100回泣くことの紹介:2013年日本映画。この作品は、中村航の恋愛小説を原作に、恋愛映画の名手とも呼ばれ、『余命1ヶ月の花嫁』などの廣木隆一の監督映画。キャッチコピーは「ずっと、ずっと、好きと誓った…」で、主人公がバイク事故に遭い、その事故以前の1年間の記憶を失ってしまい、自分の恋人だった佳美のことも忘れてしまうというオリジナル設定となり、涙を誘う純愛ストーリー映画となっています。
監督:廣木隆一 出演:大倉忠義(藤井秀一)、桐谷美玲(沢村佳美)、ともさかりえ(中村夏子)、忍成修吾(ムース/武藤圭介)、波瑠(バッハ/小川恵子)、ほか
映画「100回泣くこと」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「100回泣くこと」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
100回泣くことの予告編 動画
映画「100回泣くこと」解説
この解説記事には映画「100回泣くこと」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
100回泣くことのネタバレあらすじ:1.プロローグ:偶然の再会
ある晴れた夏の日、沢村佳美は、赤い傘を持って、友人のバッハ(小川恵子)とムース(武藤圭介)の結婚式に向かっていました。そこに後ろから「やっぱり降りますよね、雨」と聞き覚えのある声に彼女は驚き、立ち止まりました。声の主は、かつての恋人・藤井秀一でした。二人は距離をおきながら、同じ友人の結婚式に行きました。こんな所で昔の恋人・藤井と出会うとは思いもしていなかった佳美は、驚きました。藤井は事故で逆行性健忘になり、事故以前の約1年の記憶がありませんでした。披露宴で藤井は佳美に、バイクに一緒に乗るのが大好きな愛犬ブックの話と、自分が4年前にバイクで事故をしてバイクは放置したままという話をしてきました。披露宴が終わったその帰り、雨が降ってきました。「傘、持ってきた甲斐あったね」と声をかけてきた藤井に、佳美は「降らない雨はない」「ハワイだったら、ルナレインボーが見えたかも」「そう言えば、まだ名前も言ってなかったね」と言って、二人は初対面のように自己紹介をしあいました。その後、藤井は佳美に電話で「今度の日曜日、どうかな」とデートに誘いました。迷った佳美でしたが、彼女は「うん、いいよ」と答えました。
100回泣くことのネタバレあらすじ:2.恋は盲目
4年前に卵巣がんを患った佳美は、親友・中村夏子に藤井と再会し、今度会う約束をしたことをうち明けました。心配する夏子に、佳美は「昔と同じようにつきあうことはできないことは分かってるから」と言い、藤井ともう一度会う決心をしました。日曜日、佳美は事故以来乗っていなかった藤井のバイクの修理を手伝いました。「新しいバイクを買えばいいのに」と言う佳美に、「動いてほしいんだよね。この時計と一緒に。俺の時間も止まってるような気がするから」と藤井は呟きました。二人は止まったままの時計を時計屋に行き、修理してもらい、その日、二人は別れました。佳美は帰り道の駅のホームで、スケッチブックに今日のことを書き、「5年生存率。癌の治癒期間から5年間。再発がなければ、治癒と認める」と書きました。その日以来、藤井は佳美に電話をかけましたが、佳美は出てくれませんでした。悩む藤井は親友・ムースに佳美の家がどこにあるのか聞きに行きました。「バッハなら知ってるんじゃない」と答えるムースに、藤井は「ああいう風に人と笑ったの久しぶりだし…もう1回会いたいなとか思ってさ」と気持ちをうち明けました。その頃、佳美は主治医に今後のことを相談に行きました。主治医は「悩む必要なんでないんじゃないかな。癌患者とつきあうにはそれなりの覚悟が必要になってくる。自分の生活を変えなければならないことがある。それで一度、辛い思いをしてる訳だし…」と悩む佳美に反対しました。ある日、藤井はムースから佳美の会社を聞き、その近くの公園で彼女と再会しました。佳美に嫌われたと思い悩む藤井は、そうではなかったことを聞き、ホッとし、愛犬ブックの話をすると、突然、佳美は泣き出しました。今度からは待ち合わせして会おうと言う藤井に、佳美は笑顔で「私でよかったら、いつでも」と答え、二人は手を握り合いました。その後、藤井と佳美はバイクを直したりしながら、初めて出会った頃を同じように仲良くつきあい出しました。藤井とつきあうことに、夏子は反対しましたが、佳美は「“恋は盲目”って言いますし」「私は終わるのを前提で生きてるの」と言い、藤井とつきあう決心をかためました。
