人間失格 太宰治と3人の女たちの紹介:2019年日本映画。2019年7月に『Diner』が公開されたばかりの蜷川実花監督。その『Diner』にも出演していた小栗旬を主役に迎え、『斜陽』『人間失格』を執筆し入水心中に至るまでの太宰治と彼を取り巻く女たちの愛憎を描いた新作が『人間失格 太宰治と3人の女たち』だ。太宰の正妻美知子に宮沢りえ、『斜陽』のモデルで太宰の愛人静子に沢尻エリカ、太宰最後の愛人でともに心中した富栄に二階堂ふみ。三者三様の愛で太宰を癒やし、追い詰める様を、蜷川監督らしい花いっぱいの映像で艶やかに紡ぎ上げる。
監督:蜷川実花 出演:小栗旬(太宰治)、宮沢りえ(津島美知子)、沢尻エリカ(太田静子)、二階堂ふみ(山崎富栄)、成田凌(佐倉潤一)、千葉雄大(太田薫)、瀬戸康史(伊馬春部)、高良健吾(三島由紀夫)、藤原竜也(坂口安吾)、ほか
映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
人間失格 太宰治と3人の女たちの予告編 動画
映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」解説
この解説記事には映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
人間失格 太宰治と3人の女たちのネタバレあらすじ:起
女性との心中に失敗し、ひとり生き残った太宰治(小栗旬)。そんな太宰のそばでは、学生時代から太宰のファンだった編集者の佐倉潤一(成田凌)がいろいろと世話を焼いています。
ある日、家族と住む太宰のもとに、彼のファンである太田静子(沢尻エリカ)がやってきます。良家の子女だった静子は一度結婚に失敗し、今は大きな屋敷にひとりで住んでいます。せっせと“恋文”のやりとりをしていたふたりは、とうとう伊豆の静子の家で結ばれます。
太宰の狙いは、静子が書きためていた日記を読み、自分の作品のヒントにすることでした。しかし静子は純粋に太宰を愛し、赤ちゃんがほしいと言います。
一晩で帰るつもりだった太宰は滞在をのばし、静子と何度も愛し合います。そして東京に戻った太宰は行きつけの店で飲みながら、「人間は、恋と革命のために生まれてきたんだ」と得意げに、静子の書いた言葉を自分の考えのように披露するのでした。
そんな太宰に惹かれてしまったのが山崎富栄(二階堂ふみ)です。咲きほこる白い藤の花の下で太宰にキスされた富栄は、走って家に帰り、亡き夫の遺影の前で罪悪感に苛まれるのでした。
人間失格 太宰治と3人の女たちのネタバレあらすじ:承
自宅に帰った太宰。家では妻と子どもたちが眠っています。太宰は、わざとらしく大声を出し、まるで子どものように妻の美知子(宮沢りえ)が起きてくるように振る舞います。起きてきた美知子は、かいがいしく太宰のために働くのでした。
静子の家では、妊娠した静子を弟の薫(千葉雄大)が責めています。子どもができたと告げてから音沙汰のない太宰に会うため、静子と薫は太宰行きつけの店へとやってきました。困った太宰は佐倉になんとかしろと言いつけ、できなければ原稿が書けないと脅します。そんな中、店には富栄もやってきます。静子たちが気になった富栄が佐倉にたずねると、「斜陽の人です」という返事が。同じ男を愛している静子と富栄の間には妙な空気が流れます。酔っ払った佐倉は暴言を吐き、その後静子は自分の考えを、皆に聞こえるよう大声で語り、太宰は苦笑いするしかありませんでした。
しかし、懲りない太宰は、今度は富栄と深い仲になってしまいます。伊豆では静子が女の子を出産し、自宅では美知子がいつもどおり太宰の面倒を見ています。
太宰は文学界の重鎮たちとの座談会に呼ばれましたが、作品をけなされ、それどころか読んでももらえず、バーで坂口安吾(藤原竜也)相手にグチっています。坂口は、(斜陽は)「女の日記を使っただろ?」と見抜き、それを活かしきれなかったのはお前の力量不足だと指摘します。自分の体を切り開いてみせなければ傑作は書けない、という坂口は言うのでした。
人間失格 太宰治と3人の女たちのネタバレあらすじ:転
そんなある日、富栄の部屋で過ごす太宰のもとに、佐倉が静子の弟薫を連れてやってきます。子どもが生まれたという報告でした。太宰は、自分の名前から漢字をとって“治子”と命名しました。太宰と静子の間に子どもがいるという事実を初めて知った富栄は半狂乱になり、死のうとします。太宰は、絶対に一人で死ぬな、と富栄をなだめ、富栄は自分も赤ちゃんがほしいと言い出します。
佐倉はそんな太宰を軽蔑するようになり、その気持ちを口に出してしまったため太宰に近づけなくなってしまいます。佐倉は太宰に、以前企画していた『人間失格』を書くべきだ、と言います。酒、女、薬、自殺…まさに太宰にぴったりの題材を、今こそ書くべきだ、と。
