シャンドライの恋の紹介:1998年イタリア映画。巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督が描く、無償の愛の物語。アフリカ人女性シャンドライは、夫が逮捕されてしまったためイタリアへ亡命した。雇い主キンスキーに求婚された彼女は手酷く拒絶する。その日以降、キンスキーは私財を次々売却するようになった。不思議に思うシャンドライは、やがて彼の不器用な愛に気付く。原作はジェームズ・ラスダンの短編小説。
監督:ベルナルド・ベルトルッチ 出演者:デヴィッド・シューリス(キンスキー)、タンディ・ニュートン(シャンドライ)、シリル・ヌリ(シャンドライの夫)、クラウディオ・サンタマリア(アゴスティーノ)ほか
映画「シャンドライの恋」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シャンドライの恋」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
シャンドライの恋の予告編 動画
映画「シャンドライの恋」解説
この解説記事には映画「シャンドライの恋」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シャンドライの恋のネタバレあらすじ:謎の多い雇い主
舞台はアフリカ、とある軍事独裁政権国家。軍人が突然学校に踏み込み、授業中の教師を拘束します。彼は体制に批判的な内容を子ども達に教えていると判断され、連行されてしまいました。教師の妻シャンドライはあまりのことに泣き崩れます。その後、シャンドライは単身ローマに渡りました。英国人の音楽家キンスキーの家で住み込みの家政婦として働きながら、大学で医学を勉強する毎日です。ある真夜中、シャンドライは荷物用エレベーターの大きな音で目を覚ましました。扉を開くと、「?」とだけ書かれた五線譜が置いてあります。送り主は上階に住むキンスキーのようですが、シャンドライには意味が分かりません。キンスキーは謎の多い人物でした。家は叔母が死去した際譲り受けたもので、彼自身は子ども達相手にピアノを教えています。めったに外出せず、親しい友人もいません。そんな彼を、シャンドライは少し気味悪く思っていました。
シャンドライの恋のネタバレあらすじ:シャンドライの拒絶とキンスキーの変化
その後も荷物用エレベーターを使い、キンスキーから花や指輪が贈られてきます。不可解な行動に苛立ったシャンドライは直接指輪を返しに行きました。ところがキンスキーは唐突に愛を告白し、強引に求婚してきます。「何でもする」と言うキンスキーの傲慢さに、シャンドライは思わず「それじゃ夫を刑務所から出して!」と絶叫しました。彼女が結婚しているとは知らなかったキンスキーはショックを受けます。その後シャンドライは、引越しを視野に入れながら仕事を続けました。キンスキーの家には数々の絵や細かい彫刻品があるので、掃除も一苦労です。珍しく外出したキンスキーは、黒人が集う教会に足を向けました。そこで彼らのエネルギッシュな音楽を学び、神父とも交流を持つようになります。それ以降、キンスキーは頻繁に外出するようになりました。更にいくつもあった調度品が家の中から消えていきます。シャンドライは不思議に思いますが、キンスキーが理由を語ることはありませんでした。
シャンドライの恋のネタバレあらすじ:思いがけない朗報
いつもクラシックを弾いているキンスキーが、アフリカ音楽に影響された曲を作り始めます。懐かしい音楽にシャンドライも思わず体でリズムを取りました。ある日、シャンドライが帰宅すると「ご主人に関する朗報です」と書かれた手紙が届いていました。彼女の夫は現在軍の刑務所から一般の刑務所に移され、来週裁判が行われるそうです。喜ぶシャンドライですが、事態が好転した理由が分かりません。彼女は思わず「キンスキーさん?」と呟きます。
シャンドライの恋のネタバレあらすじ:キンスキーの真意
キンスキーは子ども達を自宅に招き、小さなコンサートを開きました。披露するのは彼の自作曲です。呼び鈴が鳴ったのでシャンドライが玄関へ向かうと、夫からの手紙が届きました。釈放された彼はシャンドライと再会するためローマを目指しており、明後日の早朝に到着するとのことです。しかしシャンドライの心には、喜びとは別に戸惑いも生まれていました。キンスキーの存在が彼女の中で少しずつ大きくなっていたのです。翌日、シャンドライが帰宅すると窓からピアノが運び出されていました。それを見たシャンドライは全てを理解します。キンスキーはシャンドライの夫を釈放させるため、私財を売却して金を捻出していたのです。何も語らないキンスキーに、シャンドライも問い質すことは出来ませんでした。明日訪ねて来る夫を数日間部屋に泊めても構わないかと尋ねるシャンドライ。キンスキーは辛そうな顔をしますが、承諾してくれました。
シャンドライの恋の結末:シャンドライの選択
シャンドライはキンスキーに感謝の手紙を書こうとしますが、なかなか上手くいきません。一方のキンスキーは、釈放のため尽力してくれた神父と祝杯を上げました。深夜、シャンドライは手紙を持ってキンスキーの寝室へ向かいます。酔って服のまま眠っているキンスキーに近付き、そっと隣に身を横たえました。2人は静かに一夜を共にします。翌朝、目を覚ましたキンスキーは「あなたを愛してます」と書かれたシャンドライからの手紙に気付き、笑みを浮かべました。その時呼び鈴が鳴り響きます。シャンドライの夫がやって来たのです。シャンドライはキンスキーの腕を抱いたまま動きません。しかし鳴り続けるベルに、彼女は目に涙を溜めながらキンスキーの腕を振りほどきました。シャンドライがベッドから降り、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「シャンドライの恋」のあらすじと結末でした。
「シャンドライの恋」感想・レビュー
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久しぶりに素敵な恋物語を見聞きした(それもピアノ曲がバックにながれてつ)気がします。螺旋階段の不思議な映像と調度品、シャンドライの喜び、哀しみ、迷い、期待、女の切なさ、あどけない表情やしぐさの裏には、えも言えぬ色香が漂います。
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無償の愛を美しく描いています。
真実の愛とは見返りを期待しない
愛する人が幸せになることだけを思う
愛について考えさせられた映画でした
素敵な映画
白人の音楽家キンスキーとその家政婦で夫のいる黒人のシャンドライとの恋物語。ベルトルッチ監督作ということで、何とも言えない色香と官能が全編に漂います。ぼんやりと揺れる船の上でうたたねをしているような、そんな心地よさが味わえる映画です。叶わないからこそ美しい、そんな恋物語です。