100回泣くことのネタバレあらすじ:3.二人だけの時間
暫くしたある夏の日、藤井は佳美にプロポーズし、彼女もそれを受け入れました。ただ、佳美は準備期間として1年置くこと提案し、藤井もそれにOKしました。佳美は藤井の家に同棲することにし、街の誰もいない教会で二人だけの結婚式をしました。同棲生活をし始めたある日、突然、夏子が二人の様子を見に来ました。藤井に癌であることを隠して同棲する佳美を夏子は心配で心配でしかたありませんでした。そんな夏子に佳美は、「藤井くんに言ったら絶交だからね」とくぎを刺しました。毎日、仲よく楽しく過ごしていた二人でしたが、佳美は体に痛みが走ったり、熱が出たりしてきたので、藤井に嘘をつき実家に帰ろうとしました。藤井は自分が4年前に事故に遭い1年前の記憶がないことから、「一度記憶をなくすと、ふと恐くなることがあるんだよ。どっかでいろんなこと忘れて、いつか佳美が自分の中からいなくなるんじゃないかって、ときどき思うことがある」と悩みを告白し、実家に帰ろうとする佳美を引き留めようとしました。そんな藤井に佳美は事実を告げずに実家に帰り、病院で検査を受けました。そこで佳美は恐れていた癌が再発した事を知りました。夜、病院の公衆電話から、佳美は藤井に電話をして目に涙をためながら「私のこと、ずっと好きでいてくれる?」と聞き、藤井の「当たり前じゃん」という言葉を聞き、泣き崩れました。治療のために入院した佳美に、見舞いに行った夏子は事実をうち明けるように説得しますが、佳美は「藤井くんとまた一緒にいられるのを4年も待ってたんだから」「病人として見てもらいたくない」「私は人を好きになったらダメなの…藤井くんが苦しもうがなんだろうが一緒にいる!いいでしょ!どうせ死ぬんだから!」と泣き崩れました。そんな佳美を見て、夏子は「治すことだけ考えよう」と泣きながら励ましました。その頃、藤井は何度かけても佳美に電話がつながらないので、不安に駆られながらも、自分の実家に帰っていました。藤井は愛犬・ブックと遊ぶため、ボールを探していると偶然、手紙の束を見つけ、1枚のハガキの住所が気になりました。藤井は母・和代に事故前の話をみんな黙っているのかと聞くと、母は藤井自身が思い出したくないと言っていたことを知らされました。一方、ムースとバッハも藤井と佳美がつきあい始めたことを心配していました。「なんで俺まで藤井を騙さなくちゃいけないの」というムースに、バッハは「佳美が癌だと分かったとき、逃げたのは藤井なんだよ。…だからみんな嘘ついてるんでしょ」と言い返しました。バッハはベストな状況は、「佳美が完治して戻って来て、何もなかったことにする」と言うと、ムースは「何か違う気がするな~」と呟きました。佳美は癌の摘出手術を受けましたが、全ての腫瘍は取りきれず、抗癌剤投与で治療することになりました。悲観する佳美の父・康彦に、主治医は「根治例がある限り、悲観する必要はないですよ」と希望を持たせました。佳美は18週間(約4か月)に渡る苦しい抗癌剤治療に入りました。
100回泣くことのネタバレあらすじ:4.蘇った想い出
数日後、実家から帰京した藤井は、気になっていたハガキの住所の所に向かいました。するとその家は佳美の名義の借家でした。大家さんに開けて貰い入ってみると、ふと自分と佳美が暮らしていた光景が藤井の頭に浮かんできました。そして、壁に貼っていた写真を見て、自分と佳美がかつて暮らしていた家だと確信しました。驚いた藤井は夏子の家を訪ねました。夏子は4年前に藤井と佳美がつきあっていたこと、佳美が卵巣がんを発症し、その告白を聞いた直後に藤井が交通事故に遭い、佳美の存在が消えたことなど、全てを告白しました。それを聞かされた藤井は「みんなで俺を騙していたのか。誰も言ってくれなかった」と激怒しました。夏子は、発症するかもしれない不安と藤井が独り身だと確証がない不安の中、佳美は4年間も藤井を待っていた気持ちを想像して、許してあげるように、目に涙をためながら、藤井を諭しました。夏子は、そんな藤井を佳美が入院している病院へと連れて行きました。すると、佳美の父・康彦が偶然いました。藤井は病室で寝ている佳美の姿を見て、愕然とし泣き崩れました。藤井は父・康彦から佳美の病状を聞かされ、そして4年前に藤井が佳美の病気のことを聞いたとき、何もせずに部屋を飛び出し、その直後に事故に遭ったことを聞かされました。夏子は「記憶をなくしたんなら、そのまま無かったことにしよう」と佳美が藤井の両親とも話し合い、藤井を庇い気遣っていたので、みんなが黙っていたと告白しました。父・康彦は黙って聞いている藤井に「もう佳美のことは忘れて、他にいい人、見つけてください」と頭を下げてお願いしました。しかし、藤井は「もう、何もなかったことにはできません」と呟きました。
