エアポート’77/バミューダからの脱出の紹介:1977年アメリカ映画。航空パニック映画「エアポート」シリーズの第3弾です。高価な美術品を乗せた大富豪所有の航空機がハイジャックされた末にバミューダ海域に墜落、アメリカ海軍も参加して大規模な救出作戦が展開されます。海軍による実際の救出方法が撮影に用いられています。
監督:ジェリー・ジェームソン 出演者:ジャック・レモン(ドン・ギャラガー)、ジェームズ・スチュアート(フィリップ・スティーブンス)、リー・グラント(カレン・ウォレス)、ブレンダ・ヴァッカロ(イブ・クレイトン)、ジョゼフ・コットン(ニコラス・セント・ダウンズ3世)ほか
映画「エアポート’77 バミューダからの脱出」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「エアポート’77 バミューダからの脱出」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「エアポート’77 バミューダからの脱出」解説
この解説記事には映画「エアポート’77 バミューダからの脱出」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
エアポート’77/バミューダからの脱出のネタバレあらすじ:起
億万長者で美術品コレクターのスティーブンス(ジェームズ・スチュアート)は、フロリダ州パームビーチの豪邸を美術館として開放しようと思い立ち、自ら所有するボーイング747ジャンボジェット機に高額なコレクションの数々と招待客を乗せてワシントン・ダラス国際空港を飛び立ちました。まさに空飛ぶ高級ホテルのような豪華さを誇るジャンボ機の乗員は機長のギャラガー(ジャック・レモン)と副操縦士のチェンバーズ(ロバート・フォックスワース)。旅の責任者はスティーブンスの秘書でギャラガーの恋人でもあるイブ(ブレンダ・バッカロ)、その他にも設計責任者のブチェック(ダーレン・マクギャヴィン)らが搭乗しています。招待客は、富豪のエミリー(オリヴィア・デ・ハヴィランド)とその連れのドロシー(メイディー・ノーマン)、エミリーの元恋人のニコラス3世(ジョゼフ・コットン)、銀行家のラルフ(ジェームス・ブース)、獣医師のハーブ(M・エメット・ウォルシュ)、著名な海洋学者マーティン(クリストファー・リー)とその妻のカレン(リー・グラント)、マーティンの助手フランク(ジル・ジェラード)らが招かれていました。
エアポート’77/バミューダからの脱出のネタバレあらすじ:承
ジャンボ機は順調にパームビーチ目指して航行し、招待客は超豪華な機内で至れり尽くせりのおもてなしを受け、思い思いの時間を過ごしていました。しかし、客室乗務員に変装していたハイジャック犯が機内に麻酔ガスを流して乗員や招待客らを眠らせ、実はハイジャック犯の一味だったチェンバース副操縦士は操縦桿を握って航路をカリブ海の孤島に向け始めました。このハイジャックはあらかじめ計画されていたものであり、孤島で美術品を持ち出す算段だったのです。しかし、バミューダ海域に差し掛かったところで突然天候が悪化、ジャンボ機は濃霧で視界を遮られて油田タワーに接触、漏れた燃料がエンジンに引火して爆発を起こし、機体はそのまま海中へと墜落してしまいました。
エアポート’77/バミューダからの脱出のネタバレあらすじ:転
墜落の衝撃で乗組員や乗客は意識を取り戻しましたが、既に何人かは死亡しており、ハイジャック犯の一味もほぼ全滅していました。機内は辛うじて小さい損傷にとどまり、機内は機密状態が保たれていましたが、貨物室には海水が浸水し始めており、このままでは機体が水圧で押しつぶされるのも時間の問題でした。無線も故障したため助けを求めることもできず機内には絶望感が漂っていましたが、ギャラガーは海難信号を送るためビーコン付きのゴムボートを持って単身で機体の外に出て海面に出ることを決意します。一方、スティーブンスはジャンボ機がレーダーから消えたことを知らされ、すぐさまアメリカ海軍と沿岸警備隊が捜索に乗り出します。捜索にはジェット機の製造責任者パトローニ(ジョージ・ケネディ)も協力していました。
