めしの紹介:1951年日本映画。平凡な毎日の連続に、結婚当初の希望や輝きを失いつつあると感じている三千代。そんな夫婦の元へ、夫の姪・里子が転がり込んでくる事で、除々に三千代の中に何かが蓄積されていきます。ついに実家へ帰った三千代は、自分の幸福とは、女の幸福とは何かをもう一度考え直すのでした。
監督:成瀬巳喜男 出演者:三千代(原節子)、初之輔(上原謙)、里子(島崎雪子)、信三(小林桂樹)、まつ(杉村春子)ほか
映画「めし」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「めし」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「めし」解説
この解説記事には映画「めし」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
めしのネタバレあらすじ:起
大阪府の南の外れ、少し田舎雰囲気漂う路地で夫・初之輔と暮らす三千代は変わりばえのしない日々や張り合いのない夫に心のどこかで退屈を感じています。周囲の反対を押し切って、東京から大阪へ越してきて5年。当時の情熱や希望や夢はどこかへ失せ、台所と茶の間を行ったり来たり、女の一生はそうして老い朽ちていくのだろうかと思いを巡らせます。特に不満もないですが、満ち足りている訳でもありません。そんな日々が続きます。そんなところへ初之輔の姪っ子・里子が、縁談が気に入らないのを理由に東京から家出をして岡本家に転がり込んできます。
めしのネタバレあらすじ:承
若さ故なのか、里子の歯に衣着せぬ物言いや、自信に満ち満ちた態度が少しずつ引っかかってしまう三千代。三人で行こうと言っていた大阪観光も、土壇場になって止めてしまいます。ある日、三千代は夕飯の支度を里子に頼んで、同級生の仲良し組と食事をしにいきます。みんなで身の上話をするも、みなそれぞれ隣の芝は青く見えるご様子。一方、里子はタバコをすってみたり、ともすると夕飯の支度もせずにうとうとと眠り込んでいました。初之輔が帰ってきて2階へ起こしにいくと、その隙に玄関の靴まで盗まれてしまいます。三千代が帰ってくると何一つ出来ていない台所をみてうんざり。あれこれと夫に文句を言っても、今ひとつ反応が返ってこないのでまたうんざり。それでいて里子はと言えば、お向かいさんへお呼ばれにいったり、近所の男子に誘われてふらふらと遊び歩いたり、良くも悪くも自由奔放、思うままに振る舞う里子に、三千代の心はしだいにかき乱されていきます。
めしのネタバレあらすじ:転
そろそろ東京に帰る事にした里子を送るついでに、自身も少し東京に残る事を決意した三千代。それを聞いた初之輔は動揺するも、三千代がどうして機嫌が悪いのかよくわからず、不安げに見送る事しか出来ませんでした。三千代は母親と妹夫婦が待つ実家に戻り、こんこんと眠り続けました。それから、初之輔に手紙を書きます。でも出すつもりのない手紙です。母親・まつは、「そんなの書いてないで早くおかえんなさいな」と、今回の滞在をあまり良くは思っていません。 一方、一人残された初之輔は家事も思うように出来ません。部屋は散らかり放題です。仕事の方では良い話が持ち上がりましたが、初之輔は三千代に相談してから決めます、と返事をします。ある嵐の晩、三千代の実家になんとまた里子が転がり込んできます。映画を観てて遅くなっただの、父親に怒られただのとという理由で、一切の遠慮もなくここへ泊まるという里子に、妹の夫・信三が「感情をべたつかせて、人に無意識に迷惑をかける人間は大嫌いだなあ」とぴしゃり言ってやります。
めしの結末
初之輔が出張で着たと言いつつ、東京まで三千代を迎えにやってきます。いつもと少しも変わらず、どこかぼんやりとした態度の夫をみて、三千代は自分がもやもやしていた事が馬鹿馬鹿しく思えてきます。一緒にビールを少し飲み、それから大阪へ帰ろうと言いました。 二人で電車に揺られ、帰る車窓から三千代は夫にしたためていた手紙を破り捨てるのでした。 自分の幸福とは、女の幸福とは何たるかの答えを自分なりに見いだして。
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