もらとりあむタマ子の紹介:2013年日本映画。大学を卒業後、就職もせずに、実家でダラダラと過ごしている主人公の心の変化を綴ったヒューマン・ドラマ。自堕落な生活をしながらも、少しずつ変わろうとする主人公の姿を思わず応援してしまうような作品となっています。
監督:山下敦弘 出演者:前田敦子(坂井タマ子)、康すおん(坂井善次(父))、鈴木慶一(坂井啓介)、中村久美(坂井よし子)、富田靖子(曜子)、ほか
映画「もらとりあむタマ子」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「もらとりあむタマ子」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
もらとりあむタマ子の予告編 動画
映画「もらとりあむタマ子」解説
この解説記事には映画「もらとりあむタマ子」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
もらとりあむタマ子のネタバレあらすじ:起
東京の大学を卒業後、就職もせず甲府にある実家に戻ってきた坂井タマ子(前田敦子)。実家では父親と二人暮らしをしています。父親の善次(康すおん)は、スポーツ用品店を一人で切り盛りし、家事もすべてこなします。
一日中何もせず、漫画を読んだりTVを見たりと、ダラダラした日々を過ごすタマ子。そんな彼女の口癖は、「ダメだな、日本は…」です。業を煮やした善次は「就職活動をしているのか?」と尋ね、「何のために大学に行かせたと思っているのか?日本がダメなんじゃなくて、お前がダメなんだ!」と言います。しかし逆切れするタマ子。善次はため息をつき、何も言えなくなるのでした。
そして冬がきても、相変わらずゲームをするなどして何もしないタマ子。大晦日もカレンダーを張り替えるくらいで、特にすることもなくただダラダラと過ごします。
そこへ、善次の義姉がおせちを持ってやって来てくれました。実家に顔を出す予定の姉家族は夜になっても帰って来ず、今でもたまに連絡をとりあう母親からも連絡がありません。そこへ、ようやく姉家族が帰ってきて、こたつから立ち上がるタマ子。
もらとりあむタマ子のネタバレあらすじ:承
年が明けて春になり、タマ子は髪を切ってイメチェンします。家に帰って鏡の自分をじっと見つめるタマ子は、自分の部屋に行き、おもむろに履歴書を書き始めました。
夕食時にタマ子は、善次に服を買って欲しいとお願いします。ついに働く決意をしたタマ子に喜ぶ善次。
あくる日、タマ子は買ったばかりの洋服を着て写真屋の息子・仁(伊東清矢)に履歴書用の写真を撮ってもらいます。誰にも内緒だと約束させて、写真屋を後にするタマ子。
そんな時、就職活動用の時計を善次がプレゼントしてくれました。しかしタマ子はまったく嬉しそうではありません。「この時計いくらしたの?返してきて!」と、もらうことを拒否するタマ子。
ある日、タマ子の部屋を掃除していた善次は、ゴミ箱の中から履歴書を見つけます。そこには『今の自分は自分ではありません。誰かを演じているのです。そんな自分に新しい名前を付けてください。』と書いてあります。
不思議に思った善次は、タマ子の机の上にアイドル雑誌を見つけました。そこへ、写真屋の主人がやってきます。その後ろに申し訳なさそうに立っている仁。主人は仁から話は聞いたと言って、写真を置いていきました。
その夜、タマ子が就職する気などなく、芸能プロダクションに入ることを目指していたことを知った善次は、「タマ子が何かを始めようとしたことを喜ばしく思っている。」と伝えます。
しかしそんな善次のことを疎ましく感じるタマ子。それまではサラダばかり食べていたタマ子ですが、団子をやけ食いするなどして、また元の生活に逆戻りです。
もらとりあむタマ子のネタバレあらすじ:転
夏がきても変わらず、ダラダラと日々を過ごすタマ子。機嫌のよい善次をいぶかしんでいたある日、善次に再婚の話があることを知ります。義姉から紹介してもらった、アクセサリー教室で講師をしている曜子です。
焦ったタマ子は、善次に曜子の話を聞き出そうとします。しかし「そんなんじゃない…」の一点張りの善次。それでも気になったタマ子は、仁を無理矢理アクセサリー教室に忍び込ませることにしました。
曜子が美人で素敵な人だと聞いたタマ子は、ありもしない噂を善次に言いつけることにしました。すると善次から「憶測で人のことを言ってはいけない!」と叱られます。
曜子のことが好きなのだと確信したタマ子は、実際に自分でもアクセサリー教室に行ってみることにしました。他の生徒が帰った後も、優しく丁寧に教えてくれる曜子。タマ子は自分が善次の娘だと打ち明けます。
曜子は善次が優しい人だと言いますが、善次の悪口ばかりを話すタマ子。「ダメな父親だが、一番ダメなところは自分に家を出て行けと言えないところだ!」と話すタマ子に、曜子はなぜ善次が再婚をしないでいるのか分かったと話しました。
もらとりあむタマ子の結末
善次が再婚しないのは自分がいるからだと分かったタマ子は、その帰りに母親に電話をかけます。善次が再婚しそうだと訴えますが、母親はあっさりと善次の再婚話を受け入れます。母親からまずは自分の生活をちゃんとするよう促されるタマ子。
そんな中、タマ子は善次から、夏が終わったら家を出るように言われました。就職が決まっても決まらなくても家を出るよう言われたタマ子は、善次に「合格」と言って、善次が作った手料理を黙々と食べ続けました。
それからは店を手伝うようになり、家事も手伝うようになったタマ子。タマ子は仁と並んでアイスクリームを食べながら、「夏が終われば家を出ることにした。」と伝えます。しかしどこに行くかはまだ決めていません。それでも、どうにかなるだろうと考えるタマ子でした。
以上、映画「もらとりあむタマ子」のあらすじと結末でした。
「もらとりあむタマ子」感想・レビュー
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あたたかくも芯のある、心に優しく残る映画です。
前田敦子さん、だめなグータラ人間ではあるんですが、どうも憎めない。不器用で、自分の生き方にもがいてる。そして、人に優しい。ところどころ、子どもっぽくて、それもまた可愛い。
最後の、大人になった前田敦子さんが、明日への力をくれます。さわやかなラストが、明るいです。
ほのぼの系の映画だけど、飽きないし、くすっとさせられます。タマ子のように堕落したニート生活を経験したことがあるので、共感できる部分もあり。お父さんが、最後にタマ子のために「夏になったら、この家でていけ」と言うところは、まだ実家にいる自分も考えさせられました。ニート当事者が見たら少し身につまされるかもしれませんが、気楽に見られて笑える良質な日常系映画です。