007は二度死ぬの紹介:1967年イギリス作品。スパイ映画の金字塔『007』シリーズ第5作にして初代ジェームズ・ボンドのショーン・コネリー出演5作目です。本作はシリーズの生みの親イアン・フレミングの長編小説第11作『You Only Live Twice』を原作としながらもストーリーは大幅に改変されており、東西冷戦真っ只中の日本を舞台に米ソの全面戦争を阻止するため動くボンドの闘いを描いています。
監督:ルイス・ギルバート 出演者:ショーン・コネリー(ジェームズ・ボンド)、丹波哲郎(タイガー田中)、若林映子(アキ)、浜美枝(キッシー鈴木)、ドナルド・プレザンス(アーネスト・スタヴロ・ブロフェルド)、カリン・ドール(ヘルガ・ブラント)、チャールズ・グレイ(ディッコ・ヘンダーソン)、バート・クォーク(スペクターNo.3)、アレクサンダー・ノックス(アメリカ大統領)、ツァイ・チン(リン)、バーナード・リー(M)、デスモンド・リュウェリン(Q)、ロイス・マクスウェル(マネーペニー)ほか
映画「007は二度死ぬ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「007は二度死ぬ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「007は二度死ぬ」解説
この解説記事には映画「007は二度死ぬ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
007は二度死ぬのネタバレあらすじ:起
アメリカの人工衛星“ジュピター”が正体不明の未確認飛行物体に捕らえられるという前代未聞の事件が発生しました。アメリカはソ連の行動を疑い、両国は一触即発の状態に陥りました。しかし、英国の秘密情報部MI6はこの飛行物体が日本周辺で離着陸しているとの情報を得ており、真偽を確かめるため諜報員ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)を日本に送り込むことにしました。
敵の目を欺くため、一旦当時まだ英国の植民地だった香港に立ち寄ったボンドは、立ち寄った売春宿で殺し屋からマシンガンで撃たれて“殺害”されました。その後、ボンドは英国の軍艦から水葬として海中に放り込まれ、MI6が派遣した潜水艦に回収されました。
死を偽装していたボンドは上司M(バーナード・リー)の秘書マネーペニー(ロイス・マクスウェル)に迎えられ、10日後に迫ったアメリカの衛星“ジェミニ”の打ち上げまでに飛行物体の正体を突き止め、米ソ全面戦争を回避するよう命じられました。
007は二度死ぬのネタバレあらすじ:承
日本に密入国したボンドは、横綱・佐田の山(本人)の手引きにより東京・蔵前国技館で諜報員のアキ(若林映子)と接触、協力者である在日オーストラリア人のディッコ・ヘンダーソン(チャールズ・グレイ)から日本の公安トップであるタイガー田中(丹波哲郎)と会うよう指示を受けました。しかし、その直後にヘンダーソンは大企業「大里化学工業」が差し向けた殺し屋に暗殺されてしまい、会社に潜入したボンドは金庫から謎の飛行物体につながる手掛かりの書類を奪い、アキの手引きで田中と対面しました。
アキと心を通わせ合ったボンドはビジネスマンに成りすまして大里化学工業の東京本社に乗り込み、大里社長(島田テル)や秘書ヘルガ・ブラント(カリン・ドール)と面会しますが、大里はヘルガにボンド抹殺を命じました。ボンドはアキの助けで難を逃れ、これまでの調査結果から神戸港に停泊する大里化学工業所有の貨物船が怪しいと睨み、現地に向かうも罠に嵌って捕えられてしまいます。
007は二度死ぬのネタバレあらすじ:転
何とか脱出したボンドは、日本に呼び寄せた秘密兵器担当のQ(デスモンド・リュウェリン)から小型ヘリコプター“リトル・ネリー”を供給され、異変が続く日本南端の“マツ島”を調査したところを数機のヘリに襲われ、交戦となりました。何とか撃破したボンドでしたが、折しもソ連が打ち上げたロケットが謎のロケットに飲み込まれてしまい、これにより米ソの間はより一層悪化していきました。
