レナードの朝の紹介:1990年アメリカ映画。レナードは、少年の頃に嗜眠性脳炎に掛かり、意識のない状態で30年病院で過ごしていた。その病院になし崩し的に赴任したセイヤーは、その病気の患者達が反射等では行動出来る事を知り、その治療に心血を注いで行く。実話を元に難病に挑む医師と患者の奮闘を描いた医療ドラマ。
監督:ペニー・マーシャル 出演者:レナード(ロバート・デ・ニーロ)、セイヤー(ロビン・ウィリアムス)、エレノア(ジェリー・カブナー)、ロウ夫人(ルース・ネルソン)ほか
映画「レナードの朝」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「レナードの朝」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
レナードの朝の予告編 動画
映画「レナードの朝」解説
この解説記事には映画「レナードの朝」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
レナードの朝のネタバレあらすじ:起
少年レナードは他の子供達となんら変わらず過ごしていました。冬のある日、川沿いのベンチに悪戯で自分の名前を掘り込みますが彼の手が震え始めます。その日から彼は体が言う事を聞かなくなり、友達と遊ぶ事も日常生活もままならなくなっていきました。1969年夏、ブロンクスのベイブリッジ病院にセイヤーが赴任してきます。研究員として応募して来たつもりでしたが、医師の足りない病院は強引に臨床医として彼を採用します。病院はパーキンソン病等の重度慢性障害疾患を主に扱っていました。医療体制も満足に整っておらず、窓も叩かないと開かない新天地に看護士は、直ぐに慣れますよと気遣います。そんな病院にまた新しい患者がやって来ます。患者の女性は目は見開いていましたが意識は無いように見え、身じろぎ一つせず硬直したまま何の反応もしませんでした。セイヤーは彼女の眼鏡を拭いてやり、背を向けて診断書を作成し始めます。ふと振り向くと、女性は落ちていた眼鏡を拾おうとする姿勢で硬直していました。セイヤーは彼女の姿勢を戻し、眼鏡を彼女の足元に置きタイプライターに向かい、さっと振り向きます。しかし何変わって居ません。彼は試しに彼女の目の前に眼鏡を落して見ます。すると患者はそれを反射で受け取りました。その女性と同じ症状の患者は他にも居て、セイヤーは周りに不審がられながらも色々と検証を始めます。患者達は、ペンを目の前で落すと掴み、同期の取れて居ないテレビには興味を示し、歩く事もありますが何かしらの原因で立ち止まったりと、体が麻痺して訳では無いようでした。病院には青年となったレナードも入院していて、母親が語りかける言葉に答える事はしませんが、何か通じている様子はありました。セイヤーは看護士のエレノアと共に彼等の症例を調べます。エレノアは仕事が終わると彼をコーヒーに誘いましたが、人付き合いの苦手なセイヤーはそれを断ります。その内セイヤーは、レナード達が嗜眠性脳炎だと辿り着きまた。以前、突然歩く事を検証した女性患者が足を止めた原因を、セイヤーは子供の遊びからヒントを得て歩くリズムが判断できなくなったと想定し、市松模様を床全面に描いてみました。その結果、女性は歩みと止めず目的地、窓際まで歩き続ける事ができました。セイヤーは外を見ている彼女に感激しますが、その残酷さに直ぐ気付きました。
レナードの朝のネタバレあらすじ:承
セイヤーはレナードの母から発症時の話等を聞きます。更に彼は患者を検査し、投げたボールを受け取り、投げ返す等の反射による反応は残っている事を突き止めます。看護士達は読み聞かせ等、セイヤーの試みに徐々に協力するようになり、患者が好きな音楽に反応して動き始める事などを突き止めます。セイヤーは、ウィジャボードで意思の疎通が取れないかを確認します。レナードは、入院前に読んでいた本の一節をたどたどしく選択していました。セイヤーは、パーキンソン病の最新治療薬に目をつけます。彼は難色を示す上司を説得し、レナードへの試験を行います。投薬は様子を見ながら徐々に量を増やして行きましたが、効果が見られない事からセイヤーは、夜こっそりと大量に投与します。その後、レナードの経過を見ていたセイヤーは転寝をしてしまいます。気が付くとレナードは居らず、探すと娯楽室でテーブルに座って居ました。彼はセイヤーを見詰め、ここは静かだと口にしました。レナードは回復して行き、母親は彼を抱き締めて喜びます。看護士達もそれに喜びます。外出を許可され、30年を飛び越え様変わりした街や、変わらない、彼が少年の頃名前を掘りこんだベンチを確認し、セイヤーの家に招かれます。彼の家を見て結婚していないのかとレナードが聞くと、セイヤーは人見知りで出来ないと答えます。そこでレナードは、エレノアが彼に好意を寄せている事と言い出します。ランチの席、セイヤーは上司に他の患者への投薬を相談します。しかし薬は高額で、上司はなかなか首を縦に振りませんでした。そこにエレノアがやって来て、上司に小切手を差し出しました。更に他の看護士達、そして従業員に至るまで、次々と小切手を寄付して行きました。支援者達へ寄付を募る為、セイヤーはスピーチの練習をします。それを聞いていたエレノアは専門過ぎるとアドバイスします。支援者達が、スピーチとレナードの映像記録を見て率先して寄付を出してくれたお陰で薬の費用は捻出で来ました。