エアポート’77/バミューダからの脱出の結末
機内から脱出しようとするギャラガーに、ダイバー経験者を自負するマーティンが協力を申し出、二人は機体のドアを開けようとしますが、配線がショートしていて開きません。そこでマーティンがこじ開けようとすると、突如ドアが開き、吹き飛ばされたマーティンは押し寄せる水流に飲み込まれて絶命します。なんとか水面に浮上したギャラガーは救難信号を発信し、アメリカ海軍に救助されます。そしてギャラガーも参加しての大規模な救助作戦が開始され、ダイバーたちが次々と機体に巨大なバルーンを大量に括り付け、少しずつ機体が浮かび上がってきましたが、その時、気密を保っていた機体のドアが全開になってしまい、流れ込んだ海水で数人が犠牲になりました。それでもようやく機体は海面に浮上し、生存者は全員救助されていきました。しかし再び機体は美術品もろとも水没していきました。助かった人々の表情は疲れ切っていました。
この映画「エアポート’77 バミューダからの脱出」は、「大空港」「エアポート’75」に続く、航空パニック・シリーズの第3弾となる作品。
今回はジャンポ・ジェット機が遭難して、何と海の底に沈んでしまうのです。
しかも、その場所が、あの多くの謎に包まれたバーミューダ・トライアングル。
レーダーにもキャッチされず、無線も届かない。
さあ、乗客はどうなるのか? —-というハラハラ、ときどきする展開となっていきます。
この乗客が様々な人生を背負っているという面白さが、このシリーズの見どころなのですが、しかも、それを豪華なオールスターで描いているところがワクワクさせられるのです。
今回は機長がハリウッド映画界きっての名優ジャック・レモン。
彼はコメディ演技からシリアスな演技まで幅広い芸域を持つ、希代の演技派俳優ですね。
ジャンボ機の持ち主が「グレン・ミラー物語」「裏窓」のジェームズ・スチュアート。
乗客が「風と共に去りぬ」のオリヴィア・デ・ハヴィランド、「第三の男」のジョセフ・コットン—と、懐かしの俳優が顔を揃えていて、嬉しくなります。
そして、ドラキュラ役者として一世を風靡したクリストファー・リー。
この人は科学者役。彼は実際、大学で教鞭もとっており、大変なインテリ俳優なのです。
その彼を理解出来ずに酒びたりの奥さんが「シャンプー」のリー・グラント、機長を愛するスチュワーデスに「ロングウェイ・ホーム」のブレンダ・ヴァッカロ。
そして、この人が出てくると、必ずジャンボ機は助かるというシリーズのスター、ジョージ・ケネディが、お馴染みのパトローニ役で登場している。
また、乗客の衣装も豪華絢爛で、「ローマの休日」などでアカデミー賞をたくさん受賞しているイデス・ヘッド女史のデザインによる衣装で、もう目を奪われてしまいます。
この作品は、アメリカ海軍や沿岸警備隊の全面協力で、スケールの大きな撮影が可能となったわけですが、その一方で、”人間の指”という小さな部分でも、実に細かい印象的な演出がなされていたと思う。
皆を助けるために、進んで海の中へ入っていった科学者が、一瞬の事故から命を落とし、海上に浮かび上がっていき、それを見て、初めて夫への愛を理解する妻のリー・グラントの指には、大きな指輪がはめられていたのですが、あれは、彼女のそれまでの虚飾に満ちた生活が描き込まれていたのだと思うのです。
そしてまた、助かった時、オリヴィア・デ・ハヴィランドとジョセフ・コットンが、しっかりと指と指を絡ませるシーンには、まさに生きている実感が込められていたのではないかと思う。
この大きなスペクタクル・ドラマの中で、小さな指が人間の心を語るなんて、ジェリー・ジェームソン監督はなかなか憎い演出をしてくれます。
そして、一度は助けられながら、また救助に引き返した機長の勇気。
機長だから当たり前と言えばそれまでなのですが、スチュワーデスが震えていた時、彼は言うのです。
「僕も怖い。しかし、我々が助けなければ駄目なんだ」と。
私はここに、人間性を裸にした中での”勇気の真実”を見たように思うのです。