映画「空気人形」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
空気人形の紹介：2009年日本映画。空気人形の紹介：業田良家の心を持った人形を描く漫画「ゴーダ哲学堂 空気人形」を実写映画化。第62回カンヌ国際映画祭のある視点部門で上映されました。監督は「そして父になる」や「海街diary」の是枝裕和。
監督：是枝裕和 出演：ペ・ドゥナ（空気人形）、ARATA（レンタルビデオ屋の従業員・純一）、板尾創路（空気人形の持ち主、ファミレス従業員・秀雄）、高橋昌也（元高校国語教師・敬一）、余貴美子（受付嬢）、岩松了（レンタルビデオ屋の店長・鮫洲）、オダギリジョー（人形師）、富司純子（未亡人）、ほか
この解説記事には映画「空気人形」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ファミレスで働く独身の中年男・秀雄(板尾創路)は、古びたアパートでラブドールと寂しく暮らしています。彼は、ラブドールを「のぞみ」と呼び、まるで恋人のように接していました。
そんなある日、のぞみ(ペ・ドゥナ)は秀雄が出社すると、本物の人間のように突然動き出します。のぞみは部屋にあった洋服を着て、鏡の前で自分の姿を見つめました。セーラー服を着たり、人魚の衣装を着るのぞみは、最後はメイド服を着て部屋の外へ飛び出しました。
外の世界を見たのぞみは、初めて見るものばかりの光景に胸が高鳴り、嬉しくなります。気がつくと夕方になっていて、のぞみは家への帰り道にあるレンタルビデオショップに立ち寄ることにしました。そこでのぞみは、店員・純一(ARATA)に一目惚れをします。
秀雄が仕事から帰る頃には家に戻っていたのぞみは、その後秀雄と夜の公園へ行きます。のぞみが動けることを知らない秀雄は、のぞみを車いすに乗せて公園へと運びました。秀雄は、いつものようにのぞみにキスをしようとします。
しかしのけぞるのぞみ。まさかのぞみがキスを嫌がって動いたとは思わない秀雄は、無理やりキスをしました。この時のぞみは、自分は人形にもかかわらず、持ってはいけない心を持ったことを少し後悔するのでした。
純一と近づきたいのぞみは、翌日からレンタルビデオショップで働くことにします。昼間は店で働き、夜は秀雄のところで人形のふりをして過ごすのぞみ。
店で流れていた海の映像を見たのぞみは、とても感動します。すると純一が、海へ連れていってくれました。初めての海に興奮するのぞみは、浜辺で見つけた色々なものを持ち帰ります。
その後、レストランで食事をすることにしたのですが、のぞみは食べることはできません。すると隣の席に座っている少女が、父親が見ていない隙に肉を床に捨てているのを見て、のぞみもまねしてみることにしました。
突然、レストランの明かりがすべて消えてしまいます。隣の席の少女がこの日誕生日で、父親が少女を喜ばせるための演出でした。この日、初めて「誕生日」という言葉を知ったのぞみは、その後、夜の街を純一と歩きながらウキウキしていたのですが、ふと影を見ると自分の影だけ薄く、自分はただの空気人形でしかないと虚しさを感じました。
ある日、公園にいたのぞみは、孤独な老人と出会います。自分は空っぽだと話す老人に、のぞみは自分と同じだと感じました。老人から「空っぽな人間はたくさんいる。」と言われ、のぞみは少しうれしくなり、命について興味を持つようになりました。
そんなある日、店で働いていたのぞみは脚立から落ちてしまい、その時に腕を釘に引っ掛けて体が破けてしまいます。どんどん空気がしぼんでいくのぞみを見た純一は、急いで穴にセロハンテープを貼り、口でへそにある穴から空気を入れてくれました。
このことでのぞみは自分らしく生きようと思い、空気入れを捨ててしまいます。のぞみの正体を知った純一ですが、その後も普段通りにのぞみに接してくれました。そして、「僕もだよ…」と話す純一。のぞみは驚きますが、うれしくてたまりませんでした。
正体を知っても優しく接してくれる純一に、のぞみはさらに思いが強くなり、それからは純一のバイクで色々な場所をデートをする仲となります。そして、だんだんと秀雄との行為に嫌や気がさしてくるのぞみ。
ある時のぞみは、純一の部屋に遊びに行くことになります。そこで、純一の元カノの写真を見つけ、心を持つことは切ないことだと感じました。
そんなのぞみの周りには、悩みを抱えたたくさんの人がいました。レストランで横にいた少女には母がおらず、公園で出会った老人は、死という現実を受け入れないでいます。話し相手がいなく孤独な未亡人やアンチエイジングに余念がなく自分に自信が持てない年配の受付嬢、暴飲暴食を繰り返すひきこもりの女性など、彼らものぞみと同じように空っぽな人間です。
家に帰ったのぞみは、押し入れに身を隠すようになります。すると、のぞみを母親に捨てられたと勘違いした秀雄は、新しいラブドールを購入してきました。新しいラブドールのためにケーキを買ってお祝いをしようとする秀雄の前にのぞみは現れ、自分が心を持ってしまったことを打ち明けました。
のぞみは、自分のどこが好きか尋ねます。しかし秀雄は何も答えられません。のぞみという名前は秀雄の昔の彼女の名で、自分はしょせん代用品だとのぞみは話します。すると秀雄から「元の人形に戻ってほしい」と言われ、切なくなったのぞみは家を飛び出しました。
のぞみは自分を作ったツチヤ商会の人形師(オダギリジョー)に会いに行くことにしました。倉庫にはたくさんのラブドールがあり、人形師から「お帰り。」と言ってもらったのぞみは「ただいま。」と返事をしました。
のぞみはどうして自分が心を持ったのか尋ねますが、人形師にも理由はわかりません。しかしそれは、人間を作った神様にもどうしてか分からないのと一緒で、心など持たないほうが良かったか？と人形師は尋ねました。のぞみは倉庫を後にする時、「生んでくれてありがとう。」と告げて、純一の家を訪れます。
「あなたが望むことを何でもしてあげるよ。そのために私は生まれてきたんだから。」とのぞみが言うと、純一は「他の人には頼めないが、君になら頼める。空気を抜きたいんだ…」と言い出します。戸惑うのぞみですが、純一の望みを受け入れることにしました。
純一は、のぞみの空気を抜いてはまた入れ、抜いてはまた入れを繰り返します。そして疲れ果てた純一が寝ていると、のぞみは純一にお返しをしたくなり、ヘソにナイフで穴をあけました。口から空気を入れようとしますが、血がとめどなく溢れて止まりません。セロハンテープで穴を塞ぎますが状況は変わらず、純一は息絶えてしまいました。
のぞみはそのまま純一をゴミ袋に入れて、燃えるゴミに出します。のぞみもそのままゴミ捨て場に横になり、のぞみは夢を見ました。それは、これまで出会ったみんなが誕生日を祝ってくれる、幸せな夢です。吹き消したケーキのろうそくは綿毛となり、のぞみと関わった人たちの元へ届き、みんな少しだけ、前よりも幸せになったのでした。
以上、映画「空気人形」のあらすじと結末でした。
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