96時間の紹介:2008年アメリカ映画。『トランスポーター』シリーズなどのヒットメーカーであるリュック・ベッソンが製作を務めた本格アクションスリラー映画。96時間のタイムリミットで誘拐された娘を父親が警察の助けを借りずに一人で異国の敵からの奪還を試みる様子を描く。
監督: ピエール・モレル 製作・脚本: リュック・ベッソン 出演:リーアム・ニーソン(ブライアン・ミルズ)、マギー・グレイス(キム)、リーランド・オーサー(サム)、ジョン・グライス(ケイシー)ほか
映画「96時間」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「96時間」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
96時間の予告編 動画
映画「96時間」解説
この解説記事には映画「96時間」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
96時間の紹介:元CIA工作員を舐めるな! 娘の為ならなんでもする! お父さんの奮闘映画!
カリフォルニア州に暮らす、ブライアン(リーアム・ニーソン)は元CIA工作員。仕事を退いてからも、コンサート会場の警備員などのバイトをしながら、そのスキルを生かして暮らしていた。そんな彼の、なによりの宝は、十七歳の実娘・キム(マギー・グレイス)。キムは、離婚した元妻・レノーア(ファムケ・ヤンセン)と、その再婚相手・スチュアート(ザンダー・バークレー)と暮らしていた。しかし、ある日、キムが旅行先で誘拐されたから、さあ大変。誘拐の直前まで、キムと電話をしていたブライアンは、わずかな手がかりを頼りに、単身、パリへ。娘を救出するため、単独捜査を開始する…
96時間のレビュー・考察:こんなお父さん、娘にとっては、ちょっとウザいかも…
いやはや、とんだコメディ映画でした!主人公の娘の溺愛っぷりが、なんとも切ない!キムの誕生日を祝う為、誕生会に訪れるのですが、ブライアンのワーカホリックが原因で離婚した元妻は、ブライアンに冷たい。おまけに、再婚相手のスチュアートは大金持ち。劣等感がハンパない。娘のキムは、やっぱり、相手はお父さんですから、それなりに愛情を示してくれるのですが、義父であるスチュアートからの誕生日プレゼント(なんと馬!)が登場した途端、興味はそっちへ…。もう、このへんの、娘への一方通行な愛情の描写が、切なくって、いっそ滑稽!
娘のキムだって、別に反抗期というわけじゃないんです。むしろ、イマドキの17歳にしては、とってもイイ子で、お父さんにも可愛い笑顔をふりまきます。ただ、興味あることが、他にもたくさんあるだけなんです…。自分のことを本当に愛してくれている、お父さんの大切さに、まだピンときていないだけなんです。そんな娘にしてみれば、うっとうしいくらいに干渉してくる、お父さんの存在は、やっぱりちょっとウザいのかも。
96時間のレビュー・考察:お父さんは最強! 娘の為に奔走する姿は、サスペンスというより、コメディ?
さて、拉致された娘を救出する為、お父さんは文字通り、なんでもします。娘を誘拐した男を探す為、人をぶんなぐり、車を盗み、昔の仕事のツテを頼り…。誘拐の元締めである、人身売買組織を突き止め、アジトに乗り込み、売春窟を壊滅させ、娘が競売にかけられている、船上のオークション会場にまで潜入します。そこには中東系の戦闘員が。ナイフ使いの護衛に苦戦しつつも敵を全滅させると、中東の富豪らしき人物と対面。キムを盾にしミルズと交渉しようとする富豪だったがミルズは即座に射殺。遂にキムを救い出します。帰国後しばらくして、歌手を夢見ていたキムへのプレゼントとしてボディーガードの仕事で知り合ったプロ歌手のトレーナーの元へとキムを案内するのでした。いや、これが、アクション映画として、痛快といえば痛快なのですが、「ちょっと、お父さん、ここまでやっちゃう!?」とツッコまずにいられない!本人は必死なんですよ、なにせ、娘を無事に助ける為のタイムリミットは96時間。ブライアンは、ほぼ不眠不休で、次から次へと人身売買組織の男たちと戦い続けます。元CIA工作員のスキルをここぞとばかりに発揮するその姿を見れば、「キムちゃん、お父さんが元工作員で本当に良かったね…」「奥さん、金持ってるだけで役立たずな旦那なんかやめて、ヨリ戻したら?」と思わずにいられません。けれども、この暴走っぷり。緊迫感はそれなりにあるのですが、お父さんがあまりにも強すぎるので、「きっとキムは無事に助かるはずだ!」という、一種の安心感をもって見ることができます。そうなると、アクション・サスペンスというよりも、アクション・コメディの様相を呈してくるから、あら不思議。しかし、男の悲哀をこれでもか! と詰め込み、お父さんはカッコイイんだよ! と主張するストーリーには、一種の開き直りを感じます。世のお父さんたち、是非、この映画に勇気づけられてください。そして、この映画を見た女性は、お父さんに是非、優しくしてあげてください。
「96時間」感想・レビュー
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アクション映画はあまり見たことなかったが、「96時間」はつい何度も見たくなる。一番好きななシーンはリーアムニーソン演じる父親役ブライアンが、誘拐犯の「good luck」と喋ってしまった録音テープを何度も繰り返す聴いて耳にその声を染み着かせるシーン。これは、誘拐犯死亡フラグと分かっていても、ふつふつ興奮する。ブライアン強すぎてかっこいい。父親と娘の親子愛も見所。こんなお父さんかっこいい。
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リーアムニーソンの格好良さ、渋さ、表情作りのうまさ全てが光る傑作です。本当に何度繰り返して見ても面白い。娘のキムが誘拐され、動揺しながらも元諜報員の能力をフルに生かして娘の行方を追う父ブライアン。表題の「96時間」はタイムリミットのことですが、これが迫るにつれてブライアンの焦りや動揺が見え、手段を選ばなくなっていくシーンは、ブライアンの娘への愛情と、誘拐というテーマの深刻さが表れています。
リーアムニーソンは、この映画で初めて見ました。見る前は冴えないおじさんに見えたのですが、格好いいんですよ。これが。娘が、誘拐されると、もと諜報員だったネットワークを使ってあっというまに、犯人のめぼしつけちゃう。屈強なテロリストの男たちを、バッタバッタと倒してく姿は、スーパーマンのようです。ちょっと太めのおじさんが娘のためなら、ヒーローになるの。理想の父親像が、ここにあります。