お吟さまの紹介:1962年日本映画。今東光の直木賞受賞作『お吟さま』の最初の映画化。信仰と太閤秀吉の権力によって引き裂かれる、千利休の娘と高山右近の恋を描く。田中絹代の最後の監督作品になった。
監督:田中絹代 出演者:有馬稲子(吟)、高峰三枝子(りき)、冨士眞奈美(宇乃)、仲代達矢(高山右近)、中村鴈治郎(千利休)、南原宏治(石田三成)
映画「お吟さま」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「お吟さま」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「お吟さま」解説
この解説記事には映画「お吟さま」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
お吟さまのネタバレあらすじ:起・梅見の茶会
天正15年、豊臣秀吉は九州征伐を進めていた。天下統一が近づく今、石田三成たちが気にかけていたのは、キリシタンのあつかいである。夜明け頃、三成は秀吉に同行している千利休に、利休の養女、吟の縁談をもちかける。相手は堺の大商人、万代屋宗安だった。吟は利休の茶道の弟子であるキリシタン大名の高山右近を恋慕い、彼からもらった本でデウスの教えを学んでいた。右近の許しなしには嫁には行かないと誓っていた彼女は、右近が南宗寺で宣教師のために催した梅見の茶会の際に、右近に縁談について相談する。吟は右近にその身をささげる覚悟だったが、右近は吟の愛を拒み、嫁入りを勧める。妻のある右近と吟が結ばれることはデウスの教えにより許されなかった。ただ右近は自分の首にかけていた十字架を吟の首にかける。それは、吟の侍女の宇乃が右近に返しそびれた扇子と共に吟の手元に置かれる。
お吟さまのネタバレあらすじ:承・太閤の茶会
天正17年、吟は嫁いで二年になる。まめまめしく店のために働くが右近への思いは断ち切れない。それを感じ取る万代屋との仲は冷え切っていた。万代屋は淀川に舟を浮かべて吟の点前で茶会をする。客はキリシタンとしての信仰を捨てないために領地を失って追放される右近と宣教師だけだった。右近が笑顔で吟について社交辞令を万代屋に言うのが吟には悲しかった。天正18年正月、利休らを呼んで大規模な茶会を催した秀吉は吟の美貌に目を留める。一方、右近が武将として復権する兆しがあり、三成はそれによってキリシタン禁令が骨抜きになるのを恐れていた。三成は万代屋に吟と右近を会わせることを勧める。二人が過ちを犯せば、右近は再び退けられ、吟は秀吉に献上しやすくなるだろう。
お吟さまのネタバレあらすじ:転・茶店の二人
右近と吟は再び梅の季節に南宗寺で対面するが、二人は偽の手紙で呼び寄せられたこと、これが三成と万代屋による陰謀であることに気づく。山門には不逞のやからが集まっていたが、南宗寺の僧侶に逃げ道を教わった二人は茶店に逃げこむ。降り出した雨は止まず夜になる。右近は妻と死別したことを話す。そして初めて吟への思いを告白する。二人は抱きしめ合う。
お吟さまの結末:茶人の誇り
吟は万代屋に離別を承知させ、両親の元へ戻る。一方、吟と不義密通を働いた右近は再び追放される。吟は右近の追放先の加賀へ行くことを右近と約束していた。だが、吟は秀吉に招かれる。黄金の茶室で秀吉から求愛をうけた吟は、自分の魂はさるお方にさしあげたと答える。秀吉は利休の命を奪うと脅し、一両日中に再考するよう言いわたして吟を帰す。利休を加賀から老人が訪れる。右近からの吟への加賀行きを督促する言葉を伝える使者だった。利休一家は吟を送り出すための祝宴をする。権力者の意に逆らっても娘の幸せを図ることが、利休にとって茶人としての誇りを全うすることだった。吟の乗る舟の支度もできた。だが、屋敷の周囲が突如包囲される。逃れるすべのないことを吟たちは知る。死装束に身をつつんだ吟のこの世の名残のために利休は茶を点てた。右近の十字架を身に着け、別れの和歌を残し、右近の物だった扇子を右近に届けることを宇乃に託し、別室へと吟は姿を消した。
良かったので NHK 大河ドラマで 見たいですね