100回泣くことのネタバレあらすじ:5.交差する二人の思い
翌日、懐に愛犬・ブックを入れてバイクにまたがる藤井を描いた佳美の絵を見て、藤井は涙しました。そして、当時のことを思い出しました。4年前、佳美は藤井に病気を告白し、実家に帰ろうとしたとき、彼女はもう自分は子供が産めなくなるかもしれなくなることで藤井の将来を気遣い、藤井に「他にいい人いるんじゃないの」と心にもないことを言ってしまいました。その言葉を聞いた藤井は、自分の佳美に対する愛情を疑われたと感じた藤井は、佳美にプロポーズをするために、指輪を手作りし、彼女にそれを持っていく途中で事故に遭ったのでした。その後、入院した藤井をお見舞いに来た佳美に、藤井は事故で逆行性健忘となっていたので、彼にとって佳美は全く知らない女性となっていました。藤井は佳美が赤い傘を持っていたので、「雨、降りそうですね」とだけ言って、通り過ぎて行ってしまいました。ある日、夏子が佳美のお見舞いに行くと、佳美は窓から外を見ていました。佳美は夏子にかかえてもらいながら、ベッドに寝ました。夏子がベッド脇の佳美のスケッチブックを見ると、佳美はページの裏側にバイクに乗った藤井が走ってくるペラペラマンガを描いていました。佳美は「どっかで藤井くんが来てくれることを願ってる。…側にいてほしいと願ってる」「死にたくないよ」とか細い声で夏子に言いました。夏子はそんな佳美の姿を見て、大きなため息をつき、目から涙が落ちそうになるのを、必死にこらえました。
100回泣くことのネタバレあらすじ:6.佳美、最期の願い
必死でバイクを直した藤井は、ある夜、リュックに愛犬ブックを入れ、佳美の病院へ行きました。遠くからバイクの走ってくる音が聞こえてきた佳美が、ベッドから起き、窓の外を見ると、藤井がバイクに乗って来たのを見ました。佳美は病室を出て、廊下を歩いていくと、エレベータに乗って上がってきた藤井がやって来ました。「ずっと会いたかった」と呟く藤井に、佳美は「のろま…」と言い返しました。藤井はリュックからブックを出してあげると、ブックは佳美の方に寄っていきました。ブックを撫でながら、佳美は「もう一回バイクに乗りたいな。ブックと藤井君と3人で」と藤井にお願いしました。最初は躊躇った藤井は佳美の願いを聞いてあげ、病院から密かに佳美を連れ出し、バイクに乗せて海岸に行きました。佳美は藤井の膝枕で横になり、「私もう治らないと思う。だから藤井くんと結婚できない。でもこんな私を今も愛してくれてありがとう」とか細く気持ちを伝えました。藤井は「本当は事故の日、渡すつもりだったんだ」と言い、渡せなかった指輪を佳美の左手の薬指にはめてあげました。「治らない病気はない」「俺たちにはまだまだできることがある」と励ます藤井に、佳美は「だったら、ハワイに行ってみたいな。そこで私たちは結婚式をあげるの」と言い、結婚式に読む誓いの言葉を呟き、「死が二人を分かつまででいい、それまででいいから一緒にいたい」「ルナレインボーを藤井くんと二人で見たいな」と最後の願いを口にすると、「これ以上、望んだら神様に怒られちゃう」と呟きました。そう呟く佳美に、藤井は願いは必ず叶えると言い、「願い事は1つだけなんて、神様はそんなにケチじゃないよ」と目に涙を貯めて見つめる佳美に藤井は優しく言いました。泣き出す佳美を藤井も目から大粒の涙を落としながら、抱きしめました。歳月は二人の願いを無視して通り過ぎ、佳美は藤井と二人きりのときに、藤井の手を握りしめながら、眠るように息を引き取りました。
100回泣くことの結末:7.エピローグ:「一回だけ…泣いていいかな」
藤井は佳美の最後の願いを叶えようと、1人でハワイへ行きました。佳美のスケッチブックを見ながら、最初のデートのときから二人で過ごしたいろいろな時間を思い出していました。佳美はスケッチブックを通して「何でもない時間だけど、二人だから起こせた奇跡だと思ってるよ」と藤井に語りかけてきました。藤井は、毎日、ルナレインボーを見るために海岸へ通いました。ある日の夜、「藤井くんが見た世界が私の世界になっていくからね。だから、もう泣かないでね」と言い、最後にキスを交わしたことを思い出しながら、藤井は「一回だけ…泣いていいかな」と天国にいる佳美に語りかけ、涙を流し泣きました。そのハワイの夜空には、美しいルナレインボーがかかっていました。帰国した藤井は、佳美の願いを守りながら、生きていきました。
この映画の感想を投稿する