ハクソー・リッジの紹介:2016年オーストラリア,アメリカ映画。第二次大戦中、沖縄の前田高地(ハクソーリッジ)で銃を持たずに衛生兵として働き、多くの兵士を救った実在の二等兵の半生を描く。メル・ギブソンが「アポカリプト」以来10年ぶりにメガホンを取り、アカデミー賞では6部門でノミネート。編集賞と録音賞の2つのオスカーを獲得した。
監督:メル・ギブソン 出演:アンドリュー・ガーフィールド(デズモンド・ドス)、サム・ワーシントン(グローヴァー大尉)、テリーサ・パーマー(ドロシー・シュッテ)、ヴィンス・ヴォーン(ハウエル軍曹)、ヒューゴ・ウィーヴィング(トム・ドス)、ほか
映画「ハクソー・リッジ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハクソー・リッジ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハクソーリッジの予告編 動画
映画「ハクソー・リッジ」解説
この解説記事には映画「ハクソー・リッジ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハクソーリッジのネタバレあらすじ:起
太平洋戦争末期、沖縄に上陸した米軍は日本兵と熾烈な肉弾戦へ。二等兵であるデズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)はその戦いの最中に負傷、担架で運ばれていきます。その時彼の頭には、聖書のイザヤ書40章28節から31節の聖句が思い浮かんでいました……。そして時は16年前へ。米国バージニア州のブルーリッジ山脈で、デズモンドは弟のハルと山道を歩いています。2人は柵のない危険な崖でふざけあうなど、腕白そのもの。近所の人たちはその行状を見て「父親のトムが悪いんだ」と噂します。トム(ヒューゴ・ウィーヴィング)は第一次世界大戦に出兵して以来神経を病み、酒に溺れていました。何かというと墓地へゆき、ブツブツと独り言をつぶやいているのです。今日もトムが墓地から帰ってくると、デズモンドとハルは自宅の庭で取っ組み合いの最中。トムは注意するでもなく、やらせたい放題です。やがて喧嘩はエスカレートし、デズモンドの方がハルをレンガで殴打。あわててトムとその妻ベルサはハルを家の中へ運び込み、傷の手当に大わらわとなります。デズモンドはベルサから「殺人は最大の罪だ」と諭され、呆然として立ち尽すのです。――結局この事件は、デズモンドにその生き方を決める大きな影響をあたえることになります。それから15年経ち、デズモンドは気立ての良い青年となりました。
ハクソーリッジのネタバレあらすじ:承
ある日、彼は大怪我をした男を病院に連れて行き、ドロシー・シュッテ(テリーサ・パーマー)という若い看護婦と出会います。彼女に一目惚れしたデズモンドはデートに誘い、ふたりの仲は急速に進展。自宅にも彼女を招き、家族公認の仲となります。一方、真珠湾攻撃の報が全米を揺るがせ、その影響はドス家にも及びます。ハルが家族に相談もないまま志願兵として入隊することとなったのです。弟の行動にデズモンドも心を動かされ、自分も入隊を決意、ドロシーにそのことを告げます。ドロシーは最初怒りますが、デズモンドにプロポーズされるとそれを承諾。フィアンセとして彼の新兵としての出発を見送ります。訓練基地に入営したデズモンドですが、やがて彼の行動が問題となります。他の訓練は素直に受けていたのに、M1ライフルの射撃訓練だけは頑として拒否したからです。「人を殺める武器を手にすることはできない」というのがその理由でした。上官からは叱責を受け、同じ訓練兵仲間からも爪弾きの目に会います。中隊司令官から銃を持つように強制されますが、それも拒否。おかげで自分の結婚式にも欠席する羽目に陥ります。それでも信仰から生じたその決意は揺らぎません。やがて軍法会議に処すべきかどうかを判断する聴聞会が開かれます。デズモンドにとっては不利な状況でしたが、息子の苦境を見るに見かねた父親のトムが古い軍服を着て聴聞会の席に現れ、今は准将となった昔の兵隊仲間の手紙を裁判官に手渡します。これによってデズモンドの権利は認められ、不名誉除隊も軍事刑務所行も免れることができるばかりでなく、ライフルを手にせずに戦場へゆけることになりました。
ハクソーリッジのネタバレあらすじ:転
