映画「愛する人に伝える言葉」解説
この解説記事には映画「愛する人に伝える言葉」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
愛する人に伝える言葉のネタバレあらすじ：夏
「死ぬ時を決めるのは患者自身だ」
病院の一室に集められた看護師たちにドクター・エデは語りました。
落ち着かない様子で病院の待合室にいるバンジャマン。赤いサンダルの感じのいい看護師ユージェニーに診察室へと案内されました。やがてドクター・エデが現れ、バンジャマンの母クリスタルも遅れて現れました。
バンジャマンは「他の病院で膵臓に“クソ”が見つかった。切除不能と言われたが化学療法は断った。先生は第一人者でしょ。治してほしい」とエデに相談しました。しかしエデの答えは「ステージ4の膵臓がんは治すことができない。緩和はできるがいつか必ずがんに負ける日が来ます」と率直に語り、バンジャマンに化学療法を勧めました。
帰り道、受験を控えた学生たちに演劇を教えているバンジャマンを劇場まで送ったクリスタルは、息子を送り出した後、運転をしながらこみ上げる涙を止めることができませんでした。
最初の化学療法を受けてぐったりとする息子を心配したクリスタルに、八つ当たりをするバンジャマン。
二度目の診察では、エデから「個人によるが、統計のでは余命半年から1年」と告げられました。自暴自棄になっていたバンジャマンでしたが、エデの励ましに少しずつ心を許していき、化学療法を続けることを決めました。
劇場では学生たちを指導するバンジャマンに一層の熱が入ります。生徒のひとりローラは、そんなバンジャマンに想いを寄せていました。
愛する人に伝える言葉のネタバレあらすじ：秋
病室でうつろに寝ているだけのバンジャマン。そんな息子の姿に堪えられなくなったクリスタルはエデに弱音を吐きます。そんなクリスタルにもエデは「そばにいて、彼を愛し、甘やかしてあげてください」と励ましました。
エデのすすめで、クリスタルはかつて自分が仲を引き裂いたバンジャマンの元恋人で、息子レアンドルとオーストラリアで暮らすアンナに電話をしました。バンジャマンがレアンドルを認知しなかったことにアンナは今でもクリスタルとバンジャマンを憎んでいました。
しかし、事実を知らされたレアンドルは「ひとりで会いに行く」とアンナへ告げました。
愛する人に伝える言葉のネタバレあらすじ：冬
病状が悪化し再び入院するバンジャマン。
レアンドルも到着し、エデと話しました。「患者は愛する人々に囲まれて安らかに旅発つのがいい」と諭されるものの、レアンドルは父と会う決心をつけられずにいました。
その後、バンジャマンに治療の効果がなくなったことを告げたエデ。意識のあるうちに会いする人に伝えてほしい5つの言葉を教えました。
病院を訪れたクリスタルは遺産の手続きを巡って、バンジャマンと激しい口論をしてしまいます。「どうするべきか、19年前のようには指図させない」とバンジャマン。子供を拒否したことを責めるクリスタルに、「今でも子供を背負っていないと思うか？忘れたとでも？」とバンジャマンもクリスタルを責めました。
数日が経ち、バンジャマンに恋心を寄せるローラが見舞いに訪れました。病室ではユージェニーが付き添っていました。試験前にアドバイスをもらうことを口実に会いに来たローラは、バンジャマンとの別れを察し挨拶をして去っていきます。
ユージェニーと2人きりになったバンジャマンは、弱音をもらします。「誰も幸せにしなかったし、誰からも必要とされなかった」バンジャマンのその言葉にユージェニーはただ黙って優しく抱擁するしかできませんでした。
レアンドルは再び病院を訪れました。父のために採血を申し出ましたが、まだ覚悟のできないレアンドルは「僕の血だと言わないでほしい」と告げ去っていきました。
愛する人に伝える言葉の結末：春
バンジャマンの生命はもはや風前の灯火でした。最後の力を振り絞って、法定管理人を前に子供を認知し、全財産を譲る遺言を残しました。
弱っていく息子に「ごめんなさい」と謝るクリスタル。そんな母にバンジャマンはエデから教えられた5つの言葉を口にしました。
「赦して」「俺は赦す」「ありがとう」「さよなら」「愛してる」
週末は非番になるエデとユージェニーがそれぞれ最後の別れを言うために病室を訪れました。ユージェニーは、もう話すこともできなくなったバンジャマンの手を握りしめ「あなたの血管にはあなたの息子の血が流れてるのよ」と伝えると、バンジャマンの目からは涙がこぼれ落ちました。
クリスタルは音楽療法士に、バンジャマンが好きだった歌『愛の哀しみ』リクエストしました。ギターの音色を聞きながらトイレに立つクリスタル。その間にバンジャマンは静かに息を引き取りました。そこへちょうどレアンドルがやってきて、クリスタルと顔を合わせました。レアンドルは音楽療法士にギターを借りると、バンジャマンの安らかに眠る顔を見ながら『愛の哀しみ』を歌いました。
レアンドルの歌声が病院に響いていました。
以上、映画「愛する人に伝える言葉」のあらすじと結末でした。
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