婚約者の友人の紹介:2016年フランス,ドイツ映画。戦死した婚約者の墓標の前で涙を流す青年、彼は婚約者の友人だと言う。しかし彼にはアンナと婚約者の両親には明かせない秘密があった。第1次世界大戦後のドイツが舞台となり、戦死した青年の友人と名乗る男と、遺族や残された婚約者の交流を描くドラマ。
監督:フランソワ・オゾン 出演:ピエール・ニネ(アドリアン)、パウラ・ベーア(アンナ)、エルンスト・シュトッツナー(ハンス)、マリー・グルーバー(マグダ)、ヨハン・フォン・ビューロー(クロイツ)、アントン・フォン・ルケ(フランツ)、ほか
映画「婚約者の友人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「婚約者の友人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
婚約者の友人の予告編 動画
映画「婚約者の友人」解説
この解説記事には映画「婚約者の友人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
婚約者の友人のネタバレあらすじ:起・婚約者の墓で
一次大戦で婚約者のフランツを亡くしたアンナは、彼の両親の所に身を寄せ墓参りをしていた。ある日、見知らぬ花が供えてあるのを見て墓守に尋ねると、フランスの硬貨を見せられた。翌日、再び墓を訪れると、フランツの墓の前で男性が涙を流していた。その日、義父の診療所を青年が訪れた。義父は彼がフランス人だと知ると、息子の遺影を見せ息子はフランス人に殺されたと言って彼を追い出した。彼は去り際に、自分も兵士で人を殺したと言って去った。アンナは追い出された青年がフランツの墓の前で泣いていたという事を話し、町のホテルの受付にフランス人の泊り客にもう一度来てくれるよう伝言を頼んだ。そしてやって来たアドリアンは、フランツがパリへいた時の友人だと話した。
婚約者の友人のネタバレあらすじ:承・アドリアンを迎え入れる
アンナはアドリアンと一緒に墓参りをし、フランツに求婚された場所を案内し、亡き婚約者を偲んだ。義父母がフランスで息子がどのように過ごしていたのかを聞きたがると、ルーブルでマネの絵を見た事や、フランツにバイオリンを教えた事等を話した。すると、義父はアドリアンにフランツのバイオリンを弾いてくれるように頼んだ。彼は一度は断ったものの、フランツがよく弾いていた曲を弾き、アンナはそれにピアノで伴奏つけた。しかし、演奏の途中でアドリアンは倒れてしまった。町ではフランス人と懇意にする彼らを白い目で見る者も多かった。そこで、義父は息子たちを戦場へ送ったのは自分達父親じゃないかと言った。それでも、婚約者の亡き後のアンナに求婚しては袖にされ、誘った舞踏会は断られた挙句アドリアンがエスコートをしているの知っているクロイツ何かと突っかかった。
婚約者の友人のネタバレあらすじ:転・明かされた真実と重ねた嘘
アドリアンがフランスへ帰る前日も義父母は彼を夕食に招いた。しかし時間になっても来ない彼を墓場で見つけたアンナは、友人というのは嘘で、逃げ込んだ塹壕でフランツを撃って殺した張本人だと明かした。その時フランツの銃に弾は無く、無抵抗の彼を殺したことをアドリアンは悔い、その家族に会って話して許しを乞いたかった、けれど家族やアンナの事を知るほど好きになり本当の事を話せなくなってしまったのだと謝り、明日列車に乗る前にすべてを話しに行くと言って別れた。翌日、アドリアンがホテルとチェックアウトするとロビーの喫茶店でアンナが待っており、両親に全部話したと言って直接会わせることはせず、手紙を書きたいと言う彼に、自分宛に送るように念押しをして、駅で彼を見送った。アンナはアドリアンを息子のように歓迎していたフランツの両親を傷つけないように、彼が夕飯の約束を守らずフランスへ帰ったのは家族の具合が悪いからだと、嘘をついていた。そして手紙が送られてきても義父母宛の手紙は燃やし、当たり障りのない内容を読んで聞かせた。重ねる嘘に辛くなったアンナが懺悔をしに行くと、神父は許しを乞いに来た彼を許しなさいと彼女を諭した。
婚約者の友人の結末:アンナの選択
アドリアンからの返事を待っていると、手紙が宛先不明で帰って来てしまった。彼と幸せになってほしいと願っていた義父母はアンナをアドリアンを探しにフランスへ行かせた。パリへ着いたアンナは手紙の住所からすでに引っ越していることを知ると、彼が話した場所を探し、ルーブルのマネの絵のタイトルが「自殺」だと知った。そして彼の親戚の家でパリから離れた実家にいる事を教えてもらった。そこはお屋敷で、彼の母親はアンナを歓迎し、アドリアンもフランツの両親の事やアンナが許している事を知ると喜び、彼女を家に泊め、晩餐会に招待し、母親は歌手のファニーを紹介しアンナにピアノの伴奏を頼んだ。夕食の後、伴奏をしながら、歌うファニーとバイオリンを弾くアドリアンの中が親密であることに気づいたアンナは、途中で演奏ができなくなってしまい、寝室に戻った。翌日、見送りをしたアドリアンはファニーが幼馴染で母に結婚を望まれている事と、結婚式に来て欲しいという事を話した。しかし断るアンナにアドリアンはキスをした、すべて手遅れだった。そして義父母の元にはアンナからパリでアドリアンとうまくやっていると言う手紙が届いた。その頃アンナはマネの絵の前で見知らぬ男性と話をしていた。
以上、映画「婚約者の友人」のあらすじと結末でした。
婚約者の友人のレビュー・考察:モノクロの景色に隠された色
この作品はほぼ全編モノトーンでも喪に服している彼女の心情のそのままに進む。色が戻るのは数回、アンナがアドリアンとフランツの話をしている時、アドリアンがバイオリンを弾いている時、フランツの思い出に浸っている時かとも思えるが、ラストのマネの絵のシーンは当てはまらない。それが何を意味するのか。この時すでに彼女はフランツの両親にパリで生活すると手紙を書いている。もしかすると、彼女が婚約者の死でうしろ向きしかとらえられなかった世界を、前向きに見ようとした時、色は甦るのかもしれない。
戦争で亡くなった婚約者の友人が突然現れた。その友人は何者なのか?その謎は最後に明かされるのかと思いきや、あっさりと中盤で明らかに。そこからの男女の関係を描くのがメインテーマでした。二人は結ばれるか?と思ったら、やはりそれは許されないことでした。作品は白黒で時折、カラーになりますが、カラーになった時は二人が束の間フランツの死を乗り越えて、生きる意欲を取り戻した時なのかな・・・と思いました。