謎のロケットはマツ島の火山を偽装した秘密基地に着陸しました。すべての黒幕は国際的犯罪組織“スペクター”のボス、アーネスト・スタヴロ・ブロフェルド(ドナルド・プレザンス)であり、ブロフェルドはボンド抹殺に失敗したヘルガを処刑すると大里に再びボンド抹殺を命じました。
ボンドは田中の協力のもと姫路城で武術の訓練に励み、田中はボンドを日本人漁師に変装させてマツ島に送り込む作戦を立てますが、アキは敵が放った毒グモによって殺害されてしまいます。ボンドは田中の部下であるマツ島の海女のキッシー鈴木(浜美枝)と偽装結婚してマツ島に乗り込み、島の火山の火口付近を調べ始めました。
007は二度死ぬの結末
ボンドとキッシーは火山付近の火口湖の表面が金属であることに気付き、そこが秘密基地への入り口であることを突き止めました。ボンドはキャシーに田中へ連絡させ、自らは秘密基地に乗り込んで行方不明になっていた宇宙飛行士たちを救出しました。
ボンドはスペクターの宇宙飛行士に変装してロケットの発射を阻止しようとしますが失敗して捕まり、ブロフェルドはアメリカが発射したロケットを捕えるために予定通りロケットを発射させました。そこに田中率いる特殊部隊が突入してスペクターと交戦を始め、捕らえられていたボンドも脱出してロケットのコントロールルームに入り、ロケットの爆破スイッチを押して爆破させ、間一髪で米ソの全面戦争を回避することに成功しました。
ブロフェルドは基地の自爆装置を起動させ、島は大爆発を起こしますが、ボンドたちは基地から脱出して間一髪で海へと逃れました。ボンドとキャシーは救援の飛行機から投下されたゴムボートに乗り、愛し合っていたところに現れたMI6の潜水艦に救助されました。
以上、映画「007は二度死ぬ」のあらすじと結末でした。
この”007シリーズ”5作目の映画「007は二度死ぬ」は、原題が「You only live twice」と言って、イアン・フレミングの原作で、主人公のジェームズ・ボンドが松尾芭蕉の俳句に因んで詠んだ短い詩が元になっています。
意味は「人生を実感できるのは二度だけ。生まれたときと死ぬときと」。
元々の松尾芭蕉の句は、「命二つ生きたる桜かな」。
死と美学が隣り合わせにある日本人の死生観にイアン・フレミングは感銘を受けたと言われています。
ついでながら、酒と忍者とトルコ風呂にも(笑)。
この映画は、製作準備中に主要スタッフが2度も航空機事故に遭遇するなど、不吉な幕開けとなったことでも有名ですね。
国辱だとか、トンデモ映画という文脈で語られることが多い映画ですが、007スタッフは日本人に畏敬の眼差しを持ち、異文化に対して真摯に取り組んでいると思う。
丹波哲郎扮するタイガー田中の基地が丸の内線の中野新橋駅だろうと、相撲部屋の外が国技館だろうと、東京から神戸まで車で20分ぐらいだろうと、姫路城に忍者がいようと、瀬戸内海に阿蘇山があろうと、細かいことはどうでもいいのだ。
偽装したカルデラ湖の裏側に巨大な火山型ロケット発射基地がドーンとあり、どうだ、これが007だ!!という大迫力の前には小ネタの笑いなど吹っ飛んでしまいます。
007映画なのに、なぜだか日本の東宝映画の匂いがして、今にもキングギドラでも飛んできそうな雰囲気だ(笑)。
日本人キャストの中で、唯一、英語が堪能だと言われていた丹波哲郎(実際は違うらしい。
その証拠に後年、シドニー・ポラック監督の「ザ・ヤクザ」のオファーを受けたものの、あまりの英語の長ゼリフに怖れをなして、出演を断ったという逸話があります)は、若林映子や浜美枝らの取りまとめ役に回っていたそうだ。
ボンドが空を飛び、トヨタ2000GTが走り回る「奇妙な日本」は、一度も存在したことはないのに不思議な懐かしさすら感じさせます。
そして、ナンシー・シナトラの歌う同名の主題歌は、美しい旋律と意味深で不吉な歌詞になっていますね。