ノーマ、世界を変える料理の紹介：2015年イギリス映画。デンマーク・コペンハーゲンの大人気レストラン「noma（ノーマ）」のシェフで、革新的な北欧料理を生み出し続けるレネ・レゼピに密着したドキュメンタリーです。彼のルーツや生い立ち、世界各国から集まったスタッフとの創作現場、そして「世界ベストレストラン50」への飽くなき挑戦を追っています。
監督：ピエール・デュシャン 出演者：レネ・レゼピ、ほか
映画「ノーマ、世界を変える料理」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ノーマ、世界を変える料理」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
作品紹介・キャスト
ノーマ、世界を変える料理の予告編 動画
映画「ノーマ、世界を変える料理」解説
この解説記事には映画「ノーマ、世界を変える料理」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ノーマ、世界を変える料理のネタバレあらすじ：起
2003年、デンマーク・コペンハーゲンにわずか12卓、45席の小さなレストランがオープンしました。その名は「noma（ノーマ）」。共同経営者である食の活動家、クラウス・マイヤーに招かれたのは、当時若干25歳の天才シェフ、レネ・レゼピです。かねてから北欧料理の知名度の低さ、なによりも冷凍野菜と缶詰の肉で育ったがゆえの故郷の食環境の貧しさに頭を悩ませていたマイヤーは、留学先のパリで美食の文化に触れたことを機に自国の料理を広く世界に広めようと決意、アメリカで最も予約の取れないレストランなどで修行を積んできたレゼピの才能を買って料理長として招聘することにしました。
ノーマ、世界を変える料理のネタバレあらすじ：承
「ノーマ」の建物はかつての倉庫を改修した簡素な造りで、世界各国から集まった料理人の中には堂々とタトゥーを彫っている者もいました。最初のうちは“アザラシ野郎”などと揶揄され、さすがのレゼピも心が折れかけた時期がありました。しかし、旅で訪れたグリーンランドの雄大な自然に、生まれ故郷のマケドニアでの穏やかな自給自足生活を思い出して一発奮起、北欧原産の素材に徹底的にこだわった、季節感に溢れた独創的な美しい料理を世に送り出すことを決意しました。食材の魅力を最大限に引き出すことに尽力し、若いスタッフと意見を戦わせ、食材の本来なら捨てる箇所も惜しみなく使い、更には生きたアリをソースの材料にしたり、道端のバラの花や苔すらも食材へと昇華させていきました。
ノーマ、世界を変える料理のネタバレあらすじ：転
レゼピのこだわりはやがて高く評価されることとなり、ミシュランガイドが2つ星をつけたことから国内外からも客が徐々に増えていき、やがては予約が中々取れない人気店へとのし上がっていきました。そして2010年、レゼピが32歳になった頃、「ノーマ」はミシュランをも超える権威のある「世界のベストレストラン50」で堂々の1位を獲得するに至りました。1位獲得の翌日には実に10万件もの予約が殺到、その後も2011年、2012年と3年連続で1位を獲ったことにより「ノーマ」の人気は更に揺るぎないものとなっていきましたが、あまりもの人気により高級路線を取らざるを得ず、店の内部は方向性を巡ってギクシャクするようになっていました。それでもレゼピは全ての客のために最高の料理を提供しようと奮闘していた矢先、2013年に「ノーマ」の客63人がノロウィルスによる食中毒にかかるという事件が起こってしまいました。調査の結果、店側には問題はなく食材のムール貝が原因と判明したのですが、これを機に一気に店から客が離れていき、その年のレストランランキングも2位に転落してしまいました。
ノーマ、世界を変える料理の結末
レゼピは「世界一になったら後は落ちるだけ。それがたまたま早く来ただけ」と捉え、厨房を改修したり、新たな食材の仕入れルートを開拓するなど着実に「ノーマ」の信頼を回復するための施策に乗り出しました。レゼピは語ります。一度ランキングから転落したことでかえって肩の荷が下りたこと、自分や「ノーマ」の名前や評判だけで来ていた客が去ったことで改めてシェフとしての真価が問われるということを…。そして2014年。レゼピは「世界のベストレストラン50」の表彰式に店のスタッフを連れて行きました。そして「ノーマ」は見事に1位の座に返り咲き、完全復活を果たしました。レゼピは次なる展望として、今の「ノーマ」を一旦たたみ、コペンハーゲン中心部にあるヒッピーたちの自治地区“クリスティアニア”近くの倉庫に都市農園との併設で再オープンさせる計画を明らかにしました。
料理人のドキュメンタリー映画で、これまであまり注目されなかった北欧料理に光を当て、地産地消、自然と調和を取り入れた美的センスや、斬新なアイデア料理を知ることができます。移民として異国で成功する苦労や、ミシュランでレストランを評価されてからの苦悩や、山あり谷ありの料理業界の知られざる裏側のストーリーを見ることができます。予約のとれない人気店でもあるため、デンマークのリニューアルオープンしたお店も気になるところでした。