静かなる情熱 エミリ・ディキンスンの紹介:2016年イギリス,ベルギー映画。エミリ・ディキンスン(1830~1886)は生前作品がほとんど公表されなかったにもかかわらず、今日ではウォルト・ホイットマンと並んでアメリカを代表する詩人とみなされている。イギリス人のテレンス・デイヴィス監督が、約20篇の詩とともに、魂の自由にこだわり続けた彼女を描く映画。「セックス・アンド・ザ・シティ」シリーズのシンシア・ニクソンがエミリ・ディキンスンを演じる。ディキンスンが実際に暮らした家でも撮影が行われた。
監督:テレンス・デイヴィス 出演:シンシア・ニクソン(エミリ・ディキンスン)、ジェニファー・イーリー(ラヴィニア(ヴィニー)・ディキンスン)、キース・キャラダイン(エドワード・ディキンスン)、ジョディ・メイ(スーザン・ギルバート)、キャサリン・ベイリー(ヴライリング・バッファム)、ほか
映画「静かなる情熱 エミリ・ディキンスン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「静かなる情熱 エミリ・ディキンスン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
静かなる情熱エミリディキンスンの予告編 動画
映画「静かなる情熱 エミリ・ディキンスン」解説
この解説記事には映画「静かなる情熱 エミリ・ディキンスン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
静かなる情熱エミリディキンスンのネタバレあらすじ:起・快活で知的な少女
19世紀半ばのマサチューセッツ州。エミリ・ディキンスンは家族と離れマウント・ホリヨーク女子専門学校に通っている。しかし、校長のライアン女史が信仰告白を学生に要求するのに対して、彼女だけが信仰告白をしなかった。神を求めてはいても内面での回心を体験することのない彼女は、それをすることができなかった。そんな学校生活の悩みを病気として手紙に書いた彼女を心配して、弁護士の父親エドワード、兄オースティン、妹ラヴィニア(ヴィニー)が訪れる。彼女は学校をやめてアマストの家に帰ることになる。機智に富んだ会話をするきょうだいは、ボストンから来た、女性歌手がステージで歌曲を歌うことすら認めたがらなかった保守的なおばのエリザベスをてこずらせもするが、出歩くことを嫌う母親を含めて家庭は愛情に満ちていた。エミリは父の許しを得て夜中に詩作にふけるようになる。父親の口添えもあり、地元の新聞、スプリングフィールド・リパブリカンに初めて彼女の詩が掲載される。
静かなる情熱エミリディキンスンのネタバレあらすじ:承・出会いと別れ
エミリとヴィニーは、資産家の娘、ヴライリング・バッファムと友人となる。美しく、ユーモアに富み、進歩的なバッファム嬢。外面的な信仰を強制する教会への反感をエミリは彼女と共有する。ハーバード大学に通っていた兄オースティンが父といっしょに弁護士の仕事をすることになる。花嫁スーザンを連れてアマストに帰り、うれしいことに隣の家に住むことになる。甥の誕生にエミリは喜ぶ。スーザンはまだ暗い早朝にエミリが詩を作っていることを知る。夫との性生活について話すほどスーザンはエミリと親しくなる。南北戦争が始まる。オースティンは父に、仲間と共に戦いたいと泣いて訴えるが、父は一人息子が戦争に参加することを許さなかった。エミリとヴィニーはすばらしい説教をするワズワース牧師を夫人と共に家に招く。ワズワース夫人は、嗜好品はお茶すらも飲まない堅物、エミリが称賛するブロンテ姉妹の作品も気に入らない。しかし、ワズワース牧師はエミリと二人で庭を散歩する時に渡されたエミリの詩を気に入ってくれた。一方、親友バッファムは数学者と結婚することになった。そしてワズワース牧師がサンフランシスコに赴任することになったという知らせにもエミリはヴィニーの前で動揺を隠せない。エミリはバッファムの結婚式に参列するが、新郎新婦を見送るヴィニーに自分の分も見送ってくるように言う。そして、厳格だがエミリを守ってくれてもいた父が亡くなる。
静かなる情熱エミリディキンスンのネタバレあらすじ:転・ひきこもるエミリ
父親を送る葬列にも加わらず家の二階にいるエミリ。三日後、エミリを心配したヴィニーがドアを開けると、エミリは喪中であるにもかかわらず白いドレスを着ていた。それが彼女の喪服だった。エミリは部屋に閉じこもるようになり、彼女の詩を掲載したスプリングフィールド・リパブリカン紙のボウルズが来ても階段の上からしか応待せず、自分の詩に彼が手を加えたことを批判する。彼女の詩の崇拝者である青年、エモンズに対しても同じような対応をして彼を傷つける。前々から背中に激痛を感じることのあったエミリはブライト病という腎臓の病気であると診断される。根治する方法はなかった。母親が倒れる。エミリとヴィニーは看病を続けたが苦しみながら母は亡くなる。
静かなる情熱エミリディキンスンの結末:兄との軋轢
自室に閉じこもり詩作にふけるエミリも、ディキンスン家を夫と共に訪れたトッド夫人の歌声には心を動かされる。だが、やがてエミリは彼女と兄のオースティンの情事を目撃することになる。スーザンへの裏切りをエミリは強く非難する。オースティンとトッド夫人の関係は続き、オースティンとエミリの関係が険悪になる。オースティンはエミリの前で、スプリングフィールド・リパブリカン紙の、女性の書き手を批判するボウルズの文章を読み上げるという意地悪をする。だが、ヴィニーはエミリが兄に対して不当に厳しい基準を立てて批判していることを指摘してあげるのだった。それでもヴィニーのエミリに対する敬意は変わることはなかった。ブライト病が悪化し、エミリは55歳で亡くなり、棺が墓地へ運ばれる。エミリは少女時代の自由な魂を守り続けた。
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