ザ・ウォーカーの紹介:2010年アメリカ映画。近未来、最終戦争が起き文明が消えたアメリカで、聖書を携え旅をする男は、ひたすらに西へ向かっていた。それを、人心を集める為に聖書を捜し求める無法者のリーダーが付け狙う。聖書の功罪を荒廃した世界で描く、デンゼル・ワシントン主演のSF映画。
監督:アレン・ヒューズ、アルバート・ヒューズ 出演:デンゼル・ワシントン(イーライ(“ウォーカー”))、ゲイリー・オールドマン(カーネギー)、ミラ・クニス(ソラーラ)、レイ・スティーヴンソン(レッドリッジ)、ジェニファー・ビールス(クローディア)、ほか
映画「ザ・ウォーカー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ザ・ウォーカー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ザ・ウォーカーの予告編 動画
映画「ザ・ウォーカー」解説
この解説記事には映画「ザ・ウォーカー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ザ・ウォーカーのネタバレあらすじ:第1幕
世界大戦が起き、荒廃したアメリカを男は旅してました。彼は狩りをし、死体から靴を剥ぎ取る生活を続けて居ます。しかし、夜になるとipodで音楽を聞き、本を開き、暗唱するように読み耽ります。文明は失われ食料の自給自足もままならず、水の確保も難しい世界で盗賊は跋扈して人を襲い、その身ぐるみを剥いで肉を食らう光景が当たり前になっていました。男はそのような盗賊も、見えないものを見通しているような洞察力と、神がかった戦闘力で跳ね除けていました。そんな力を持ち、生きている者からは必要以上に奪わないという彼でも、他の旅人が盗賊に襲われようとも、道を逸れるなと呪文のように呟き、関わらないように避けていました。男はひたすらに西へ向かって歩いていました。男の行く先に町がありました。男はバッテリー充電の為にその町に立ち寄ります。この町の支配者は、劇場跡に居を構えるカーネギーという男でした。文字が読める人間も少なくなった中、彼は部下に命じてある1冊の本を探していました。部下達は盗賊を繰り返し、生きる糧と共に本を持ち帰り、カーネギーに謙譲していましたが、今までその本に巡り合った事はありませんでした。
ザ・ウォーカーのネタバレあらすじ:第2幕
劇場跡に男が入って行きます。一階は酒場になっており、彼の目的は水でした。男はバーテンダーと交渉し、水筒一本分の水を手に入れました。バーテンダーは、ウェイトレスのソラーラに水を汲みに行かせます。その間、男はその店に巣食っている無法者の一人に些細な因縁を付けられます。この町に来る前に見逃した盗賊である事に気付いていた男は、その無法者をねじ伏せ、彼に旅人を襲った罰を受けるべきだと言い、自分はここから歩いて出て行くと告げます。すると無法者の仲間も殺気立ち、男を取り囲みます。男は、聖書の埋葬の一説を口にします。その言葉を言い終わると無法者達は襲い掛かって来ましたが、男は瞬く間に皆殺しにしました。騒ぎを聞きつけたカーネギーが2階から降りてきます。カーネギーは男に興味を持ち、2階に招き上げます。この時代、人々は挨拶のように手を水平に上げ、震えが無いか確認します。食人から来るクールー病の発症を確認する為ですが、男の手に震えはありませんでした。カーネギーは、男、旅人を指すウォーカーが本を読む人物だと知り、教養ある人物を自分の街に留めようとします。ウォーカーはそれを断り、西に向かう意思を変えません。それが判るとカーネギーは、無理矢理ウォーカーに一晩の宿を与えます。与えられた部屋でウォーカーが過ごしていると、カーネギーの女、クローディアが体を拭くと言って部屋に入ります。クローディアは目が不自由で、逆にウォーカーが彼女を気遣います。しかし、彼女の好意は断りました。カーネギーは、ウォーカーがクローディアの誘いを断ったと聞いて今度はその娘、ソラーラに誘惑させます。ウォーカーは部屋に入って来たソラーラを追い出そうとしますが、彼女は母クローディアが酷い目に合わされるので一晩楽しんだ事にしてくれと頼み込みます。二人は世間話をして夜を過ごします。戦後生まれのソラーラは、ウォーカーに昔の話を聞きます。すると彼は、人々は豊かさに溺れて何を大切にすべきかを忘れていたと話します。ソラーラはウォーカーの持つ本に興味を持ち、見せてくれと頼みますが、頑なに断られました。ウォーカーは水を汲む場所を彼女に聞きますが、ソラーラは仕返しに答えませんでした。ウォーカーは、自分に出された食事をソラーラに分け与え、彼女の手を取り神へ感謝の祈りを捧げます。翌朝、ソラーラはクローディアと食事を共にします。そこで彼女は、昨夜ウォーカーがしたように祈りを捧げようとします。その行為にカーネギーは顔色を変え、何処でその言葉を聞いたか問い質します。ソラーラは口を噤みます。しかしカーネギーが母親を盾にしてきたので、ウォーカーから教えて貰ったと答え、彼が持っている本の特徴を教えます。その本はカーネギーが欲していた本、聖書でした。
ザ・ウォーカーのネタバレあらすじ:第3幕
