サイド・エフェクトの紹介:2013年アメリカ映画。担当するうつ病患者が殺人を犯したことで窮地に立たされた精神科医が、その裏に隠されていた陰謀を知り、全てを失いながらも真実を突き止めようともがく様を描く。
監督:スティーヴン・ソダーバーグ 出演:ジュード・ロウ(ジョナサン・バンクス博士)、ルーニー・マーラ(エミリー・テイラー)、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(ヴィクトリア・シーバート博士)、チャニング・テイタム(マーティン・テイラー)、ほか
映画「サイド・エフェクト」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「サイド・エフェクト」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
サイド・エフェクトの予告編 動画
映画「サイド・エフェクト」解説
この解説記事には映画「サイド・エフェクト」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
サイド・エフェクトのネタバレあらすじ:新薬の副作用
過去にうつ病を患っていたエミリーは、インサイダー取引で服役していた夫マーティンが出所したばかりのある日、自ら運転する車を壁に激突させる事故を起こす。自傷行為と判断されたエミリーは病院で診察を受けた精神科医バンクスのクリニックに通うことを約束し入院を拒否する。バンクスはその提案を受け入れ退院を許可する。クリニックに現れたエミリーを診察したバンクスは彼女をうつ病と診断し、以前にエミリーを診察していた医師シーバードに話を聞きにいく。そこで彼女からアブリクサという抗うつ剤の新薬をすすめられる。本人の強い希望もあって、バンクスは彼女にアブリクサを処方するが、薬の効果があった反面、副作用とみられる夢遊病の症状が出始める。心配するマーティンは薬を変えさせようとするがエミリーはアブリクサに固執し服用を続ける。そしてある日、台所で料理をしていたエミリーは帰宅したマーティンを持っていた包丁で刺殺する。
サイド・エフェクトのネタバレあらすじ:詐病
しかしエミリーには事件当時の記憶がなく、凶行はアブリクサの副作用である夢遊病状態で引き起こされたものだと主張して裁判では無罪、精神医療施設へ入所となる。薬を処方したバンクスはマスコミの追及を受け、オフィスの共同経営者からは信用にかかわるとクリニックを追い出される。アブリクサの製造元である製薬会社の株は暴落し、別の新薬を出そうとしている製薬会社の株が急騰していた。職を失い、追い詰められたバンクスはウェブサイトでアブリクサの副作用について書かれたシーバードの論文を目にして不審に思い、エミリーについても調べてみる。その結果、彼はエミリーのうつ病は詐病で、今回の事件はシーバードとエミリーによって仕組まれたものだと確信する。バンクスは自分とシーバードが手を組んだとエミリーに見せかけると、エミリーは自身の解放を条件に真相を告白する。事件は恋人関係にあるシーバードとエミリーが、株でのもうけを狙って詐病を利用したものだった。
サイド・エフェクトの結末:完璧な復讐
バンクスは主治医としてエミリーを施設から退所させ、盗聴器をつけてシーバードの元へ向かわせる。そこで全てが明らかとなり、シーバードは証券詐欺と殺人共謀で逮捕される。そしてエミリーに対しての復讐としてバンクスは副作用の強い薬を複数処方する。それを拒んで逃げようとしたエミリーは捕らえられて再び施設へ送られ、バンクスは平穏な生活を取り戻す。
「策士策に溺れる・人を呪わば穴二つ」などと言う古来からの戒め通りの結末を迎える。この作品は、正に他人をハメようとして自らが墓穴を掘ってしまった悲喜劇の典型である。この映画のメインテーマは騙しのトリックであり、サブテーマは向精神薬の恐ろしさである。抗うつ薬や精神安定剤は患者を救う反面、強い依存性と機能不全(生活障害)などで患者を苦しめる傾向がある。事ほど左様に精神医療ではクスリとリスクが裏表になっているのである。それを逆手に取って完全犯罪を狙ったのがエミリーとシーバード博士で、エミリーを薬漬けにして仕返ししたのがバンクス博士ということになる。両者共に向精神薬に人生を翻弄される点が非常に巧妙でユニークだと思う。映画のテイストとしては少々複雑で苦みの効いた大人の為のダークファンタジーであり一種の寓話でもある。ジュード・ロウの安定した演技も良かったが、ルーニー・マーラの危なさが際立ってリアルでありとても怖かった。ゼダ・ジョーンズとマーラの危ない関係、・・・・やはり女性は刃物の様で恐ろしい。ドロドロとした男女の情念の深淵を見せつける点では、サスペンスに加えて怪談の要素も充分に伺える。誠に複雑な要素が縦横に張り巡らされた完成度の高い映画であり見終えた後に満足感と疲労感が同居していた。