止められるか、俺たちをの紹介:2018年日本映画。2012年に他界した映画監督の若松孝二が遺した「若松プロダクション」の再始動第1弾として制作された伝記映画です。1960~70年代、新しいジャンルの映画作りに情熱を燃やした若松幸二と仲間たちの情熱の日々を、実在した女性助監督・吉積めぐみの視点から描きます。監督は若松プロ出身の白石和彌が、脚本は同じく若松プロ出身の井上淳一が手掛け、若松孝二役の井浦新を始め過去の若松作品に出演していた俳優陣が参加しています。
監督:白石和彌 出演者:門脇麦(吉積めぐみ)、井浦新(若松孝二)、山本浩司(足立正生)、岡部尚(沖島勲)、大西信満(大和屋竺)、タモト清嵐(秋山道男)、毎熊克哉(小水一男)、伊島空(高間賢治)、外山将平(福間健二)、藤原季節(荒井晴彦)、上川周作(斎藤博)、柴田鷹雄(磯貝一)、西本竜樹(伊東英男)、満島真之介(ミキサー助手福ちゃん)、渋川清彦(松田政男)、音尾琢真(赤塚不二夫)、高岡蒼佑(大島渚)、高良健吾(吉澤健)、奥田瑛二(葛井欣士郎)、寺島しのぶ(前田のママ)、吉澤健(カプリコンマスター)ほか
映画「止められるか、俺たちを」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「止められるか、俺たちを」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「止められるか、俺たちを」の予告編 動画
映画「止められるか、俺たちを」解説
この解説記事には映画「止められるか、俺たちを」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「止められるか、俺たちを」のネタバレあらすじ:起
1969年3月。助監督志望の若い女性・吉積めぐみ(門脇麦)は、知り合いの“オバケ”こと秋山道男(タモト清嵐)を通じて若松プロダクションの門を叩きました。ピンク映画の女優と助監督を探していた映画監督・若松孝二(井浦新)はめぐみの入門を認め、3年頑張れば監督をさせてやると約束しました。
それからというもの、めぐみは若松にしごかれながらも助監督として、時にはヘルプで役者として出演したりと目まぐるしい日々を送りました。やがてめぐみが初参加したピンク映画『処女ゲバゲバ』が完成、上々の滑り出しを切っためぐみは若松に誘われて新宿ゴールデン街に飲みに行き、若松の「俺は映画界も、クソみたいな世界も全部ぶっ壊したいんだよ」という燃え滾る熱意を目の当たりにしました。
若松は友人でその時既に売れっ子漫画家だった赤塚不二夫(音尾琢真)や映画界の巨匠・大島渚(高岡蒼佑)たちと映画や表現の自由について熱く語り合い、そのエネルギーに圧倒されためぐみは、つい秋山に「撮りたいものも興味があるものもない」と愚痴をこぼしました。
「止められるか、俺たちを」のネタバレあらすじ:承
若松プロの事務所に当時大学生の福間健二(外山将平)と高間賢治(伊島空)が上がり込んできました。若松と足立正生監督(山本浩司)は監督志望の福間と撮影志望の高間に指導を与え、めぐみは高間を「そのうちなれるから」と励ましました。
そんなある日、秋山がデザインした、監督・足立、脚本・福間による『女学生ゲリラ』のポスターが都条例に抵触してしまい、やむなく擦り直さざるを得ませんでした。若松は資金を得るために手っ取り早く売れるポルノ映画製作に乗り出していきました。ある夜、足立と二人で飲んでいためぐみは、足立を誘うも軽くあしらわれてしまいます。
1970年に入り、秋山が、“ガイラ”こと助監督の小水一男(毎熊克哉)が相次いで若松プロを去り、めぐみはチーフ助監督へと昇進を果たしました。そんなある日、めぐみは高間と旅館で一夜を共にしました。
ある日、チーフ助監督としての初作品『秘花』の試写会に雑誌編集者で脚本家の荒井晴彦(藤原季節)が現れ、足立と組んで映画を作ることになりました。めぐみは足立の恋人・篠原美枝子(中澤梓佐)と意気投合、同居を始めました。
「止められるか、俺たちを」のネタバレあらすじ:転
若松は足立や荒井、めぐみらに、連れ込み旅館で流す30分程度の短編ポルノ映画を撮ろうと提案してきました。めぐみは徹夜で脚本を書き上げましたがどうしても思い通りの仕上がりにならず落ち込んでしまいます。
1971年5月。カンヌ映画祭に招待された若松と足立はその帰りに、テレビ局に素材として売るためにイスラエルと戦っているパレスチナのゲリラの様子を撮ろうと考えました。しかし、ゲリラたちはヨルダンの攻撃で壊滅してしまい、若松たちは計画を変更してパレスチナのゲリラを題材にした映画『赤軍-PFLP 世界戦争宣言』の構想を打ち立てました。上映は一般的な映画館ではなく、バスをスクリーンにして全国巡業するという前代未聞の構想です。その頃、めぐみは高間の子を身籠っていました。
「止められるか、俺たちを」の結末
めぐみは若松プロを去った先輩助監督の大和屋竺(大西信満)に協力を求めましたが、太和屋はその時既に「ルパン三世」の脚本を手掛けており手一杯でした。ある日、めぐみは高間に、1年前に彼と寝た理由を語りました。それはただ単に父親に似ていたからという素っ気ないものでした。その頃、映画館で足立が監督した『噴出祈願 十五歳の売春婦』を観ていためぐみは、登場人物の「子供を堕ろすことは負けることになるんだから」と言う台詞に思わず涙を流しました。
1971年9月。めぐみは自宅でウイスキーと睡眠薬を飲むと、実家の母に「久しぶりに声聞きたくなっただけ。ママ大好き」と電話をかけました。これがめぐみの生涯最期の会話となりました。めぐみの死を知った若松は深く衝撃を受け、高間はめぐみが妊娠6ヶ月であったことを知って呆然と立ち尽くしました。
1971年9月30日、若松プロは完成した『赤軍-PFLP 世界戦争宣言』を引っ提げて全国巡業の旅に出ようとしていました。事務所にはめぐみの写真が飾られており、若松は「バカたれ…」と呟きながら、次回作の構想を電話でプロデューサーに語り始めました。
以上、映画「止められるか、俺たちを」のあらすじと結末でした。
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