キネマの天地の紹介:1986年日本映画。松竹大船撮影所50周年記念作品。松竹が大船に撮影所を移転する直前の1934年ごろの松竹鎌田撮影所が舞台。小津安二郎、田中絹代など、黄金時代の映画人たちをモデルにして書かれています。
監督:山田洋次 出演:渥美清(田中喜八)、有森也実(田中小春)、中井貴一(島田健二郎)、すまけい(小倉金之助監督)、岸部一徳(緒方監督)、ほか
映画「キネマの天地」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「キネマの天地」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「キネマの天地」解説
この解説記事には映画「キネマの天地」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
キネマの天地のネタバレあらすじ:起
昭和8年、浅草の活動小屋で売り子をしていた田中小春は、松竹キネマの小倉監督に見出され、蒲田撮影所の大部屋女優となります。小春の母は大正12年の関東大震災で亡くなっており、旅回りの役者だった病気がちな父、喜八と2人で長屋暮らしをしていました。撮影所では、初日からエキストラで看護婦役に起用されますが、初めての演技で緊張のあまり、遺族役より先に泣き出してしまい、小倉監督に怒鳴られます。落ち込んで家に帰った小春を、小倉監督は助監督の島田に迎えに行かせます。
キネマの天地のネタバレあらすじ:承
島田に励まされ、小春は辞めようと思っていた女優を続けることにします。これがきっかけで小春と島田は親しくなり、お互いに惹かれ合っていきます。ところが小春はプレイボーイの有名俳優、井川と共演し、キスされます。小春と井川は噂になり、新聞にも載ったため、喜八に怒られます。映画に失望し始めた島田を、先輩の小田切が励ましますが、その小田切が思想犯として逮捕され、島田も共犯の容疑で捕まります。留置所の中で他の服役囚と映画の話しをしているうちに、島田の中で映画への情熱がよみがえります。島田は再び松竹に戻り、小春やみんなに温かく歓迎されます。
キネマの天地のネタバレあらすじ:転
昭和9年。島田が脚本を書き、助監督も務める映画「浮草」の撮影中に、松竹の看板女優の川島澄江が恋人と駆け落ちし、失踪。新人女優の小春がその大作の主役に抜擢されますが、撮影中、恋人から東京へ一緒に逃げようと言われるシーンでの演技が上手くいかず、撮影が中止となります。帰宅した小春に、喜八は一座の看板女優だった母に求婚した時の話しをします。その時、母はすでに他の人の子供を妊娠しており、喜八は小春が実の娘でない事は黙っておくつもりでしたが、小春が女優を続けていけるように、演技の参考にさせるために話したのでした。
キネマの天地の結末
そのおかげで役の心情が理解できた小春は、素晴らしい演技を見せ、映画は大ヒット。小春は人気女優となります。近所の奥さんと一緒に映画館へ「浮草」を見に行った喜八は、映画を見ながら亡くなります。同じ頃、撮影所でイベントが行われていて、小春はステージの上で「蒲田行進曲」を歌っていました。喜八の訃報を受けた島田と小倉監督は、そんな小春を見ながら「娘の晴れ姿を見ながら死んだか、旅役者のおとっつあんは。」とつぶやきます。
渥美清さんの演技が、素晴らしかった。
過去の人生の裏話を、主人公に聴かせて人の気持ちが分からないなら、良い役者にはなれないと解いて聴かせる。
こう言うことは、芸人の世界だけでなく、全ての生き方に通じているだろう。