キャノンボールの紹介:1980年アメリカ,香港映画。コネチカット州ダーリンからロサンゼルス郊外のレドンドビーチを目指し、北米大陸横断レースが始まる。各参加者たちは自慢の愛車に乗り込み、あちこちで待ち構える警察の取り締まりをかいくぐり、無事フィニッシュすることができるのか・・・
監督:ハル・ニーダム 出演:バート・レイノルズ(J・J・マクルーア)、ジャッキー・チェン(ジャッキー・チェン)、ロジャー・ムーア(シーモア・ゴ-ルドファーブ・Jr)、ファラ・フォーセット(パメラ・グローヴァー)、ほか
映画「キャノンボール」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「キャノンボール」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「キャノンボール」解説
この解説記事には映画「キャノンボール」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
キャノンボールのネタバレあらすじ:1
砂漠のハイウェイを疾走する黒いカウンタック、速度制限の看板を見つけて停止、スプレーでバツを付けると再び発車、背後からはパトカーが追跡しています。しかしもはや勝負になっておらず、本部からまだ捕えられないのかとお叱りを受けているのを尻目にアクセル全開、あっという間に見えなくなってしまいます。ビクター・プリンズムがJ.J.マクルーアのガレージに2時間遅刻してやって来ます。うっかりコーヒーをこぼしてしまうビクター、そんな様子をよそにJ.Jは自慢の愛車でキャノボールへ出場すると話しています。キャノンボールパブに続々と集まってくる出場者、車の整備をしている者、女性を口説いている者など様々です。そしてその夜、司会者の掛け声と共にレーススタート、タイムカードに出発した時間を刻むと一気にパブを飛び出していきます。その頃、アーサーは近くの道路脇に止めた車の中から、パメラと共に飛び出していく車のナンバーをメモし、警察に密告しようと図っています。
キャノンボールのネタバレあらすじ:2
救急車に化けたビクター達の車、途中で事故現場に遭遇します。車を止めるとパメラが寄ってきてアーサーが怪我していると伝えます。後ろに乗るよう指示するJ.J、しかしアーサーが乗り込むよりも先に車は発進、結局置いていかれてしまいます。一方パメラも車に押し込められたふりをしてようやく合流します。取り締まり対策も各チーム考えており、ハイテク車に乗り込む日本人チームはライトを消し、赤外線ゴーゴルで視界を確保しています。黒いカウンタックを操るジルとマーシー、パトカーに止められるもお色気で警官の目をくらませます。そしてビクター達はパメラを急病人に仕立て、不気味な医師ニコラスのでっち上げ診断でやり過ごします。ビクター達の前に、神父に扮したモーリスとジェイミーが現れ、祝福したいと言っています。フェラーリに乗った神父なんかいるかと信じようとしないJ.Jですが、ビクターは折角だからと車を止めます。モーリスがJ.Jと話している間にジェイミーが左リアタイヤに釘でパンクさせてしまいます。嫌な予感が当たったJ.J、ビクターにきついビンタを食らわします。
キャノンボールのネタバレあらすじ:3
とあるガソリンスタンドに立ち寄ったビクター達、給油と食料買い出しを終え出発しようとしたところへ、あの偽神父の乗ったフェラーリがやって来ます。運よく近くにパトカーが止まっていたため、警官に奴らは偽神父でしかも露出狂の変態だと吹き込むJ.J、スタンドを出てきたところで停止させます。さっきのお返しとばかりににやりとJ.J、一方モーリスとジェイミーは適当にごまかそうとするも中々納得してくれない警官に焦りを見せています。アーサーの密告により検問が行われています。メモを手に1台ずつ車を調べるアーサー、ビクター達は前を走っていたトラックと無線で連絡を取り、荷台に隠れさせてほしいと頼みます。作戦は無事成功、検問を抜けたあと運転手にお礼を言って再びレースを続けます。一方、シーモアはナンバープレートがクルっと回転する仕掛けを使い、メモにないナンバーにすり替えて捕まらずに済みますが、何にも考えてなかったチームもいて、それらはあっさり捕まってしまいます。
キャノンボールのネタバレあらすじ:4
