くれなずめの紹介:2021年日本映画。『バイプレイヤーズ』などを手掛ける松居大悟監督が自身の実体験を基にしたオリジナル舞台劇を映画化した作品です。友人の結婚披露宴のために久しぶりに再集結した高校時代の同級生のアラサー男6人。彼らが披露宴と二次会の間に過去の記憶に思いを馳せる様を描いていきます。ウルフルズが書き下ろした主題歌「ゾウはネズミ色」は劇中で使われたヒット曲「それが答えだ!」のアンサーソングとなっています。
監督:松居大悟 出演者:成田凌(吉尾和希)、若葉竜也(明石哲也)、浜野謙太(曽川拓(ソース))、藤原季節(田島大成)、目次立樹(水島勇作(ネジ))、高良健吾(藤田欽一)、飯豊まりえ(弘美)、内田理央(曽川愛)、城田優(松岡)、前田敦子(ミキエ)ほか
映画「くれなずめ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「くれなずめ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
くれなずめの予告編 動画
映画「くれなずめ」解説
この解説記事には映画「くれなずめ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
くれなずめのネタバレあらすじ:起
ここはとある結婚式の会場。この日は友人の結婚式に出席するため、5年ぶりに6人のアラサー男が集結していました。彼らは高校時代の帰宅部仲間であり、披露宴で余興の出しものをするための打ち合わせをしていました。
劇団を主宰する舞台演出家の藤田欽一(高良健吾)、欽一の劇団に所属する舞台役者の明石哲也(若葉竜也)、6人の中では唯一の既婚者であるサラリーマンの“ソース”こと曽川拓(浜野謙太)、彼らの中では後輩にあたる会社員の田島大成(藤原季節)、6人の中では唯一地元に残ってネジ工場で働いている“ネジ”こと水島勇作(目次立樹)、そして優柔不断ながらも心優しい男、吉尾和希(成田凌)。
6人は打ち合わせが終わるとそのままカラオケへと繰り出し、「太陽族」の『誇り』を絶唱しながら盛り上がりました。そして宴もたけなわ、吉尾はふとこんな言葉を口にしました。「ずっと気になっていたんだけど、もしかして俺ってさあ…。ほら5年前。俺って、死んで…」それを聞いた仲間たちははぐらかすかのようにその場をお開きにしました。
くれなずめのネタバレあらすじ:承
そして迎えた結婚式当日。6人が用意した出しものとはかつて文化祭で披露した、ウルフルズの「それが答えだ!」にのせて赤いふんどし一丁で踊るという“赤フンダンス”でした。しかし、この一世一代のダンスも見事なまでのダダ滑りに終わり、吉尾ら6人は意気消沈したまま会場を出ました。6人は二次会が始まるまでの3時間の間、だらだらと時間をつぶすついでに過去の思い出を振り返ることにしました―――。
―――それは今から12年前のこと。高校時代、清掃委員をしていた吉尾を演劇の世界に誘ったのは明石でした。明石は学校の文化祭でコントをやろうと考えていたのです。その後、吉尾とソースは文化祭の打ち上げの場にやってきたヤンチャないじめっ子の同級生の松岡(城田優)にこっそりと仕返しをしてやったこともありました。6人はまた一緒になんかやりたいと誓い合っていました。
9年前、吉尾とネジは大成の部屋に泊まりに行き、そこで吉尾の好きな人が同級生で同じ清掃委員だったミキエ(前田敦子)だったことが明らかになりました。6人は吉尾が真面目に清掃するようミキエに叱られていたこと、落ち込んだ仲間たちを励ますために吉尾がわざとおどけてみせたことなどを思い出していきました。
6年前、吉尾は仙台で会社員として就職していました。そんな吉尾の元を欽一が訪れ、吉尾を劇団に誘いましたが、吉尾は芝居から足を洗うことを決心していました。
2年前、大成は駅のホームで偶然にもミキエと再会を果たしました。ミキエは線香を上げに来たと語りました―――。
くれなずめのネタバレあらすじ:転
―――二次会までの時間つぶし中の6人の前にミキエが現れました。ミキエは披露宴の余興は最悪だったと切り捨てると、吉尾に何でここにいるのかと迫りました。吉尾は思い切ってミキエに「ずっと好きです」と告白しました。しかし、ミキエは既に結婚しており、子供も授かっていました。そんなミキエに、吉尾は「幸せになれよ」と声をかけましたが、ミキエは「もう幸せなってるし」と食ってかかりました。欽一、明石、大成、ネジ、ソースは吉尾はこのままでは浮かばれないと感じていました―――。
―――それは5年前のこと。吉尾は欽一と明石の芝居を見るために仙台からはるばるやってきました。そこには大成、ネジ、ソースもおり、6人は久々の再会を喜び合いました。しかし、吉尾は明日仕事だからと打ち上げには参加せず、新幹線で仙台に帰ることにしました。明石は乗り遅れたら電話しろよと声をかけ、吉尾は新幹線に乗り遅れてしまいましたが、明石はその時は打ち上げの真っ最中で吉尾からの電話に気が付きませんでした。吉尾は夜行バスで帰ることにしました。これが欽一、明石、大成、ネジ、ソースが生前の吉尾と会った最後の日となりました。
2年前。ソースは妻の愛(内田理央)と買い物をしている時、吉尾の家族からのメールで吉尾が死んだことを知りました。ソースは泣き崩れました。ネジ、欽一、明石、大成の元にも同じメールが届けられていました―――。
―――5人の目の前では、吉尾は姿を消したかと思えばまた現れたりしていました。とうとう感情を抑えきれなくなった5人は吉尾ともみ合いとなり、いつしか5人は辺り一面の花が咲き乱れる天国へと来ていました。吉尾は5人に「お前ら老けたな。こっちに来てどうするんだよ。戻れよ」と告げ、5人は反発するかのように余興の練習を始めました。
くれなずめの結末
5人と吉尾はいつの間にか、あの披露宴の余興のステージに立っていました。6人は赤いふんどし姿で一生懸命に踊り、新郎新婦やミキエも彼らを笑顔で見守っていました。そして踊り終えた6人は満面の笑みを浮かべていました。
5人はいつしか、吉尾と最後に会った5年前のあの日に戻っていました。5人は次々と吉尾に声をかけ、あの日と同じように芝居の話に花を咲かせました。ただひとつ、あの日と決定的に違っていたのは、5人全員がこれが吉尾との最後の別れとなることを知っているということでした。5人は目に涙を浮かべながら吉尾に別れを告げました―――。
―――空はいつしか綺麗な夕焼けとなっていました。そろそろ二次会の時間が近づいていました。5人は沈みそうで沈まない夕陽に向かって「くれなずめ」と心の中で呟き、笑いながら二次会の会場へと歩き出していきました。
以上、映画「くれなずめ」のあらすじと結末でした。
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