
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アラスカに行くならちゃんと準備をしてから行ってね。
「すべてを捨てて旅に出たい」とか、「社会に組み込まれずに生きていきたい」とか、そういう考えはきっと多くの人が一度は抱えたことのある思いかもしれないが、それを実際に実現した若者の話。アラスカの荒野でのたった一人の孤独なサバイバル生活の末に彼が最後に見つけた”Happiness is Only Real When Shared”の言葉。実話を基にした映画なだけに本当にずっしりと心に重く響きます。