マルクス・エンゲルスの紹介:2017年フランス,ドイツ,ベルギー映画。アメリカ合衆国の人種差別を考察したドキュメンタリー映画『私はあなたの二グロではない』をトランプ大統領誕生直後のアメリカでヒットさせたラウル・ペック監督が次に完成させた作品。妻子を抱えていつも金欠のマルクス。ブルジョワの息子なのに労働者の側についたエンゲルス。若い二人が出会い、『共産党宣言』が誕生するまでを描く伝記映画。
監督:ラウル・ペック 出演者:アウグスト・ディール(カール・マルクス)、シュテファン・コナルスケ(フリードリヒ・エンゲルス)、ヴィッキー・クリープス(イェニー・マルクス)、ハンナ・スティール(メアリー・バーンズ)オリヴィエ・グルメ(ジョゼフ・プルードン)その他
映画「マルクス・エンゲルス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マルクス・エンゲルス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
マルクス・エンゲルスの予告編 動画
映画「マルクス・エンゲルス」解説
この解説記事には映画「マルクス・エンゲルス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マルクス・エンゲルスのネタバレあらすじ:ヨーロッパ、1843年
産業革命は社会にひずみを生み、貧困者は不当な労働を強いられ人間としての尊厳を奪われつつあった。プロイセンでは若きカール・マルクスが『ライン新聞』の記者として反動的な政府を攻撃していたが、言論弾圧は強まってきた。発禁間近の編集部でマルクスは政府におもね気味の仲間たちの記事を批判していた。やがて全員逮捕。護送の馬車の中でマルクスはルーゲに、パリを拠点とする新しい雑誌への参加を誘われる。
一方、イギリス、マンチェスターのエルメン・アンド・エンゲルス紡績工場の経営者の息子であるフリードリヒ・エンゲルスは、ストライキを指導したせいで工場を首になったアイルランド娘メアリー・バーンズをさがして貧民街へ入る。貧民向けのパブで彼は、マンチェスターの労働者階級について彼が書く本を手伝ってほしいと呼びかけるが、労働者の一人のパンチを浴びてのびてしまう。エンゲルスはメアリーの部屋で目覚める。
マルクス・エンゲルスのネタバレあらすじ:パリでの再会
1844年のパリ。マルクスはルーゲの『独仏年誌』で活躍しているが、給料が2か月分払われていないことを妻にぼやく。妻のイェニーは、でもルーゲのおかげでパリに来られたのだと、夫の不公平を諫める。トリーアの貴族の出身のイェニーは夫と娘との貧乏な暮らしにへこたれることがなかった。マルクス夫妻は無政府主義者の集会に行き、演説するリーダーのプルードンの「所有」の概念についてマルクスが議論をふっかけてプルードンを困らせるが、彼やバクーニンと親交を結んだ。
マルクスがルーゲに原稿代を要求しに行ったとき、ちょうどパリに来たエンゲルスもルーゲを訪れていた。二人は互いの著作を絶賛し合う。外で警察の検問を共に逃れて意気投合。エンゲルスはマルクスにスミスやリカードの経済学を学べとすすめる。マルクスは「哲学者は世界をただいろいろ解釈しただけである。大事なことは世界を変革することだ」と言う。二人は酒に酔い、その晩はマルクスの家にエンゲルスが泊まる。
マルクス・エンゲルスのネタバレあらすじ:パリからブリュッセルへ
マルクスに24時間以内にフランスを出よという命令が下り、夫妻は途方にくれる。そのころエンゲルスはマンチェスターに戻っていたが、父との仲は険悪。エンゲルスを励ましてくれるのはメアリーとその妹、そしてマルクスとの文通である。ブリュッセルに移ったマルクスに、工場を経営しながら革命運動をするという自分の立場についての悩みを書き送る。
ブリュッセルでマルクス夫妻に二人目の娘が産まれる。生活は厳しく、エンゲルスの援助でアパートを追い出されずに済んでいた。エンゲルスの求めでマルクスはロンドンを訪れることにする。ヨーロッパやアメリカに勢力を伸ばしつつある共産主義の団体、正義者同盟への参加の可能性を探るためでる。
マルクス・エンゲルスのネタバレあらすじ:共産主義者同盟
ロンドンでマルクスはエンゲルスに「妻」のメアリーを紹介される。正義者同盟の代表者たちとの面接でマルクスは疑惑の目を向けられるが、プルードンと面識があることが買われて同盟に迎えられる。
しかし、ブリュッセルでの会合でマルクスは例によってヴァイトリングら有力者を批判してしまう。にもかかわらず正義者同盟はマルクスを正式会員として認め綱領作成への参加を認める。マルクスとエンゲルスはプルードンに正義者同盟の通信員となることを依頼するが、プルードンはそれを断り、彼の新著『貧困の哲学』を二人に渡す。マルクスはその本を批判する『哲学の貧困』を著す。
ロンドンの正義者同盟の集会にマルクス夫妻やエンゲルス、メアリーが乗り込む。最初は発言を認められていなかったエンゲルスが投票によってブリュッセル代表として発言することになる。エンゲルスは友愛を旗印にするヴァイトリングらの立場を批判し、闘争を呼び掛ける。そして正義者同盟の名を共産主義者同盟に変えさせた。「万国のプロレタリアよ、団結せよ」が標語となる。
マルクス・エンゲルスの結末:名著の誕生
マルクス一家とエンゲル、メアリーは海辺を散歩する。エンゲルスは乗り気でないマルクスを説得して共産主義者同盟の綱要をまとめる仕事に立ち向かわせる。イェニーとメアリーに手伝わせて『共産党宣言』が作られる。「ヨーロッパに幽霊が出る。共産主義という幽霊である」。『共産党宣言』は時代を超えて読み継がれてゆく。
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