トム・ジョーンズの華麗な冒険の紹介:1963年イギリス映画。ヘンリー・フィールディングの小説「トム・ジョーンズ」を基に製作された作品で、親に捨てられた男が、数奇な運命のもと真実の愛を追い求めて冒険を繰り広げる姿をコメディタッチで描いた活劇です。
監督:トニー・リチャードソン 出演者:アルバート・フィニー(トム・ジョーンズ)、スザンナ・ヨーク(ソフィー・ウェスターン)、ヒュー・グリフィス(大地主ウェスターン)、リン・レッドグレイヴ(スーザン)、ジョーン・グリーンウッド(レディ・ベラーストン)ほか
映画「トム・ジョーンズの華麗な冒険」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「トム・ジョーンズの華麗な冒険」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「トム・ジョーンズの華麗な冒険」解説
この解説記事には映画「トム・ジョーンズの華麗な冒険」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
トム・ジョーンズの華麗な冒険のネタバレあらすじ:起
18世紀のイングランド。大地主オールワージー(ジョージ・ディヴァイン)の屋敷に男の子の赤ん坊が捨てられていました。この赤ん坊の親は屋敷の使用人ジュニー(ジョイス・レッドマン)とお抱え理髪師パートリッジ(ジャック・マクゴーラン)との間に出来た子と見なされ、二人は追放されてしまいます。トム・ジョーンズと名付けられた赤ん坊はオールワージーの養子として育てられました。やがてトム(アルバート・フィニー)は自由奔放で陽気な青年に成長しましたが、トムとは違って模範的な性格の持ち主であるオールワージーの妹ブリジット(レイチェル・ケンプソン)の息子ブリフィル(デヴィッド・ワーナー)はトムとは反りが合いませんでした。
トム・ジョーンズの華麗な冒険のネタバレあらすじ:承
女性に対しては滅法弱いトムは恋の噂が絶えず、オールワージー家の猟番をしているブラック(ウィルフリッド・ローソン)の娘モーリー(ダイアン・シレント)らと浮名を流していました。そんなある日、大地主ウェスターン(ヒュー・グリフィス)の娘ソフィー(スザンナ・ヨーク)の乗った馬が暴走、トムは彼女を助けますがその際に右肩を骨折してしまい、ウェスターン家でソフィーの手厚い看護を受けているうち、いつの間にか二人は愛し合うようになっていました。しかしそんなある日、オールワージーとブリジッドは馬車の事故に遭い、ブリジッドは死亡、オールワージーも重傷を負ってしまいます。
トム・ジョーンズの華麗な冒険のネタバレあらすじ:転
トムとソフィーの交際を快く思わないウェスターンは彼女とブリフィルを結婚させようとしますが、ソフィーは真面目だけが取り柄で人間的な魅力のないブリフィルには全く興味を示しません。そこでブリフィルはトムの乱交をでっち上げ、オールワージーはトムを勘当してしまいます。トムは仕方なくロンドンに向かい、ソフィーもトムの後を追い、ウェスターン夫妻も娘の後を追います。しかし、ロンドンに着いたトムは、成り行きから複数の女性と関係を持ってしまいます。
トム・ジョーンズの華麗な冒険の結末
トムの馴れ初めを見てしまったソフィーはすっかり誤解してしまい、遂にトムを見限ってしまいます。一方、トムはかつてオールワージー家の理髪師だったパートリッジと再会します。実はパートリッジはトムの実の父ではなく、パートリッジに償いをしたいトムは彼を使用人として雇います。その後、トムは些細なトラブルから人を傷つけてしまい、ブリフィルの策略によって犯罪人に仕立てられ、絞首刑を宣告されてしまいます。一方、オールワージーはトムが自分の妹ブリジッドの実の子であったことを知り、ウェスターンと共に間一髪で処刑寸前だったトムを助け出します。トムは正当防衛が認められて釈放され、オールワージーはトムに謝罪します。そしてトムはウェスターンに促され、誤解の解けたソフィーと強く抱き合いました。
この映画「トム・ジョーンズの華麗な冒険」は、1963年度のアカデミー賞、ゴールデングローブ賞で最優秀作品賞を受賞した、英国の鬼才トニー・リチャードソン監督の作品。
この映画の前年の「長距離ランナーの孤独」で注目された、英国の俊英トニー・リチャードソン監督が、18世紀の通俗的な長編小説を原作に、快調なテンポと才気煥発な演出で仕上げた、冒険コメディの傑作だと思います。
大地主に育てられた捨て子が、女好きの調子の良い青年に育ち、女難濡れ衣やらの冒険を重ねて、危機一髪のところでハッピーエンド。
いかにもお気楽な風俗劇だが、”怒れる若者”の代表格と目された、社会派のトニー・リチャードソン監督が、一転、娯楽的な題材を才気いっぱいに撮った作品だけに、オスカー、ゴールデングローブのダブル受賞となったのだ。
私がこの映画で、特に注目したのは、精力旺盛、女好きで義侠心に富む、ユニークな放蕩児のトム・ジョーンズというヒーローを、生き生きと明るく演じたアルバート・フィニーだ。
彼は英国王立演劇学校出身のシェイクスピア役者という、まさに英国男優のエリート・コースの出身で、若い頃、ローレンス・オリヴィエの再来と注目され、同期にピーター・オトゥール、アラン・ベイツという役者がいましたね。
彼は、デヴィッド・リーン監督の「アラビアのロレンス」の主役のロレンス役のオファーを受けながら断り、ピーター・オトゥールに変更になったという逸話が残っていますね。
彼はその後も「いつも二人で」「クリスマス・キャロル」「オリエント急行殺人事件」「火山のもとで」「ドレッサー」等の数々の作品で、演技派俳優として活躍しましたね。