8人の女たちの紹介:2002年フランス映画。屋敷の主人を殺した犯人をめぐって容疑者の8人の女たちが主人公のダークコメディ映画で、フランス語の歌が歌われるミュージカル映画です。クリスマスに集まった親戚と家族が、お互いのことを探り合いながら一体家族達と使用人の中でになにが起きているのかを暴いていきます。
監督:フランソワ・オゾン 出演者:カトリーヌ・ドヌーブ(ギャビー)、ダニエル・ダリュー(マミー)、エマニュエル・べアール(ルイーズ)、リュディヴィーヌ・サニエ(カトリーヌ)ほか
映画「8人の女たち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「8人の女たち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「8人の女たち」解説
この解説記事には映画「8人の女たち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
8人の女たちのネタバレあらすじ:起
フランスの田舎のお屋敷にクリスマスを祝うために家族と親戚たちが集まります。屋敷の主人マルセルと妻のギャビー、その娘たちシュゾンとカトリーヌ、ギャビーの妹のオーギュスティーヌと母親マミー、そして使用人のシャネルとルイーズです。しかし、全員が雪の積もる屋敷に集まったとき、マルセルの部屋を訪れたルイーズがマルセルが背中を短剣で刺され死んでいることを発見します。カトリーヌは部屋に鍵をかけ、番犬が吠えなかったことから犯人はこの中にいると判断します。電話線は切られており外部に連絡はとれないことを知った女たちは警察を呼ぼうとしますか、マルセルの妹のピエレットが現れます。
8人の女たちのネタバレあらすじ:承
車で警察を呼ぼうとしますが、車は使えず、嵐が去るまで屋敷にとどまることになります。8人の女たちは一体誰がマルセルを殺したのかお互いを探り合います。朝屋敷についたふりをしていたシュゾンは、実は前夜に屋敷を訪れていたことを明かします。シュゾンは妊娠を父に報告するために来ていたといいます。お互いを探り合う内にピエレットが前夜にマルセルに金をねだっていたことが分かり、ピエレットとレズビアンのシャネルが関係を持っていたこともわかります。また、車椅子のマミーは実は歩くことが出来、破産しかけたマルセルを本当は救うことができるのにかくしていたことも分かります。
8人の女たちのネタバレあらすじ:転
ルイーズは女主人という立場のギャビーに愛情を抱いていると告白しますが、今回の事件で彼女の弱さに落胆したと伝え、ギャビーはマルセルの愛情足りないと、マルセルのビジネスパートナーと駆け落ちするつもりであったことを明かします。マルセルのビジネスパートナーはピエレットの愛する貢ぎ人であることも分かり、屋敷は混乱を極めます。シャネルが8人を制圧しようとしたとき、カトリーヌが銃を発砲し全員を静かにさせると、7人の女たちが昨晩マルセルを訪ねる場面をすべてみていたと離し始めます。
8人の女たちの結末
カトリーヌは、マルセルが本当は死んでおらず、殺されたように見せかけることで一体女たちが何を考えているのかを探るためであったと言います。カトリーヌはマルセルへの父親愛を語り、自分だけが本当にマルセルを愛していると伝えますが、女たちの話を始めからすべて聞いていたマルセルは銃で自殺してしまいます。悲劇にくれるカトリーヌと他の女たちがマミーを囲み、彼女が「幸せな愛なんてない」を歌う場面で映画は終わります。
「8人の女たち」感想・レビュー
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ダニエル•ダリュー、カトリーヌ•ドヌーヴ、イサベル•ユペール、ファニー•アルダンとフランスを代表する豪華な女優陣が結集しています。それぞれの強い個性が喧嘩せずまるでそれぞれ違った味で美味しいアソーテットチョコレートボックスのように贅沢で楽しい映画です。オゾン監督の往年のフランス映画に対する愛が感じられます。フランソワーズ•アルディの名曲が使われていたのも嬉しかったです。
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1950年代のフランス。イヴの朝。ある豪邸で、館の主マルセルが殺害される。
屋敷は、電話線は切られ、大雪に閉ざされた密室状態。身内を中心に、8人の女たちが集まっていたが、不倫、妊娠、金銭問題等、全員に殺害の動機があった。
長女のシュゾンは、さっそく犯人探しを始めるのだが——–。やはり、フランソワ・オゾン監督は、タダモノではない。
主役級の女優たちを一堂に集めて作った作品は、なんとミュージカル!!
もちろん正統派ではなく、オゾン流だ。1950年代のテイストと、往年のハリウッド映画の名女優へのオマージュが満載のこの「8人の女たち」は、豪華で風変わりな推理劇。
シニカルでコケティッシュな感触は、一度味わったら、もうやみつきになってしまう。妻に二人の娘、妹やメイド等、主に関わる女たちは、皆、殺人の同が充分。
お互いの秘密が、次々と明かされる過程で、フランスを代表する女優たちが、唐突に歌い、踊り出す。ドールハウスのような、テクニカラーの屋敷の中では、ミュージカル仕立ての進行も、不思議と違和感がない。
また、ファッションも、意図的に大仰で、目にも楽しい。
しかも、8人全員が、一人一曲、歌い踊るサービスぶりなのだから嬉しくなってしまう。フランソワ・オゾン作品と言えば、同性愛や近親相姦、軽いタッチの殺人等がお約束だが、この作品でも、思わぬ謎解きの小道具として登場する。
ポップな中にも、ちゃんと毒が仕込んであるのだ。大女優から新進気鋭の若手まで、百花繚乱だが、中でも、インパクト抜群なのが、女主人の妹を演じるイザベル・ユペール。
欲求不満で、家族中に当たり散らし、トラウマと心臓病を抱えて暴走中のオーギュスティーヌは、最高に笑える存在だ。イザベル・ユペールの確かな演技力が、、極上のコミカルさを生んでいると思う。
シチュエーション・コメディよろしく、笑い声を献上したいほどだ。
そして、彼女の変身後の姿は必見だ。ミュージカルの不自然さが苦手だと言う人にも、この作品は、楽しんで観る事が出来るだろう。
ここまでデフォルメされた展開なら、唐突さがむしろ魅力になっていると思う。我々、映画好きには、過去のヒロインのイメージを発見出来るお楽しみを付いている。
メイドのルイーズが大切にしている、元の女主人の写真は、故ロミー・シュナイダーではないか!!そして、ラストで明かされる家族の意外な秘密。
この作品は明らかに、女たちのドラマなのだ。
その証拠に、一家の主の顔は、ほんの一瞬を除いて、最後まで画面に登場する事はない。美貌とパワー溢れるフランス女優たちの、ノリまくった夢の競演は、ある意味、映画界の大事件とも言える。
とにかく音楽と衣裳がポップ!おしゃれで女性なら誰でも楽しめます。ミステリー要素もあって、お話としても面白いです。8人の女たちが織り成すダンスと歌は、まるでひとつの舞台を観ているような感覚です。次から次へと明るみに出る女たちの秘密と、どんでん返しは息つく暇もありません。