アルゴ(ARGO)の紹介:2012年アメリカ映画。1979年に実際にイランで起こったアメリカ大使館人質事件の際に、CIAが立案した世紀の作戦をもとに映画化した作品で、アカデミー賞作品賞を受賞しました。在イランアメリカ大使館占拠事件から脱出した6人を救出するためにCIAがとった偽映画作戦とは?機密解除に伴い明かされた、当時の緊迫した作戦遂行の模様を鮮明に再現する。
監督:ベン・アフレック 出演:ベン・アフレック(トニー・メンデス)、ブライアン・クランストン(ジャック・オドネル)、アラン・アーキン(レスター・シーゲル)、ジョン・グッドマン(ジョン・チェンバース)、ヴィクター・ガーバー(ケン・テイラー)、テイト・ドノヴァン(ボブ・アンダース)、クレア・デュヴァル(コーラ・ライジェク)ほか
映画「アルゴ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アルゴ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アルゴの予告編 動画
映画「アルゴ」解説
この解説記事には映画「アルゴ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アルゴのネタバレあらすじ:起・在イランアメリカ大使館占拠事件
イラン革命が勃発し、パーレビ国王がアメリカに亡命をします。それに反発したイラン国民はテヘランにあるアメリカ大使館に押し寄せ、国王の引き渡しをアメリカに要求してきます。
1979年11月4日、イランと米国に緊張が走る中、在イラン米国大使館がデモ隊により占拠される事件が起きた。脱出した6人はカナダ大使の私邸にて匿われたが、その他の大使館員は皆人質となった。彼らの要求は、パーレビ国王の返還、アメリカの要求は人質の解放だった。
69日経っても膠着状態のまま、大使館の内部の情報もわからない。更に、6人が脱出している事がわかるのも時間の問題で、バレれば公開処刑が待っている。
CIAのトニー・メンデスが、彼らをイランから救出させる作戦のために呼ばれた。外国人教師や農地の視察など幾つかの案が出されたが、息子と電話をしていたトニーは、SF映画のロケハンクルーとして脱出させるのはどうかという案を出した。
アルゴのネタバレあらすじ:承・偽映画計画
作戦の準備としてハリウッドへ飛んだトニーは、ケヴィン・ハーキンスと名乗り、チェンバース監督から、多くの受賞作のあるレスター監督を紹介された。
アメリカにもイラン勢力が少なからずいる中で、彼らは偽映画製作の証拠を作るため、『アルゴ』という中東が舞台の作品の脚本を作り、役者を集めて、偽の製作発表をした。目論見通りマスコミは記事にし、広告やポスター、絵コンテを作成した。
準備を終えたトニーはトルコに渡り、イランで文化・イスラム指導省を訪問して撮影許可の申請をし、捕まっても映画屋だと言い張れる材料を作るよう助言された。
アルゴのネタバレあらすじ:転・時間との勝負
イラン入りしたトニーが撮影許可を求めに行くと、担当者は芸術の促進として、大臣と話し合ってもらえることになった。
カナダ大使に6人分のパスポートを用意してもらった頃、カナダ大使にも帰国命令が来た。いよいよ時間が無くなるという状況の中、ロケハンの許可が下り、6人に監督や脚本家などの役を振り分け、イラン側のコーディネーターとバザールのロケハンのふりをする事になった。しかし、その途中、バザールで写真を撮った事を咎められ、現場は混乱してしまい視察は中止になった。
また、6人が脱出者だと気づいたイラン人の家政婦は、イラン新政府軍が尋問にやって来ても秘密は洩らさなかった。
偽のロケハンを終え、翌日にはテヘランを出国しようという時、ホワイトハウスから衛星電話で『アメリカ軍が人質奪還作戦をするから、トニーの行っている作戦を中止にするように』という通達が来てしまう。しかし偽のロケハンで街に顔を晒してしまった後では後戻りはできなかった。アメリカ政府はデルタフォースによる救出を計画しますが、必死になってホワイトハウス側を説得、大統領は前代未聞の作戦を許可します。
アルゴの結末:空港での攻防
しかし、6人分の航空券はキャンセルした後だった。オドネルは急いで計画の続行と航空券の確保に奔走し、一度は空港のカウンターで照合が取れなかったものの、2度目の読み込みに間に合い、無事に航空券は発券された。
一方、占拠中のアメリカ大使館では、シュレッダーの中から写真を発見され、ロケハンがの中に脱出した人物がいる事が新政府軍にバレてしまった。
出国審査を大臣からのロケハン許可の手紙で乗り切ったトニー達は、搭乗口で再び止められてしまった。別室に通された彼らの中でペルシャ語のできる一人が、偽の記事と広告、絵コンテを見せてあくまでロケハンで来たことを説明した。ハリウッドの事務所に電話を掛けると、口裏を合わせていたレスター監督が答え、無事に飛行機に乗る事ができた。
新政府軍は彼らを追うが、ギリギリのところで飛行機は離陸し、イラン領空を脱するのだった。
この事件は機密扱いのため、当初カナダの功績として報道された。1981年1月20には、残りの人質も無事に解放され、先に脱出した6人も外務局に戻った。
チェンバースは民間人としてCIAの勲章を得た。1997年にクリントン大統領により、アルゴ作戦の機密扱いが解除。CIAから勲章を得たトニーは、現在は郊外で家族と暮らしている。
以上、映画「アルゴ」のあらすじと結末でした。
「アルゴ」感想・レビュー
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大好きな作品のひとつです。血を流すこともなく人が死ぬわけでもないのに、こんなにもハラハラドキドキ息が詰まる作品ありますか?実話ということでさらに緊張が高まります。すべてのタイミングとひとことでは片付けれない『勇気』『度胸』が紐を結びます。機内アナウンスが流れたときのあの緊張の糸が一気に緩む感じ、と同時に自然と涙が溢れ出てきます。これは何回見てもスタンディングオベーションです!
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下準備のため、まずはマスコミから騙し、記事を書かせ、載せてしまうのがアメリカらしい。チェンバースはトニーの伝手だが、そこから役目を請け負った数々の賞をものにしているレスター監督にすぐに行き着くのもハリウッドの土地柄なら納得してしまう。また、映画撮影で足止めをされるといった、映画の街らしい一面も垣間見える。
勿論この作品の元になっている機密作戦が命懸けだったというのは、背景で丁寧に説明されている。しかし、最後の空港の尋問で、絵コンテを見せた時に綻んだ民兵の表情は、映画という娯楽は国境を越える物があるのだと思えて忘れられない。
偽のSF映画をでっち上げてロケハンとして人質を救出するという発想自体が、映画ファンにとっては堪らないものなのではないかと思います。役者らが集まり実際に本読みをしているシーンなどを観ると、そこまでやるかという大人の本気を感じさせられました。空港でのやりとりはスリリングで捕まるか、助かるかと大変ヒヤヒヤさせられました。