フェイク・ライフ 顔のない男の紹介:2014年フランス,ベルギー映画。「クリムゾン・リバー」(2000)では監督。その後、スピルバーグの「ミュンヘン」(2005)では役者として登場したマチュー・カソヴィッツが、異常人格者とバイオリニストという2役をこなすミステリー・サスペンス。パリに暮らす孤独な中年男。唯一の楽しみは、特殊メイクで見知らぬ他人になりきることだった。そんな男の人生が、ある有名人になりきったことから狂い始める。
監督:マチュー・デラボルト 出演者:マチュー・カソヴィッツ(セバスチャン・ニコラ/アンリ・モンタルト)、マリ=ジョゼ・クローズ(クレマンス)、ディエゴ・ル・マルトレ(ヴァンサン)、シヴォーン・フィネラン(トラヴェン)ほか
映画「フェイク・ライフ 顔のない男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「フェイク・ライフ 顔のない男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「フェイク・ライフ 顔のない男」解説
この解説記事には映画「フェイク・ライフ 顔のない男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
フェイクライフ顔のない男のネタバレあらすじ:起
雨の夜。1人の男が留守電に「これを聞く頃、私はいません。さようなら」と言い残し、ガス自殺を図ります。その後、家は爆発。ここから時間が遡り、男の物語が始まります。彼の名はセバスチャン・ニコラ。不動産の仲介業で暮らす独身の42才です。孤独な自分に存在価値はないと、絶望しているような人生。ある日、貸し部屋を見に来た男、ボーモンに興味を持ったニコラ。彼を尾行し、同じ服と靴を買い、本格的な特殊メイクを顔に施し、ボーモンそっくりになります。ニコラには、見ず知らずの他人になりたいという欲望があったのです。ボーモンの旅行中、ニコラは合鍵で部屋に侵入、ボーモンになりきり生活します。そしてボーモンが通っている断酒の会に、彼の振りをして出掛けて行きます。ところがボーモンの友人に声を掛けられ、慌てて逃げ出す羽目になります。ニコラは、親しい神父に自分の行為を打ち明けます。「いけないことでも唯一の生き甲斐。私は変わりたいのです」というニコラに神父は、「君だって望めば変われるはずだ」と助言を与えるのでした。
フェイクライフ顔のない男のネタバレあらすじ:承
ニコラは、ある有名人から極秘の部屋探しを依頼されます。一流バイオリニストのアンリ・モンタルトが、アメリカからパリに戻ったのです。ホテルで彼に会ったニコラは、その日から密かにモンタルトの真似をし始めます。秘書のトラヴェンによると、モンタルトは車で事故にあい、音楽界を引退していました。指を2本、切断したためです。モンタルトの留守中、ニコラは同じ服装、瓜二つのメイクで部屋に入って過ごします。ある日のこと、ニコラはモンタルトの昔の恋人、クレマンスと顔を合わせてしまいます。彼女はニコラをモンタルトと思い込み、「自分は病気で長くないから、息子に会ってほしい」と頼みます。彼らの間には、息子ヴァンサンがいたのです。しかしモンタルト本人は、クレマンスとヴァンサンには無関心。彼らが不憫になったニコラは、モンタルトの変装で会いに行きます。母子と親しくなるにつれて、ニコラは後に引けなくなっていきます。父と子の感動映画を見てセリフを研究し、引っ込み思案のヴァンサンを勇気づけるのでした。
フェイクライフ顔のない男のネタバレあらすじ:転
そんなことには気づかないモンタルト本人は、クレマンス達を疎ましく感じ、マドリードかセビリアに引っ越したいとニコラに言います。焦ったニコラは、モンタルトの留守中、部屋を荒らして空き巣を装い状況を混乱させます。しかし、事態は一転。ニコラが部屋を訪ねると、モンタルトが天井から首を吊り亡くなっていたのです。そこへクレマンス達が訪ねてきて、ドアをノックします。慌てたニコラは遺体を隠し、なんとかその場を乗り切ります。親子が帰った後、ニコラはモンタルトを自宅へ運び、自分のスーツを着せ、ガス自殺を装います。爆発で炎上する家を後にしたニコラ。モンタルトの家に住み、モンタルトとして生活を始めます。指も自ら切断しました。自分の葬儀が行われると知ったニコラは、モンタルトの姿で出掛けて自分の母親や妹に挨拶します。後日、ドゥヴォ―と名乗る警部が訪ねてきます。彼は、ニコラを殺害したのはモンタルトではないかと怪しんでいました。週末、ヴァンサンと過ごすニコラ。父親と同様、バイオリンを弾くヴァンサンは、コンクールを目前に控えていました。ニコラは、ヴァンサンが自信を持てるよう一生懸命アドバイスします。そんな幸せな日々の中、警察はクレマンスの家も訪ねていました。危機を感じたニコラは、ドゥヴォーの変装をして署内に忍び込み、モンタルトの捜査書類を探ります。モンタルトの部屋が家宅捜査されると知ったニコラは、大急ぎで帰宅。荷物をまとめて車で逃走します。
フェイクライフ顔のない男の結末
ニコラは、銀行でモンタルトの全財産を下ろした後、クレマンスを呼び出します。資産をヴァンサン名義に変えたニコラは、全てをクレマンスに託して別れを告げます。さらに、モンタルトが首にしたトラヴェンにも現金を送り、そのまま街から姿を消しました。その後、とある病院の手術台に上がるニコラ。特殊メイクをやめた彼は、モンタルトの顔に整形することを決心したのです。ヴァンサンのコンクール当日。名演奏を聴かせる息子を、客席でクレマンスが見つめています。会場を見渡す、ドゥヴォー警部の姿もありました。コンクール終了後、ロビーで大勢の祝福を受けるヴァンサン。モンタルトとなったニコラは彼に歩み寄り、微笑む少年を抱きしめます。ドゥヴォーらに取り押さえられ、警察へ向かう車の中。ニコラは、落ち着いた表情で外を見つめていました。「私は別人になれた。“私”になったのだ」。
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