不機嫌なママにメルシィ!の紹介:2013年フランス,ベルギー映画。イヴ・サンローランでの好演が記憶に新しいギョーム・ガリエンヌ、自伝的舞台脚本を用いての今作では一人二役、息子役と母役に挑む!
監督:ギョーム・ガリエンヌ 俳優:ギョーム・ガリエンヌ、アンドレ・マルコン、フランソワーズ・ファビアン、ダイアン・クルーガー、レダ・カティブほか
映画「不機嫌なママにメルシィ!」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「不機嫌なママにメルシィ!」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
不機嫌なママにメルシィ!の予告編 動画
映画「不機嫌なママにメルシィ!」解説
この解説記事には映画「不機嫌なママにメルシィ!」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
不機嫌なママにメルシィ!のネタバレあらすじ:開演の時間です
とある舞台裏。メイク台に一人座っているギョームに、舞台へ出るように声がかかる。ギョームの独白にも似た一人舞台が開演すると共に、行―無の中に過去が去来する。とあるバカンス前、ギョームはスペイン語を習いたいと母に申し出る。母は二つ返事で承諾するが、母が用意したホームステイ先はスペインでもっとも治安の悪い町だった。ホストファミリーはかろうじて麻薬をやっていないだけで、フランス語はまったくできず、ギョームはほとんど意思疎通が出来ない。そこへ母(ギョームの心理描写の投影)がフラメンコのダンスパーティーがあるから習うように言う。しかし女主人パキが教えてくれたのは、女の踊りだった。それを知らない魚無は自分が踊るたびにどうして笑われるのか理解できない。女の子に踊ろうと誘うと、女の子と踊るつもりはないとはっきり断られる。ギョームは自分の仕草が女っぽいっことを指摘されるが、恥じはせずむしろ喜んだ。ギョームは自分が母親に間違われるほど母親の仕草を真似していたからだ。騙されないのは父親くらい。母はギョームに冷たい。この不機嫌はギョームが生まれた時からのものだ、と、舞台上のギョームは語る。ギョームの二人の兄は普通の男の子のような習い事をし、男らしく育っていた。一方、ギョームは運動は何をやらせてもダメ、ピアノを習いたいと言ってみるものの、あくまでも男らしさを求める父に黙殺されてしまう。ある夜、ギョームは自分の部屋で、ブランケットをドレスのように巻き、空想の中で女性になって遊んでいるとそれを父に見咎められ、とうとう男子校の寄宿舎へ入れられてしまう。
不機嫌なママにメルシィ!のネタバレあらすじ:寄宿舎での生活。
寄宿舎では、オカマだと罵られ、いじめられる。ある夜、トイレでリンチされそうになるところを、ニコラに助けられ、好意を抱くが、いじめの事実を知った両親に、今度はイギリスの寄宿舎への転校を言い渡されてしまう。ニコラと離れるのが嫌だと言いかけると、父に無言で威圧される。イギリスの学校は、ギョームにとって憧れだったが、クリケットなど実際にやってみると、思い描いていた優雅さはなくがっかりしてしまう。この学校ではジェレミーと親しくなる。しかし、彼が他の女生徒と深い仲になっているのを目撃してしまい、ショックを受ける。
不機嫌なママにメルシィ!のネタバレあらすじ:女性の優雅な振る舞いへの憧れ
ギョームは自分をオカマだとは思っていないが、母を始めとする女性の仕草に魅力を感じ、その仕草を観察する。ある日、親戚の女性の驚きながら「ウィ」と言う時の魅力に気づく。そしてとうとう、母の真似をしても騙せなかった父が、自分を母と間違えるまでになる。いよいよ両親は彼をカウンセリングに通わせるようになるが、いっこうに改善の兆しは見えない。
不機嫌なママにメルシィ!の結末:荒療治の末に判明する母の不機嫌の正体
そこでとある親戚に荒療治を頼む。彼女は結婚前に男性を知ると地獄に落ちると言って女性と関係を持ったがレズビアンにはならなかったと語り、ギョームをゲイの集まるクラブに行かせる。慣れない彼は浮いてしまうが、そんなギョームに目をつけた一人の男が彼によってくる。カサブランカの話がきっかけでギョームをアラブ系だと思った彼は、彼を連れ帰り他の二人とギョームを弄ぼうとするが、ギョームがアラブ系ではないと知ると、追い出してしまう。またある日、違う男性と今度こそ一夜をともにしようと試みるギョームだが、その男性が自分に出す指示が気に入らない。もちろんベッドインには至らなかった。結局男っぽくない彼は逆に女の子たちのパーティーに招かれる。そこで出会ったアマンディーヌの完璧さにギョームは恋をする。とある日、母を訪ねたギョームは母に二つの報告をする。ひとつは、家族にまでゲイだと思われた自分の話を脚本にすること、あくまでギョームをゲイであると言張る母へのもう一つの報告はアマンディーヌとの結婚だった。そして母の不機嫌の正体にも気がついた事を話す。とどのつまり、母はギョームが他の女に恋をするのが嫌だったということ、そして、女の子の欲しかった母は末っ子のギョーム女の子のように特別扱いしていたということ。舞台上で、自分と母の関係について淡々と話すギョーム。映される客席には母が来ていた。幕が下りた後楽屋へ向かうと、箱一杯の花と一緒に、「コケないでね」と、母からのメッセージが届いていた。
不機嫌なママにメルシィ!について:舞台上で自分を語るギョーム。
映画を見る観客は、あくまでも、ギョームの独り舞台を見ていると言う体で話が進められる。しかしながらそこは映画、舞台や場面ごとに人が登場し、舞台も変わる、劇中劇の中の劇と言う仕組みになっている。よって、物語にとって最小限の場面だけが抽出されている。また、ギョームが演じる母が出てくるが、ギョームの目から見た、バイアスのかかった母の姿だと思うと、納得のいく演出になっている。ランニングタイムはちょうど一時間半、一幕物の舞台を見ていると思うと、ぴったりしている。ナレーションではなく、舞台での台詞がそのままナレーションになっているので、映画的な場面から舞台の場面へ切り替和っても違和感はない。
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