カーネギーは部下を呼び出しウォーカーの部屋に乗り込みます。しかし部屋は空っぽでした。ウォーカーは、充電を済ませたバッテリーを引き取り町を出ようとしますが、それを銃器を持つカーネギーの部下達が取り囲みます。カーネギーは聖書を要求します。聖書は戦後、全て焼かれていました。彼は、皆の平穏の為にその内容を伝える義務があると訴えます。ウォーカーは、本を納める場所を捜し求めているがまだ見付からないとその場を去ります。その背中をカーネギーが部下に撃たせ、殺せと命じます。しかし不思議な事に、彼等の撃つ銃弾は、ウォーカーを避けているように当たりません。ウォーカーは反撃します。それは全て無法者達に着弾し、カーネギーも被弾して運ばれていきます。最後の一人も戦意を失ったように銃を下ろします。ウォーカーはそれを見届けたかのようにして去って行きます。町を出たウォーカーをソラーラが追ってきました。彼女が連れて行ってという頼むと彼は拒否します。ソラーラは、代わりに湧き水の場所を教えると案内します。ウォーカーは水を汲むと、ソラーラを騙して置いてきぼりにしました。治療を終えたカーネギーは、部下をまとめ、車でウォーカーを追います。カーネギーにとって聖書は武器で、絶望したものに語って聞かせれば誰もがかしずく物だという認識でした。置いていかれたソラーラはウォーカーを追いますが、盗賊に襲われます。それを救ったのはウォーカーでした。夜になり、ウォーカーとソラーラは野営します。そこで聖書の内容をソラーラーが聞いてくるのでウォーカーは読んで聞かせました。戦後、生き残った人々は率先して聖書を焼きました。そんな中、ウォーカーは聖書の西へ向かえという声を聞いて旅立ちました。そしてその間彼は、不思議な力に守れて居ると言いました。話し終わるとウォーカーはソラーラを寝かせ、自分も寝入ります。ソラーラは聖書を読んでみたくなり彼の荷物を漁ります。そこで彼のナップザックにイーライという名札を見つけます。ウォーカーはソラーラの行為を見咎め、聖書は絶対に見せないと宣言します。
ザ・ウォーカーの結末
ウォーカーとソラーラは旅を続けます。ソラーラが彼に迷った事が無いのかと聞くと、ウォーカーは無いと答え、古い歌の歌詞を引き合いに出して諭します。二人は家を見つけ近付きます。慎重に玄関に辿り着きましたが、落とし穴に落されてしまいました。家から出てきた老夫婦が警戒して銃を向けます。しかし若いソラーラを見て態度が変わりました。彼等は二人を家に招き入れもてなしますが、その手は震えていました。彼等が自分達を食べる気だと気付いた二人は慌てて家を出ようとします。そこにカーネギー達がやってきました。カーネギーはウォーカーに、本を渡せと迫ります。ウォーカーはそれを拒否して銃撃戦が始まります。老夫婦の持つ銃器を使って対抗するウォーカー達ですが、火力に勝るカーネギー達に敵いませんでした。カーネギーはソラーラを人質に再度聖書を要求します。ウォーカーには渡すしか手がありませんでした。聖書を奪ったカーネギーは、ウォーカーを撃ちます。そして彼はソラーラを連れ、勝ち誇ってその場を去って行きました。カーネギーとは別の車に乗せられたソラーラは、徐に運転手を締め上げ車を横転させます。彼女は運良く元の体勢に戻った車でウォーカーの所に戻り始めます。カーネギーは、追えばガソリンが切れると彼女を見逃しました。老夫婦の家に戻ったソラーラはウォーカーの姿を探しますが、そこに彼の姿はありませんでした。彼は重傷の体をおして西へ歩いていました。追い付いたソラーラは彼を車に乗せ西へ向かいます。ソラーラは自分の所為だと泣きながら謝ります。ウォーカーは、毎日読んでいたのに本より大切な事を、人に尽くすという事を忘れていたと吐露します。二人の旅は終点へと近付いていました。橋が落ちて渡れなくなっていたので車を降り、ボートに乗り換えます。川を渡り監獄島アルカトラズへ向かいます。そこに上陸しようとすると見張りが二人を止めます。ウォーカーは、名をイーライと名乗り、聖書を持っていると告げると上陸を許可されました。出迎えの老人に案内されると、アルカトラズの内部はまるで博物館でした。ここに避難した人々は文明の欠片を集め、復活させようと印刷機も直しましたが、聖書だけがありませんでした。イーライは、ぼろぼろだがすぐに披露できると請合います。一方町に戻ったカーネギーですが、傷が悪化し体調を崩していました。そんな彼は聖書を開きます。そして彼は驚愕しました。アルカトラズではイーライが聖書の一言一句を暗唱し、それを老人に書き留めさせていました。カーネギーが開いた聖書は点字で、イーライは盲目だったのです。カーネギーはクローディアを呼び出し、聖書を読ませようとします。しかし彼女は、まず娘の事を問い質します。カーネギーが、ソラーラは自分の意思で帰らなかったと告げますが、彼女は信じませんでした。そして目の前の聖書が点字だと言う事に気付き、もう点字は忘れたと嘯きました。クローディアは、カーネギーから発せられる体臭で彼の体調を知り、念願の本を読めない気持ちを聞きます。そして、誰もが彼に恐怖して従っていたと言い、彼が動けなくなったらどうなるかと問い掛け去って行きます。朦朧とするカーネギーが最後に見たのは、略奪を始めた部下達でした。イーライの語った聖書は、印刷機で刷られ始めます。イーライは自分が為し遂げられた事を神に感謝し、信仰を守りぬいた事を誇りに思います。ソラーラは、イーライの墓の前で家に帰るという決意をします。アルカトラズの本棚に聖書が並び、ソラーラは、イーライのように旅立って行きました。
この映画の感想を投稿する