夜、暗闇に紛れている日本人チーム、張り込んでいたパトカーがいましたがあっさりすり抜けます。食糧調達のためファーストフード店に立ち寄ったシーク、お釣りをもらうのが面倒くさいため、札束をウェイトレスに握らせそのまま発車します。一方ビクターはかつて自身がいじめられっ子だったことをパメラに話し、その時ヒーローが助けてくれたことを語っています。翌朝、各チームトラブルに見舞われます。日本人チームは州境を超えたところで危うく線路に突っ込みそうになったり、走行中にいやらしいビデオを見ようとしてハンドル操作を誤り、対向車と正面衝突しそうになります。一方、ジルとマーシーはパトカーに追われ、逃げきれないと思っていつものお色気でやり過ごそうとしますが相手は美人婦警であり、当てが外れがっかりします。シーモアも追跡されています。マフラーから大量の煙で目を眩ませる作戦によりパトカーをスピンさせてやり過ごしますが、その煙が車内に流れ込んでしまい、蛇行運転しながら彼女と共に咳込んでいます。スピード違反で捕まったシーク、警官達にさんざ悪態をついた後、愛車のロールスロイスに乗り込むとアクセル全開、さらには違反切符を投げ捨てたため、再びパトカーが追跡を開始します。
キャノンボールの結末
工事で封鎖されている道路が開通するのを待って並んでいる各チーム、そこへ暴走族一行が現れ、唯一バイクで出場していたブラッドフォード・コンプトンとシェーキー・フィンチに絡みに行きます。そこへキャプテン・ケイオスに扮して現れたビクター、ならず者達をなぎ倒していきます。それを見て相棒と日本人コンビが触発され、大乱闘が繰り広げられます。やがて工事が終了、道路が開通すると各自車に乗り込み出発していきますが、日本人コンビはしつこく戦いを続けています。再び始まった追いかけっこ、ビクター達の乗る車は性能不足からか他のチームに追い抜かれていきます。ハンドルを握るビクターに発破をかけるメンバー、再びキャプテン・ケイオスに変身しうって変わって抜いていった車を抜き返していきます。抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げる各チーム、ゴールであるレドンドビーチへと駆け込んできます。タイムカードを手に車を下り、一斉に走り出す中、J.Jがタックルして他のチームのメンバーをなぎ倒します。先頭を走っているビクター、このままゴールかと思いきや、犬が溺れてしまったと叫ぶ女性の声を聞き海へとダイブ、無事救出しますが、寸前のところで優勝を逃してしまいます。言葉を失うJ.J、一瞬怒りを見せるもこれがビクターという男なのだと悟ります。その後、ビーチでパーティーが始まり、レースの余韻に浸りながら無事ゴールまでたどり着けたことを祝う参加者たちでありました。
この「キャノンボール」という映画は、アメリカの東海岸から西海岸までの5,000キロを普通乗用車で突っ走って、誰が早く完走するか、その大レースを面白おかしく大賑わいの娯楽映画に仕立てたアメリカ・香港の合作です。
まず面白さのポイントは何といっても、その豪華なキャスティング。
救急車でぶっ飛ばそうとするのが、公開当時、マネーメーキング・スターの常連だったバート・レイノルズ。
救急車なら警察の検問も切り抜けられて、思い切りスピードも出せるというわけです。
このあたりは、四六時中、救急車のサイレンが鳴っていると言われるアメリカならではの、ズバリ笑いにつながるギャグなのかも知れません。
そして、彼に巻き込まれるのがTV版「チャーリーズ・エンジェル」で大人気だったファラ・フォーセット。
アメリカと香港の合作という事で、当然の事ながら、当時、香港の大スターだったジャッキー・チェンとマイケル・ホイも出演していて、彼らは日本人を徹底的に風刺する存在として登場。
でも行く手を暴走族に阻まれれば、お決まりのカンフー・アクションが炸裂——-。
この暴走族のリーダーが何と「イージー・ライダー」「ワイルド・エンジェル」のピーター・フォンダ。
そして、アストンマーチンに乗って現われるのが、ご存知3代目ジェームズ・ボンドことロジャー・ムーア。
あの007のパロディを、ボンド・スター本人が平然とやって見せる度胸の良さ——-。
それから、懐かしいディーン・マーティンとサミー・デイヴィスJr.は、偽牧師。
サミーが出演すると、見事に画面が楽しくなって、本物のエンターテイナーとはこれなんだと妙に納得してしまいます。
おかげで他のスターは完全に食われてしまってお気の毒様という感じになります。
この映画の監督は、「トランザム7000」のスタントマン出身のハル・ニーダムですが、彼の演出は目先のアクションは描けても、ドラマ全体をつかむ力がないために、スター個人の魅力のみに頼らざるを得なくなり、全体として破綻してしまっているような気がします。
エンドタイトルに、香港映画お得意のNGカットのシーンが流されますが、スターたちの楽しい素顔が出ていて、これらがこの映画の中で一番面白いという皮肉な結果になっていたと思います。