暁の用心棒の紹介:1966年イタリア映画。名無しの主人公と盗賊団の戦いを描いたマカロニ・ウェスタン。アメリカ政府がメキシコに援助金を渡すという情報を得た名無しの男<よそ者>は、金が運ばれてくる町までやって来た。よそ者はそこで遭遇した盗賊団と協力して金を手に入れるが、裏切られ命を狙われてしまう。盗賊団に攫われた女と金を取り戻すため、よそ者は銃を手に戦いを挑むのだった。
監督:ヴァンス・ルイス 出演者:トニー・アンソニー(よそ者)、フランク・ウォルフ(アギラ)、ジア・サンドリ(マルカ)、ヨランダ・モディオ(チーカ)、ラフ・バルダッサーレ(カルボ)ほか
映画「暁の用心棒」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「暁の用心棒」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「暁の用心棒」解説
この解説記事には映画「暁の用心棒」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
暁の用心棒のネタバレあらすじ:よそ者と盗賊団
舞台はアメリカ国境付近。メキシコの人気の無い町に、1人の男がやって来ました。<よそ者>と呼ばれるその男は酒場の2階から外の様子を窺います。すると頭巾を被った男達の行列が現れ、反対側からはメキシコ兵の一隊がやって来ました。行列の正体は悪名高い盗賊団で、リーダーのアギラは機関銃でメキシコ兵を全員殺害し、その制服を着て兵になりすまします。盗賊団とよそ者は、アメリカ政府がメキシコ政府に貸す金がこの町に運ばれて来るという情報を掴んでいました。アギラ達はメキシコ兵になりすまし、金を横取りしようとしているのです。よそ者は酒場にやって来たアギラとその情婦マルカの前に姿を現し、自分はアメリカの将校だと嘘をつきました。そしてスムーズに金を受け取れるよう口利きしてやろうと持ちかけます。当然分け前を要求するよそ者の提案を、アギラは受けることにしました。
暁の用心棒のネタバレあらすじ:逃走と追跡
しばらくして、情報通りアメリカの騎兵隊が町にやって来ます。よそ者は指揮官テッド・ハドソンに近づき、銃で脅して金を強奪しました。テッドは「このままでは引き下がらん」と苦々しく捨て台詞を吐いて去っていきます。約束を守る気など無い盗賊団は、分け前を主張するよそ者を殺害しようとしました。よそ者は金の入った袋を奪い、建物の中に逃げ込みます。そこには美しい未亡人チーカと、その赤ん坊がいました。よそ者は窓から屋根に逃げ出しますが、チーカが盗賊団に捕まってしまいます。よそ者は彼女を救うため金の袋を放り投げ、荒野へと馬を走らせました。アギラ達はチーカを捕らえたまま後を追います。よそ者は岩陰に隠れて一旦盗賊団の追跡をやり過ごし、密かに彼らの後をつけチーカと金を取り戻す隙を狙いました。
暁の用心棒のネタバレあらすじ:よそ者の反撃
アジトに到着した盗賊団。よそ者はこっそり様子を窺います。チーカは別室に捕らえられていました。部屋の場所を確認したよそ者は一旦その場を離れ、地下室へ降りて金を取り返そうとします。しかし盗賊団に見つかってしまい、激しい暴力を振るわれ瀕死の状態に。そこへマルカが現れ「私に任せて」と言い出しました。男達はめいめいその場を離れ、アギラはチーカの元へ向かいます。よそ者はマルカの鞭を受けながら、隙を見て彼女を殺害。ボロボロの体で地下へ降りて火薬を爆発させます。驚いたアギラ達は全員階下へ走り、マルカの遺体を発見します。その隙によそ者はチーカと金を取り戻しアジトから逃げ出しました。
暁の用心棒のネタバレあらすじ:最終決戦
町に帰還したよそ者とチーカ。チーカの赤ん坊は何とか無事でした。よそ者は金の入った袋を井戸に隠し、金貨を数枚チーカに渡して出来るだけ遠くへ逃げろと言います。よそ者に散弾銃を渡したチーカは赤ん坊と一緒に逃げようとしましたが、追ってきたアギラ達に囲まれてしまいました。赤ん坊にナイフを突きつけ、よそ者の居所を吐けと脅すアギラ。よそ者の狙撃によって母子は何とかその場から逃れます。よそ者は1人、また1人と盗賊団を射殺し、残るはアギラだけになりました。機関銃を構えるアギラに、よそ者はトロッコを盾にして近づきます。弾を装填しようとしているところを狙い、アギラを殴り倒すよそ者。「借りは返すぜ」と言ってアギラがボロボロになるまで蹴り続けます。そして銃の決闘を持ちかけ、アギラを射殺するのでした。
暁の用心棒の結末:有言実行の男
盗賊団を全滅させたよそ者は、隠しておいた金を取り出します。するとそこへテッドが現れました。気が付くとよそ者は銃を構えた騎兵隊に囲まれています。観念したよそ者はテッドに金を返し、盗賊団にかかっていた賞金だけを受け取りました。馬に跨り、町を後にするよそ者。その姿をテッドが見送り、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画暁の用心棒のあらすじと結末でした。
「暁の用心棒」感想・レビュー
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ベネデッド・ギリア作曲の不気味なエレキギターが響く、ムードたっぷりのオープニング。
砂塵が吹き荒れる荒野の町へ、ポンチョ代わりに毛布を纏ったガンマンがやって来る。
これぞマカロニ・ウエスタンだ!!「殺しが静かにやって来る」では保安官だったフランク・ウォルフが演じる悪役アギラは、メキシコ軍をガトリング砲で皆殺しにし、騎兵隊から金を奪おうとする。
そこに偽将校として参加しようと言い出すガンマン。
後は、悪女やら裏切りやら拷問やらいろいろあって、クライマックスはガンマンが散弾銃でひとりずつ敵を倒していく——–。トニー・アンソニーが演じる名前のない流れ者は、クリント・イーストウッドがアメリカへ帰ってから西部劇で演じていたヒーローに通じる神秘性を備えていると思う。
「荒野の用心棒」からこの作品を経て「荒野のストレンジャー」や「ペイルライダー」が生まれたと言ったら、少し言い過ぎかもしれませんが。
それにしても、このトニー・アンソニーは、情けない表情や無邪気な笑顔や、人を食ったようなジョークが同居した不思議な魅力のある俳優だ。
盗賊団のボス、アギラの情婦は…怖い、怖い。
アギラ一味が降伏して武装解除させたメキシコ兵達を壁に並べて機関銃でダダダダッと連続殺戮するのを機関銃の傍で平然と眺めていたかと思えば、主人公のよそ者がアギラ一味の罠にかかって殴る、蹴るのリンチで半殺しの憂き目に遭っていたら、「もう止しな!」と制止して半殺しのよそ者を預かった時てっきり半殺しになったよそ者を介抱するのかと思いきや、な、な、何という事でしょう?今度は情婦がこのよそ者を鞭で「ビシッ!ピシッ!」全く何の事やら訳分からん。