空白の紹介:2021年日本映画。万引き未遂事件を起こして逃走した女子中学生が交通事故で死亡。中学生の父親は彼女の身の潔白を証明しようと、娘が万引きしたとされるスーパーの店長をはじめとした関係者を相手取っていくうちに暴走していく姿を描いた作品です。2010年公開の『台風一家』以来7年ぶりの主演となる古田新太が主人公の父親を演じます。
監督:田恵輔 出演者:古田新太(添田充)、松坂桃李(青柳直人)、田畑智子(松本翔子)、藤原季節(野木龍馬)、趣里(今井若菜)、伊東蒼(添田花音)、片岡礼子(中山緑)、寺島しのぶ(草加部麻子)ほか
映画「空白」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「空白」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
空白の予告編 動画
映画「空白」解説
この解説記事には映画「空白」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
空白のネタバレあらすじ:起
添田充(古田新太)は、とある港町で漁師をしている中年男です。気性の激しい乱暴者の充は妻の翔子(田畑智子)とは離婚しており、今では中学生になる一人娘の花音(伊東蒼)と二人暮らしをしていました。
この町でも悪評の充は花音にも辛く当たり、翔子がこっそり渡してくれた携帯電話も「お前に携帯なんてまだ早い」と投げ捨ててしまいました。充の弟子である野木龍馬(藤原季節)は、充には内心不満を抱いていましたが、それでも仕方なくついていくしかありませんでした。
充は花音の学校に乗り込み、担任の今井若葉(趣里)に教育がなっていないと怒鳴り散らしました。今井はまたいつものことかと心の奥底で思いながら平謝りしました。今井は優等生ながらも存在の薄い花音のことを快く思っていませんでした。
そんなある日、花音は地元の小さなスーパーマーケット「スーパーアオヤギ」で商品のマニキュアを手にし、そのままカバンに入れようとしました。その様子を店長の青柳直人(松坂桃李)に目撃された花音は、すぐさまその場から逃げ出しましたが、追いかけた青柳の目の前で道路に飛び出した花音は軽自動車に撥ねられてしまいました。
それでも何とか起き上がろうとした花音でしたが、今度はタンプカーに轢かれて即死してしまいました。
空白のネタバレあらすじ:承
充は花音の遺体と対面し、号泣しました。充は娘が万引きの疑いをかけられた末に二度も車に轢かれたことに激しい怒りを募らせていきました。充の怒りの矛先は、花音の万引きを咎めようとした青柳に向けられました。
マスコミは花音の一件を面白おかしく報じ、青柳は花音が万引き未遂をしたとはいえ執拗に追いかけ回したのではないかと責め立てました。青柳は花音の葬式に訪れましたが、充は青柳を見るなりいきなり胸ぐらを掴み、「俺の娘が万引きなんてするはずない。てめぇがイタズラ目的で裏に連れ込もうとしたんじゃねぇか?」と何癖をつけました。
充からもマスコミからも追い立てられた青柳は、真摯に花音を追い立てたことを謝罪しましたが、マスコミはそんな二人のやりとりを面白おかしく報じていきました。
充が次に怒りの矛先としたのが学校側でした。充は普段化粧などしない花音がなぜ化粧品を万引きしようとしたのか考え、もしかしたらクラスの誰かから脅されていたのではないかと思いました。
充は学校に乗り込み、今井を始め学校側に執拗に噛みつきましたが、学校側からすれば地元でも悪評高い充はただのモンスターペアレントにしか映りませんでした。生徒側も花音は普段から全く存在感がなく、彼女がいじめを受けていたという情報は何一つ入ってきませんでした。
空白のネタバレあらすじ:転
学校側は一応花音に関する調査を始めましたが、それでも全く納得できない充は直接生徒たちから事情を聞くと言い出しました。困り果てた学校側は、青柳が過去に痴漢の疑いがある男だったと事実無根の嘘の情報を流してしまいました。
青柳はきっぱりと否定しましたが、マスコミの報道は余計に加熱していき、遂にはスーパーの客足も減り、従業員も次々と辞めていってしまいました。
それでも充は度々スーパーを訪れ、様々な圧力とプレッシャーをかけていきました。ネットでも青柳に対する誹謗中傷が絶えず、しまいには青柳の家族にまで嫌がらせが相次ぐようになっていきました。
ある日、帰宅しようとした青柳は後ろをつけてきた充に「もうやめてください」と土下座しましたが、充は「土下座なんて誰でもできるんだよ!」と怒鳴り、青柳を花音が事故に遭った現場まで引きずっていきました。
精神的に追い詰められた青柳は思わず車の走る車道に飛び出そうとしましたが、充は「自殺するなら人に迷惑かけないようにしろ!」と止めました。
スーパーに残ってくれた従業員は青柳は何一つ悪くないと励まし、スーパーや青柳の悪評を取り払うべく動き出しましたが、それは余計に青柳を追い詰めることでしかありませんでした。青柳はとうとうスーパーを畳む決断をし、発作的に自殺未遂まで起こしてしまいました。
空白の結末
そんなある日、充は最初に花音を撥ねた軽自動車を運転していた女性の母・中山緑(片岡礼子)から電話を受け取りました。女性は何度も充のもとに謝罪に出向いていたのですが、充はいつも青柳や学校を責め立てるために出かけており、直接会う機会はありませんでした。
女性は自責の念に駆られて自殺しており、緑は充に「娘の心が弱かったから死んでしまった。母親の責任です」と謝罪しました。
このことをきっかけに、充の心境にも少しずつ変化が生じてきました。花音は生前は美術部に所属しており、充は花音の形見である油絵セットを取り出しました。充は野木をモデルに絵を描いてみましたが上手くいかず、空に浮かぶ“イルカ”の絵を描いてみました。
そんなある時、充は花音の遺品の中から化粧品を見つけました。やはり花音は万引きをしていたのです。充は意を決し、今はスーパーを畳んで道路交通整理の仕事をしている青柳の元へと向かいました。充は謝罪しようとする青柳を制し、花音が万引きをしていたことを認めたうえで今度はこちらがきちんと謝罪したいと冷静に申し出ました。
休憩時間の間、青柳のもとにスーパーのかつての常連客が訪ねてきました。常連客は青柳に励ましの言葉をかけ、青柳は涙を流しながら深々と頭を下げました。
充のもとに今井が訪れ、花音が生前描いた絵を持ってきました。充は花音が描いた、空に浮かぶ3頭の“イルカ”の絵を見て思わず目を見開きました。その“イルカ”は花音、翔子、そして充を表現したものでした。充の目からは大粒の涙が溢れ出ていました。
以上、映画「空白」のあらすじと結末でした。
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