太宰は祭りの夜、情緒不安定の富栄を追って路地で抱きしめます。その現場を妻子が見てしまい、妻美知子は「お父さん、お仕事だから」と娘の手をひいて逃げるように立ち去ってしまいます。美知子はショックを受けますが、傑作を書くため、と自分を納得させようとします。もっとすごいものが書ける!と太宰にはっぱをかける美知子。
太宰は薬物を大量に摂取し、医者を呼ぶ事態に。あまりの状態の悪さに医者もお手上げです。
体調は悪いのに、富栄は赤ちゃんほしさに太宰に迫ります。それを拒もうものなら死んでしまうかもしれない…太宰の心と体は疲弊していました。
編集者に囲まれた宴会では、途中に三島由紀夫(高良健吾)が乱入して大騒ぎに。咳き込んだ太宰が吐血したため周囲の人たちは引いてしまいました。皆が太宰の寿命やスキャンダルばかり話題にするなか、純粋に作品に期待しているのはやはり佐倉なのでした。
人間失格 太宰治と3人の女たちの結末
静子は、『斜陽』に自分の名前も載せてほしいと言い出しました。一方自宅には、税金の滞納により巨額の支払いが迫っており、太宰は途方に暮れてしまいます。
ある日、太宰は自宅で佐倉にエッセイを書き取らせています。美知子が赤ん坊を連れてでかけているので、家には二人の子がいますが、なんとそこに富栄がやってきました。驚く佐倉を尻目に、うれしそうに家事をこなしていく富栄。
しばらくして美知子が帰宅すると、部屋がきれいに片付いています。「おねえちゃんがお仕事でお片付けしてくれた」と長女に聞かされ、美知子の中で何かがプツッと切れてしまいました。
美知子は太宰を拒絶し、雪の中太宰は家を出ていきます。血を吐いて倒れ、もはやこれまでか、と覚悟したそのとき、富栄がその体を抱き起こしました。
書き終わったらいっしょに死のうと富栄と約束して、太宰は『人間失格』を書き始めます。書いて、書いて、書いて、ようやく出来上がった原稿のそばには、妻美知子への手紙が添えられていました。そこには、「お前を誰よりも愛していました」と記されていました。
太宰自身は富栄に乞われるままに、失敗しないようにしっかりとお互いを結びつけ、入水自殺を果たしました。
自宅前に集まった記者に対して、美知子は何事もなかったかのように、今日も洗濯物を干すのでした。
以上、映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」のあらすじと結末でした。
「人間失格 太宰治と3人の女たち」感想・レビュー
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蜷川実花監督の演出する華やかさと、小栗旬を取り巻く女性達の醸し出す艶やかさに魅了されました。小栗旬さんの圧倒的な色気があってこそですが、沢尻エリカさんや二階堂ふみさんとのシーンが美しくてずっと見続けたくて「入水しないでくれ」と思ってしまいました。また、妻美知子(宮沢りえさん)の凛として夫を待つ姿に涙しました。ストーリー性もある映画になっています。
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まるで舞台のような、蜷川実花監督の独特の世界観を感じる演出に引き付けられ、終始退屈せずに見続けられます。主演の小栗旬さんですが、男性から見ても素敵です。こんなにかっこよく、色気もありる俳優さんだなんて、今まで思っていませんでした。それでいて、太宰の落ちていく姿、その暗い部分も見事に演じています。3人の女優さんも魅力的で、二階堂ふみさんとのシーンは、脳裏に永久保存させたいくらいです。あと、実花監督。バーのシーンでちょっと出演してましたね。そーゆー所もちょっと好きです。
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蜷川実花監督の映像はとても色鮮やかで気に入ったシーンを切り取って額に入れて飾りたくらいセンスがよくとても素敵でした。実はそれが楽しみで見始めたのですが映画の内容もとても興味深いものでした。どこまでノンフィクションで太宰治自身を表現し作られた作品か分かりませんが、でも一人の作家を小栗旬さんが色っぽくセクシーに演じておられていたのが素敵でした。
とても面白かったです。太宰の小栗旬さんの色っぽさには、正直参りました。こんな男性が目の前にいたら、、好きになりますよね~。3人の女性のキャスティングも大正解ですね。これ以上はないほど、ピッタリだと思いました。女性に支えられながらも、破滅的な人生を歩んだ太宰、これはこれで幸せな人生ですね。もう一度、この映画を観たいです。そして人間失格の本も、もう一度読んでみようと思いました。