人魚姫の紹介:2016年中国,香港映画。「少年サッカー」(2001)や「カンフーハッスル」(2004)の監督チャウ・シンチーによる、ノンストップ・ファンタジーコメディ。怖いものなしの青年実業家が、美しい人魚と出会ったことから大事件が巻き起こる。ナンセンスすぎるギャグ、そしてピュアなラブロマンス、さらには真面目な環境問題まで盛り込んだという、ある意味、怪作とも呼べる衝撃的な一本。中国では、歴代興業記録を塗り返る大ヒットとなった。純粋な人魚役のリン・ユンと、冷酷な悪女役のキティ・チャンの好対照な存在感も魅力。
監督:チャウ・シンチー 出演者:ダン・チャオ(リウ・シュエン)、リン・ユン(シャンシャン)、キティ・チャン(ルオラン)、ショウ・ルオ(タコ兄)、アイヴァン・コティック(ジョージ)、ジェン・ジーン(ジェン社長)、クリス・ウー(ロン・ジェンフェイ)ほか
映画「人魚姫」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「人魚姫」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
人魚姫の予告編 動画
映画「人魚姫」解説
この解説記事には映画「人魚姫」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
人魚姫のネタバレあらすじ:起
中国の青羅(チンルオ)湾では、ある開発計画が持ち上がっていました。湾周辺の土地をごっそり買い取った若き大富豪リウのもとに、不動産業界の大物が訪れてビジネスの話をもちかけます。青羅湾を埋め立て、ディズニーランド顔負けの巨大テーマパークを建設しようと目論む不動産社長は、美しい愛娘ルオランをリウに紹介。2人で手を組んで開発を進めるよう促しました。その夜、リウの豪邸ではパーティが開かれ、大勢の業界人やモデル美女で賑わいます。ルオランは、その美貌を武器にリウを誘惑しようとやっきになっていました。そこにダンサーのふりをして忍び込んだ1人の女性、シャンシャンが現れます。シャンシャンは人魚の扮装をしており、大胆にも初対面のリウに自分の電話番号を渡します。警備員に追い出されたシャンシャンは、スケボーに乗って自分の家へと向かいます。実はシャンシャンは本物の人魚。二つに分かれたヒレに靴をはき、見た目は人間と同じです。シャンシャンが帰る崖の上にある家の地下室は海につながり、そこに沈んだ大きな難破船が本当の住処なのです。難破船には、大勢の人魚族が暮らしていました。彼らは昔、大きな海で自由に暮らしていました。しかし、邪悪な人間達は人魚を捕獲。殺戮を繰り返したため青羅湾に逃げてきたのです。ところが人間達は青羅湾を開発。強力なソナーを流し、海中生物の撃退を始めます。ソナーは、大勢の人魚達の命をも奪いました。生存の危機に瀕した人魚族は、開発の張本人であるリウを殺害するため、刺客としてシャンシャンを送り込んだのでした。
人魚姫のネタバレあらすじ:承
人魚族の仲間で下半身がタコの通称タコ兄が、シャンシャンに暗殺テクニックを手引きします。待ちくたびれた頃、ようやくリウからデートの誘いが。決意を固めたシャンシャンは、リウのもとに出掛けます。しかし、実はリウはシャンシャンのことを金目当ての軽い女だと思っており、札束を渡して追い払おうとします。そこでシャンシャンはリウを下町の屋台に連れて行き、彼女が大好物のチキンを強引に食べさせます。その後、2人は遊園地で大はしゃぎ。可憐で不思議なシャンシャンに魅せられたリウは、シャンシャンを家まで送ると言います。家の中では、タコ兄がリウを殺そうと待っています。それを知っているシャンシャンは、リウを帰してしまいます。シャンシャンもリウのことが好きになっていたのです。翌日、リウはシャンシャンに突然のプロポーズ。それを知ったルオランは激怒します。殺害を実行できないシャンシャンにしびれをきらしたタコ兄達は、リウを難破船に拉致。ところがシャンシャンはまたもやリウを逃がします。タコ兄はシャンシャンを責めますが、人魚族の最年長であるお婆だけは、「愛する者を救ったのだから自分を責めるな」と言うのでした。人魚族の苦しみを知ったリウはルオランの海洋研究所へ向かい、ソナーの中止を訴えます。しかしシャンシャンへの嫉妬に燃えるルオランは、難破船に住む人魚族を捕獲して大儲けしましょうと提案。リウは唖然となります。
人魚姫のネタバレあらすじ:転
ルオランは忠実な部下のジョージを引き連れ、何隻もの船とともに人魚族の住処へとのりこみます。リウは部下に「ルオランに逆らうと大金を失うことになる」と警告を受けますが、シャンシャンへの愛は本物。車に飛び乗り海へと急ぐのでした。一方難破船では、武器を持った人間達が人魚族に襲いかかっていました。人魚達は残酷な方法で次々と殺されていきます。お婆が巨大なヒレで大波を起こし、人間達に反撃します。人魚達が海底深く避難すると、そこにあったはずのソナーが消えています。それはリウの指示であり、彼は人魚族の味方だったのだとタコ兄は知ります。銃で撃たれ、モリで刺されて傷だらけになったシャンシャンは、必死で難破船から脱出しました。ルオランとジョージの乗った船が、シャンシャンの後を執拗に追いかけます。港にたどりついたシャンシャンを追いつめたルオランは、ジョージに「殺しなさい」と命じます。間一髪の状況下、リウが空から現れました。友人のジェン社長に借りたジェットスーツを着ていたのです。「彼女を殺すなら先におれを殺せ」とすごむリウに、顔色ひとつ変えずに矢を撃つルオラン。体に矢を受けながらも、リウはシャンシャンを抱き上げ海に戻し、自分もその場に崩れ落ちます。そこへ警察隊が現れ、ルオラン達は逮捕されます。
人魚姫の結末
時がすぎ、無事に怪我も回復したリウ。昔のように贅沢三昧な人生を捨て、今では環境保全に私財を費やしていました。ある日のこと、1人の青年がリウを訪ねてきます。彼はリウのおかげで奨学金を受け、海洋学を修めることができたのです。リウは青年に「きれいな空気と水がなければ稼ぐ意味などない」と言います。それは以前、シャンシャンが語っていた言葉です。青年はリウにお礼を言い、今では有名になった人魚族の事件について尋ねます。人魚は本当にいるのですかという青年の質問に、リウは「いない」と答えます。それでも懐疑的な青年は、一枚の写真を取り出します。海の中を泳ぐ、傷だらけのシャンシャンが映っていました。「人魚を待ち続けて、今でも独身を貫いているのですか?」という質問に、リウは微笑んで「妻がいる」と答えます。そこに現れたルーシーと呼ばれる妻は、シャンシャンその人。幸せそうなシャンシャンとリウは、もうすぐ旅行に出掛けることを楽しみにしていると語ります。それはリウがまだ行ったことのない場所、深い深い海の底です。シャンシャンに連れられ、美しい海底を訪れるリウが映ります。そこにはタコ兄と人魚族が暮らしていました。
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