マルサの女の紹介:1987年日本映画。国税局査察部、通称マルサに勤務する女性査察官が、脱税者の脱税のカラクリを捜査し解明していく過程での攻防をコミカルに描いています。
監督:伊丹十三 出演:宮本信子(板倉亮子)、山崎努(権藤英樹)、津川雅彦(花村)、大地康雄(伊集院)、金子(桜金造)、ほか
映画「マルサの女」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マルサの女」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「マルサの女」解説
この解説記事には映画「マルサの女」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マルサの女のネタバレあらすじ:起
税務署に勤務する板倉は、パチンコ店の所得隠し、スーパーの売上計上漏れを見つけるなど、地味な仕事が中心ですが、やり手の調査官です。ある日、板倉は、ラブホテルを経営する実業家の権藤が売上金をごまかしていると目を付けます。ラブホテルは領収書を切らないため、売上をごまかしやすいのです。ですが、権藤は抜け目なく、なかなかしっぽが掴めずにいました。そのうえ税務署は強制調査権限がないため、巧妙に仕組まれているであろう脱税を暴く事ができずにいました。
マルサの女のネタバレあらすじ:承
日ごろの仕事ぶりが認められ、板倉は国税局査察部、通称「マルサ」に栄転となります。マルサは税務署のプロ集団、いわゆる摘発のプロ達です。板倉は着任早々功績を上げます。上司の花村に能力を買われ、同僚の信頼も得た板倉。そんな中、権藤の元愛人、剣持から密告電話が入りました。板倉は、雨の中、現愛人の鳥飼が捨てたゴミ袋を漁り、証拠を見つけます。権藤は毎朝、売上金を集めて愛人宅へ行き、愛人宅に銀行マンが来て、それを回収し、架空名義口座に預金しており、脱税額は13億円ほどと思われました。
マルサの女のネタバレあらすじ:転
その後、後藤宅、愛人宅、ホテル、銀行などで、ガサ入れが始まりました。権藤宅のガサ入れでは証拠がまだ出ません。花村は権藤に話しかけ、板倉は権藤の視線を追います。本棚に何かあるとにらむのですが、何も分かりません。花村が「どうしたら金がたまるんだ?」と尋ねます。裏金が見つからない事に気を良くしている権藤がそれに機嫌よく答えている時、疲れた板倉が寄りかかると、本棚が反転して、大金が隠されている隠し部屋が見つかります。
マルサの女の結末
同じころ、愛人宅では口紅に隠された印鑑が見つかります。観念した権藤が隠し金庫の鍵は光子が持っていると白状、花村は光子から鍵を受け取ります。その後、政治家から花村にクレームの電話が入りますが、花村ははぐらかします。半年後、まだ口を割らない権藤が板倉に会いに来ます。ガサ入れの日に、家を飛び出した息子、太郎を板倉が連れ戻してくれた事に礼を言います。「あんた、今の仕事を辞めて私のところに来ないか?」と言う権藤に板倉は首を横に振ります。権藤は自分の指をナイフで切り、その血で、板倉が以前忘れていったハンカチに数字を書きます。「丸の内の貸金庫に3億ある。その暗唱番号だ。」と言い残し、去っていきました。
ラブ・ホテルは領収証は発行しないから脱税が容易だろうというところから、国税局査察部、すなわち”マルサの女”の登場となる。
宮本信子が、さっそうと楽しげに自立した女性査察官を演じている。
脚本・監督の伊丹十三の発想が、実に新鮮だ。
社会派ドラマの脚本の命は、一にアイディア、二に練り具合、三に周到な資料収集ではないかと思っていますが、この映画「マルサの女」は、三拍子そろった、実に面白いエンターテインメント映画に仕上がっていると思う。
脱税の手口を見せてくれるのが楽しいし、マルサの女と対決するラブ・ホテルの経営者を演じた、山崎努のリアリズムとデフォルメの間で巧みに演じる演技も堪能できる。
だが、ラブ・ホテルの脱税は、しょせん巨悪ではない。
この映画が公開された1987年は、バブル最盛期ですが、その頃には不良債権その他の巨悪の種が深く静かに蒔かれていたはずなんですね。
この映画にリアリティがあるだけに、なおのこと、もっと奥の大きなからくりを暴いて欲しかったなとつくづく思いますね。
それにしても、今考えてみても「~の女」シリーズは、伊丹十三と宮本信子コンビによる、質の高いエンターテインメント作品群だったんだなと、改めて思いますね。
伊丹十三監督の不幸な死が惜しまれます。
彼にはもっと多くの映画を撮って欲しかったなと思いますね。