映画「いそしぎ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
いそしぎの紹介：1965年アメリカ映画。美しい自然の中、画家のローラは息子と二人で自由に生きてきた。彼女を所有しようとしても愛そうとはしないであろう男たちを遠ざけて。彼女の前に初めて現れた彼女を愛する男は、しかし、妻子ある牧師で息子の学校の校長だった。私生活のカップル、エリザベス・テイラーとリチャード・バートンが共演したメロドラマ。
監督：ヴィンセント・ミネリ 出演者：エリザベス・テイラー（ローラ・レイノルズ）、リチャード・バートン（エドワード・ヒューイット）、エヴァ・マリー・セイント（クレア・ヒューイット）、チャールズ・ブロンソン（コス・エリクソン）、ロバート・ウェッバー（ウォード・ヘンドリックス）、モーガン・メイソン（ダニー・レイノルズ）ほか
この解説記事には映画「いそしぎ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アーティストたちのコミュニティーが形成されているカリフォルニア州のビッグサー。売れない絵を描いているシングル・マザーの画家ローラは人里離れた海辺の崖の端に立つ小屋に9歳の息子ダニーと二人で住んでいる。息子に俗世間に染まらない自由な人間になってほしい彼女はダニーを学校に行かせていない。そのダニーが銃で鹿を撃ち殺してしまった。判事はダニーの問題行動が三度目であるという理由で、友人が校長を務める、プロテスタントの寄宿制男子校、サン・シメオン校にダニーを預けるように命じる。サン・シメオン校の校長で牧師のエドワード・ヒューイットはローラを面接する。宗教を悪と考えるローラにこの学校がダニーを洗脳するところではないことを説明しなければならない。だが、息子を問題児扱いするのに怒ってローラは帰ってしまう。結局警官がダニーを取り押さえてサン・シメオンに押し込む。しかし校長の妻クレアは彼を優しく迎える。ダニーが母親と勉強したチョーサーの『カンタベリー物語』を暗唱するのに驚く。エドワードはローラの家を初めて訪れる。ローラは羽に傷を負ったイソシギの小鳥の治療を始めていた。
最初は学校になじめなかったダニーだったが、年長の子供のクラスで英語の授業を受け始めてから事態は好転していった。何度かの出会いを通じてエドワードはローラの人となりを知るようになっていく。彼女は17歳で妊娠したが、自分が愛していないのに気づいていたので相手の若者の求婚を退けた。両親の中絶の勧めも拒否してインディアナポリスからカリフォルニアに来て子供を産んだ。サンフランシスコではサン・シメオン校の理事、ウォード・ヘンドリックスの愛人になって美術学校に通ったが卒業した後別れた。うまくいっている結婚を見たことがないと言うローラにエドワードは自分の結婚はうまくいっていると語る。ローラの絵に畏敬の念を呼び起こされたエドワードは新築予定の礼拝堂のステンドグラスのデザインをローラに依頼する。ある夜ローラの家で図案を見せてもらう。図案はすばらしいが、ローラの絵に人間がいないことに気づく。それは人間が出現する以前の無垢な世界なのだ。でもエドワードは人間なしでは世界が世界として認識されることもないと人間の大切さを論じていく。しかし、礼拝堂の建設費を知るとローラは図案を燃やしてしまう。そんな大金は大切な人間のため、貧しい子供たちの教育につかうべきだと。帰りがけにエドワードは「君が欲しい」とローラにつぶやいてしまう。
判事がエドワードに送った、エドワードをダニーの保護者に定めてローラの意思ではサン・シメオン校を退学させられないようにする書類にサインをしてもらうためにエドワードはローラに会う。ローラはサインを保留する。だが、話しているうちに、ローラに会いたいから来たというのがエドワードの本心だということに気づく。ローラの家で二人は愛し合う。しかしエドワードは事が終わった後すぐ帰宅する。なかなか家に帰らない彼を心配していた妻は礼拝堂で祈る夫を見つけた。サンフランシスコに三日間寄付金集めに行くと妻に偽ってエドワードは再びローラを訪れる。ローラを欲しいという感情に正直になったのだ。二人は海辺で過ごす。ローラは羽がよくなってきたイソシギを家の外へ解き放つ。最初は外へ出るのを怖がっていたがイソシギは飛び立っていった。ローラはエドワードといると今まで味わったことのない感情に包まれる。結婚とはこういうものだろうか。他の時間に結婚生活をエドワードと味わっているクレアへの嫉妬も起きるのだった。
学校の理事たちにエドワードは、建築費が当初予測よりかさむ新礼拝堂の建設はやめてそのために集めた寄付を才能があるが貧しい子供にサン・シメオンで学ぶ機会を与えるための奨学金にすることを提案する。しかし、礼拝堂建設基金への寄付で節税をもくろんでいたヘンドリックスと言い争いになる。エドワードの変節のきっかけとしてヘンドリックスが「ローラ・レイノルズ」の名を出した時にクレアだけは夫の様子が最近おかしい理由が腑に落ちる。帰りの自動車の中でエドワードはローラとの関係を告白する。クレアは「放っておいて」と言って自動車を降りる。エドワードがローラの家に行くと、ローラの絵が二枚売れ個展が開催されるかもしれないことを教えにきた友人たちが海辺で盛大なお祝いをしていた。君とのことをクレアに話したと言うエドワードに、秘密を勝手に話してしまったとローラは怒る。そこへローラの友人のコスがエドワードに突っかかって取っ組み合いになる。最後はコスが勝つが、「私は彼を殺したいと思った。彼にあやまってくれ」とローラに言ってエドワードは去る。
四日後、クレアとエドワードは落ち着いて話し合う。牧師として教育者としての初心をいつしか失って寄付集めにかまけるようになってしまっていたエドワードがローラとの出会いを通じて自分たち夫婦が若かった時の夢と希望を取り戻したことをクレアは理解し始めていた。エドワードは学校を退職しどこかの牧師のなり手のいない教会の仕事を探す、そしてローラとは別れると言う。だがローラもクレアも共に愛しているということばはクレアの理解を超えていた。ローラは引っ越しを考えたが、サン・シメオンで友達のできたダニーのために引っ越しはしないことにする。そしてダニーの願いを聞き入れて、父兄も出席する学期末の行事に参加することにする。学期末の行事にローラや判事やヘンドリックスらも集まる。礼拝堂での説教はエドワードの辞職スピーチになった。私はサン・シメオンで、教えるよりも学ぶことの方が多かった。子供たちからと同様父兄からも学んだ。とりわけ生命や個性への畏敬を。自由だけが人の心を和らげることができる。そして神の前では男女は純粋に無垢である。クレアにはまだこれまでの人生を振り返る時間が必要だった。エドワードは一人で学校を去って旅立った。自動車を降りて崖の上から、砂浜で遊ぶダニーと彼の絵を描いているローラを眺める。二人がエドワードに気付いて見上げたが、エドワードは振り向き去っていくのだった。
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