レナードの朝のネタバレあらすじ:転
オフィスで転寝をしているセイヤーを、エレノアは奇跡が起きたと起こして病室へ連れて行きます。患者は全員が起き上がっていました。娯楽室は大騒ぎになっていて、患者達は動ける事に感激します。患者の一人は動けなかったが意識はあったと言います。皆長い空白の時間を抱えていましたが、彼等の家族も喜びます。患者達が皆で外出をする日が来ました。その時になってレナードは、他の病気で動けない患者達が目に留まります。そして、エレベーターですれ違った父親を介護する女性が気に掛かり、病院に残ってその女性、ポーラに話し掛けました。外出した患者達をセイヤーは、自分が良く来るからという理由で植物園に連れて行きました。しかしこれが不評で、今度はエレノア達がダンスホールに連れて行きます。禁酒法が終わった事も知らなかった患者達は大はじゃぎですが、セイヤーは馴染めず落ち着きません。病院のレナードは、ポーラから難病の父親の事を聞きます。彼女の母親はもう諦めていましたが、彼女自身はいつか回復すると信じていました。そんな彼女を勇気付ける様にレナードは、自分もここの患者だと告白します。ダンスホールでは、患者がセイヤーをダンスに誘い、困った顔の彼と踊り始めます。エレノアはそれを楽しそうに見ていました。楽しそうに話し合ったレナードとポーラは別れます。別れ際、レナードはポーラに、父親は娘が見舞いに来てくれているのが判っていると告げます。セイヤー達は、患者達に眠っていた間の出来事を教え始めます。自由に外出を求めたり、現実を受け入れられない患者も出始めます。レナードの母親は、ポーラと楽しげに話す彼をまだ子供なのにと心配します。家族の側でもまだその空白を埋め切れて居ませんでした。ある日レナードは、夜中電話で家で寝ているセイヤーを呼び出しました。彼は悪いニュースばかりが目に入り、生きている事にもっと喜びを得るべきだと熱弁を振るいます。その内彼も自由に外出する事を求め始めます。セイヤーは他の医師達と検討しますが、完治を示す材料が無い状況でそれは許可出来ないと判断しました。それをレナードに伝えると彼は怒り出し、外に向かって歩き出します。しかし警備員や看護士に取り押さえられてしまいました。それを聞いた彼の母親は抗議し、別人のようだと嘆きます。レナードは他の患者達を扇動し始めました。しかしその体は徐々に痙攣を始めていました。
レナードの朝の結末
セイヤーは同情しつつも抗議するレナードを説得しようとします。そこで彼の痙攣が見て取れ、症状の悪化を判断します。凶暴な行動も薬の副作用考えられ、セイヤーは治療に協力しろと言います。それに対しレナードは、自分は病気と30年戦ってきた、仕事漬けにならないでもっと人生を謳歌しろと反発してセイヤーを突き飛ばし、その時落ちた彼のメガネを踏んで壊してしまいます。肩を落としセイヤーは家に帰り、別な眼鏡を出します。娯楽室では一人、壊れた眼鏡を直そうとするレナードの姿がありました。セイヤーは病院に戻り、娯楽室でテーブルに乗っかっている自分の眼鏡を見付けます。その床にはうずくまり動けなくなったレナードの姿がありました。駆け寄るセイヤーにレナードは助けを求めます。薬の副作用と見られる症状が出たとセイヤーは判断します。レナードはそれを見せる為に敢えて患者仲間の所に戻ります。誰もがレナードを心配します。レナードは周りが自分をどう思って居るかを聞きます。セイヤーは隠さず同じに様になる事を恐れていると告げました。レナードはセイヤーに、皆を助けると約束させました。治療は効果を見せず、徐々に前と同じ状況に戻りつつあるレナードをセイヤーは克明に記録して行きます。彼がそれを躊躇う時はレナードが学べと叱咤しました。しかしそんな姿を見せて周りを悲しませているとレナードは嘆きます。そんな息子を見て母親は、投薬の中止を訴えます。レナードは戦っているとセイヤーは説得しますが、彼女の意思は変わりませんでした。レナードは、ポーラに動かなくなりつつある自分の姿を見せ、さよならを告げます。立ち上がり、握手をする彼とポーラは一踊りして別れます。別れに涙する彼に、誰も言葉は賭けられませんでした。やがてレナードは、前と同じ状態に戻りました。元気だったレナードの映像を見てセイヤーは自分に落胆します。彼はエレノアに、レナードからまた自由を奪った酷い人物だと自虐します。彼女はそれを与えもしたと慰めました。冬になり、奇跡の夏と言われた患者全員が前の姿に戻っていました。セイヤーは支援者達に、自分を含めた関係者全員がまた回復させられると信じていると訴えました。レポートを書くセイヤーに、エレノアが先に帰ると声を掛けます。セイヤーは受け答えし、資料を見ると徐に窓に駆け寄ります。そして窓を開け、エレノアに待つ様に言って追い掛け、彼女をコーヒーに誘いました。エレノアはそれを喜んで受けました。見たのはレナードの写真でした。その後、この1969年のような劇的な変化はありませんが、彼等は同じ病院で治療を続けて居ます。セイヤーはまたウィジャボードを使い、レナードの診療を続けました。
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