そして訓練を終えた兵士たちは戦場へ。1945年5月、激戦の続く沖縄のハクソー・リッジ(前田高地)にグローヴァー大尉(サム・ワーシントン)率いる第77師団が到着します。150mもの絶壁を登りきり、艦砲射撃の煙が霧のように立ち込める中をゆっくり前進する兵士たち。足元には原型をとどめない肉塊やウジ虫の湧く遺体が転がっています。突如、日本軍の弾幕が部隊を襲います。次々と吹き飛び倒れ込んでゆく兵士たち。しかし、デズモンドは嵐のような砲火や銃弾の中を縦横無尽に駆けめぐり、負傷者に次々手当を施します。デズモンドの勇気に打たれ、部隊仲間のスミティも率先して前へ。それまで反目し合っていた二人は互いの窮地を助け合い、いつしか憎悪は友情に変わっていきます。日本軍が自分たちの陣地に退却した後、塹壕で身の上話をする二人。デズモンドは母親に暴力を振るう父親を銃で殺しかけた過去を打ち明けます。デズモンドが銃を拒否したのはこの時の誓いを守るためでした。一夜が開け、日本軍が攻撃を再開。捨て身の攻撃に圧倒され、米軍は撤退を余儀なくされます。その過程で被弾したスミティは、デズモンドの介抱むなしく死んでしまいます。歩ける兵士は全員が崖の下に降り、尾根では援護の艦砲射撃が始まりました。ただデズモンドはあえて尾根に残ったままです。砲火の下を駆け回り、取り残された負傷兵を一人づつ崖の下に降ろすデズモンド。援護砲撃が止むと、日本兵が再び動き出します。日本兵から逃れるために侵入した防空壕の中で、デズモンドは負傷した日本人にも手当をしてやります。
ハクソーリッジの結末
防空壕から脱出した後も、神に祈りながら不眠不休で仲間を救助。その数は75人にもおよびました。グローヴァー大尉は今までの非礼をデズモンドに詫びます。そして翌日の土曜日の参戦を彼に乞うのです。デズモンドは土曜日を安息日とするキリスト教教派の信者でした。彼は大尉に同意して参戦を決意します。翌日、デズモンドが仲間の前で神に祈りを捧げた後、最後の突撃が始まりました。前日と打って変わって今度は米軍が優勢、日本兵も白旗を上げたため戦いも終了かと思われたのですが、日本兵は降伏に見せかけてなおも手榴弾を投下。手で振り払ったデズモンドは爆風を受け、足を負傷します。米軍はようやくハクソーリッジを占領しました。仲間にタンカで運び出されるデズモンド。崖から吊り降ろされるタンカの上で「主を待ち望む者は新しく力を得、鷲のように翼をかって上ることができる」というイザヤ書の聖句をかみしめます。その表情は平安に満ちていました。帰国した彼は良心的兵役拒否者として初の名誉勲章を授けられます。デズモンドの信仰は2006年3月に87歳で亡くなるまで衰えませんでした。その戦場での活躍はいまだに語り継がれているのです。
以上、映画ハクソーリッジのあらすじと結末でした。
「ハクソー・リッジ」感想・レビュー
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あまり期待はしていませんでしたが、期待を裏切るほどの傑作でした。
パッケージや宣伝文句を見ても沖縄戦とは書いていないので、戦闘シーンで大勢の日本兵が登場したときは驚きました。
しかも、この日本軍がとても強く主人公たちの部隊を苦しめます。
主人公が銃を持たない衛生兵であることも斬新です。
戦闘シーンなどではかなりショッキングなシーンが含まれていて、戦争映画を見慣れている人でも注意が必要です。
ただ、作品自体は素晴らしく、ここ最近の戦争映画では一番だと思います。
最後に主人公が実在の人物であることが分かったときは感銘を受けました。 -
監督のメルギブソンさんはいろいろと問題行動が伝えられていますが、この映画については、これまで観てきた如何なる映画よりも戦争の実際、悲惨さを観客に伝える事ができた画期的な映像作品だと思います。実話である事ふくめ、ストーリーも素晴らしく是非多くの人に鑑賞してもらいたいと思います。平和教育の教材として学生にも観てもらいたいです。一点残念なのは、この戦闘で浦添町の人口の45%民間人が亡くなってしまった事にも触れて描写してほしかったと思います。
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すごい映画でしたプライベートライアン以来の壮絶な戦闘シーンCGなのか特殊メイクなのかすごかった。いまウクライナでこういう悲惨な戦争が起きている、考えさせられる映画でした。
レンタルで借りて観たのですが、「どのあたりが見ものか?」また、「監督がメルギブソン」なのが鑑賞のきっかけです。物語の初めは戦争映画らしくありませんでしたが、主人公の宗教信仰の強さと現実とのギャップが今後の物語の展開を期待した次第です。主人公の銃を持たない信念はとうとう戦争の現場にまでに至りますが、愛を感じました。知らぬ間に涙がこぼれていました。彼の博愛の精神は想像を絶する究極的な状況でも貫き通されました。敵軍の日本兵も手当のため救済しますが、たった独りでも75人もの兵を崖から下ろす労力は信念の力によって限界状況を打破する命を懸けた証明となりました。その話は現実のことだったので勇気とはどのようなものなのかを深く感じました。