ウインド・リバーの紹介:2017年アメリカ映画。ウインド・リバーは全米各地に点在するネイティブアメリカンの保留地のひとつ。荒れ果てた大自然の地で生活を強いられた人々は、貧困やドラッグなどの慢性的な問題を抱え苦しんでいた。そこへある日18歳の少女の遺体が発見される。捜査に当たるのはFBIより単身派遣された新人捜査官ジェーンと、ウインド・リバーに生きる凄腕ハンターのコリー。様々な苦難に見舞われながらも心を通わせ、理不尽な殺人事件の真相に迫っていく。『ボーダー・ライン』『最後の追跡』の脚本を担当したテイラー・シェリダンがフロンティア3部作最終章として本作を脚本・監督し、カンヌ国際映画祭〈ある視点〉部門で監督賞に輝いた作品。全米ではわずか4館の限定公開でスタートし、作品のクオリティより公開4週目で2095館へと拡大された。
監督:テイラー・シェリダン 出演:ジェレミー・レナー(コリー・ランバート)、エリザベス・オルセン(ジェーン・バナー)、ジョン・バーンサル(マット)、ギル・バーミンガム(マーティン)、ジュリア・ジョーンズ(ウィルマ)、ジェームズ・ジョーダン(ピート)、ケルシー・アスビル(ナタリー)、グレアム・グリーン(ベン)ほか
映画「ウインド・リバー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ウインド・リバー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ウインド・リバーの予告編 動画
映画「ウインド・リバー」解説
この解説記事には映画「ウインド・リバー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ウインド・リバーのネタバレあらすじ:起
アメリカ中西部、ワイオミング州にあるネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバー。この地域は春でも深い雪に覆われた山岳地帯で、白銀と静けさが一面を包んでいます。そんな土地である日、ネイティブアメリカンの少女の死体が見つかりました。第一発見者は野生生物局の白人ハンター、コリー・ランバート。雪を赤く染めるほど血を吐いた状態で、裸足で凍りついたまま発見されたその少女は、コリーの娘エミリーの親友、ナタリーでした。コリーは部族警察署長ベンと共にFBIの到着を待ちます。次第に猛吹雪になり始め視界が悪くなります。予定より大幅に遅れてやってきたのは新米女性捜査官ジェーン・バナーたった1人でした。
ウインド・リバーのネタバレあらすじ:承
死体発見現場に案内されたジェーンは、不可解な状況に驚きます。現場から5キロ圏内には民家などはひとつもなく、ナタリーは薄着だった上に裸足でした。前夜、気温は約マイナス30度。足跡からは走っていたことが分かります。肺が凍って破裂するほどの極限の状態で、なぜナタリーは生き絶えるまで雪原を走らなくてはいけなかったのか…。検死結果でナタリーは暴行を受けていたことが判明しました。彼女は犯人から逃走中に死亡したことが分かり、殺人事件として立件することができるケースです。しかし、死因はあくまで肺出血であり、他殺と認定することができません。規定によりFBIの専門チームを呼ぶことができず、捜査の壁にぶち当たったジェーンは、この土地の特有な地理や事情に精通したコリーへ捜査の協力を依頼しました。早速ジェーンたちはナタリーの父親マーティンのもとを訪ね、事件の日、ナタリーは恋人のところへ行っていたことを知ります。妻は娘の死に泣きじゃくり、息子はドラッグ中毒で、マーティンは「疲れた」とすっかり憔悴してしまっている様子でした。コリーは必ず復讐するとマーティンへ約束しその場を離れました。
ウインド・リバーのネタバレあらすじ:転
捜査を続けるコリーとジェーン。さらに雪の深い森へ行くと、今度は白人男性の遺体を発見します。その男性は、近くの掘削所で働くナタリーの恋人マットでした。その夜、ジェーンを自宅に招いたコリーはつらい過去を打ち明けました。3年前に娘エミリーを亡くし、それが原因でネイティブアメリカンの妻ウィルマと離婚。息子とも離れ離れに暮らしているという過去でした。しかも、エミリーはコリーの留守中に失踪し、ナタリーと同じように自宅から遠く離れた場所で変わり果てた姿で見つかったのでした。コリーの今でも残る罪悪感を感じたジェーンは、彼が捜査に協力をしてくれた理由を察するのでした。翌日、コリーとジェーンは行動に移します。ベンが応援要請に駆り出した保安官4人を引き連れて、コリー以外の全員でマットの同僚が共同生活をしている山奥のトレーラーハウスに乗り込みました。コリーは1人手がかりを追ってスノーモービルで山へと入っていきます。ジェーンたちはトレーラーハウス近くにいた数人の警備員にマットのことを尋ねると、なぜか警備員の1人は報道で伏せていた被害者の名前を知っており、不自然な言動を連発します。両者の間に緊張が走り、拳銃を向け合い一発触発の状態となりました。ここはジェーンが事態を収め、トレーラーハウスのドアを叩きます。
ウインド・リバーの結末
映像は事件当日、このトレーラーで起こった出来事を映し出します。訪ねてきたのは生前のナタリー。マットとの久々の再会に幸せな時を過ごしていました。そこへ戻ってきた警備員の仲間たち。仲間のピートがナタリーとマットに絡み始め挑発します。怒るマットに動じずピートは悪ふざけをやめません。これがきっかけとなり、ナタリーは頭を打ち気絶。マットは仲間全員からリンチされ瀕死の状態になります。ナタリーが気を取り戻すとすでにレイプされている最中で、持てる力を全て出し切って雪原を逃げたのでした。
話は戻り、ジェーンがドアを開けようとしたとき、一発の銃声とともにジェーンが倒れました。激しい銃撃戦となり次々と保安官たちも倒れてしまいます。しかしこの事態を救ってくれたのは、コリーでした。コリーは1人逃げたピーターを追い詰め裸足のまま雪山の山上で拘束。冷静にピートへ、ナタリーの真相を聞き出します。静寂しかないこの地では、女性もおらず何もすることのない。そう嘆くピートを解放しナタリーと同じように裸足のまま走らせ、倒れるピートを見守るコリーでした。ジェーンは防弾チョッキのお陰で助かり、コリーへ感謝を伝えます。コリーはマーティンのもとを訪れ、犯人がぶざまに死んだことを報告し、互いの亡き娘に想いを寄せて寄り添うのでした。最後にテロップが流れます。「ネイティブアメリカン女性の失踪者に関する統計調査は存在しない。失踪者の数は不明のままである」と。
以上、ウインド・リバーのあらすじと結末でした。
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