メアリー&マックスの紹介:2008年オーストラリア映画。ひょんなことから文通を始めた孤独な少女と病を抱える中年男性の20年以上に及ぶ心の交流を描いた作品。5年もの歳月をかけて製作されたアダム・エリオット監督渾身の長編クレイアニメーションです。アヌシー国際アニメーション映画祭にて最優秀長編作品に選ばれ、オタワ国際アニメーション映画祭においてもグランプリを獲得するなどに世界的に高い評価を受けました。
監督:アダム・エリオット 声の出演:トニー・コレット(メアリー・デイジー・ディンクル)、フィリップ・シーモア・ホフマン(マックス・ジェリー・ホロウィッツ)、エリック・バナ(ダミアン・キリル・ポポドボラス)、レネ・ゲイヤー(ヴェラ・ロレイン・ディンクル)、バリー・ハンフリーズ(ナレーション)
映画「メアリー&マックス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「メアリー&マックス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
メアリー&マックスの予告編 動画
映画「メアリー&マックス」解説
この解説記事には映画「メアリー&マックス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
メアリー&マックスのネタバレあらすじ:起
1976年のオーストラリア。メルボルンに住む8歳の少女メアリー・ディンクルは遊ぶ友達もいない孤独な少女です。死んだ鳥で剥製を作るのが好きな無口な父と酒飲みで窃盗癖のある母との三人暮らしで、生活は豊かではありません。一方ニューヨークに住む44歳の中年男性マックス・ホロウィッツもまた孤独な生活を送っていました。母と買い物に行った店の電話帳で偶然マックスの名前を見つけたメアリーは、彼に手紙を書くことを思いつきます。自己紹介とぜひ友達になって欲しいというメッセージとともにチョコレートバーを同封してマックスに宛てて手紙を送ります。見知らぬ少女からの手紙を受け取ったマックスは、興奮して4回も読み返してしまいました。そしてタイプライターで早速返事を書きます。精神科に通院していて、これまで様々な職業を経験してきたことや金魚などのペットを飼っていること、宝くじを買うことやフィギュアを集めるのが趣味だと手紙に書きます。優しい隣人のアイビーを除いては人とうまく関わることができないマックスでしたが、メアリーだけには心を許せる気がしていました。マックスは手紙に自分の写真を同封し、お礼に大好きなチョコレートドックの作り方を教えます。しかしメアリーの母がマックスから届いた手紙を先に読んでしまいます。娘への悪影響を考えた母は手紙を捨ててしまいますが、ゴミ箱からこぼれ落ちた手紙をメアリーが見つけ出します。
メアリー&マックスのネタバレあらすじ:承
メアリーはマックスに学校でいじめに遭っていることを告白します。メアリーの額にある茶色のアザを同級生のバーニーが笑うのです。彼女は教室でもうまく笑顔を作ることができず悩んでいました。いじめに遭ったことがあるかを尋ねられたマックスは解決策を思いつきます。額のアザはチョコレートであり、チョコレートを配る係を任せられているのだと話せばいいのだと。そして笑えないことをあまり気にしなくていいとメアリーを元気づけます。マックスからの手紙で元気を取り戻したメアリーは、バーニーからのいじめをはねのけ、郵便配達のアルバイトに励むようになります。バイト代を貯めてマックスに会いに行こうと考えているのです。隣人のダミアンに淡い恋心を抱くようになったメアリーは、マックスに恋したことがあるか、愛を知っているかと無邪気に質問します。しかしこの手紙はマックスを深く混乱させ、トラウマを呼び起こさせてしまいます。彼には女性から愛されたこともなければ、愛し合った経験もないのです。女心がまったく理解できないマックスにとって、愛は不可解な謎でしかありません。愛について考えすぎたマックスは極度のストレスからうつ病と肥満症を患い、精神病棟に収容されてしまうのでした。メアリーはその間もマックスからの連絡を待ち続けました。やがて自分が醜いため嫌われてしまったのだと考えるようになり、マックスのことを記憶の中から消し去ろうとするのでした。
メアリー&マックスのネタバレあらすじ:転
8か月後退院したマックスに日常が戻ってきますが、平穏な生活をかき乱されることへの不安からメアリーに手紙を書く勇気が出ません。さらに不運なことに部屋から電化製品が落下し、通行人を死なせてしまうという事故にも見舞われてしまいます。しかし48歳の誕生日に幸運が舞い込んできます。宝くじに当選したのです。一夜にして巨万の富を築いたマックスは大好きなチョコレートやフィギュアを買い占め、世話してくれるアイビーにもお金を渡します。しかし彼の心はどこか満たされないものがありました。メアリーのことがずっと気になっていたマックスは思いきって手紙を書くことにします。不安障害のため入院していたことや自分がアスペルガー症候群であることを素直に綴っていきます。自分の病を受け入れているマックスですが、唯一涙を流せないところだけを治したいとメアリーに打ち明けます。メアリーはマックスからの手紙を喜び、涙が出ない彼のために、ガラス瓶に自分の涙を入れて贈ってあげます。マックスはメアリーからの涙のプレゼントにとても感動し、二人は再び文通を再開します。メアリーからの素朴な質問にマックスが答える一方で、メアリーはマックスの日常の話を聞くのを楽しみにしていました。時は流れ、メアリーは恋に悩む年齢へと成長していきます。大学で心理学を学び出したメアリーでしたが、相変わらずダミアンに恋をしていて、綺麗になりたいと願うようになります。そしてマックスと会うために貯めていたバイト代を額の痣を除去する美容整形代にあててしまうのでした。しかし痣がなくなったからといってダミアンとの関係が変わることはなく、メアリーは深く後悔をします。追い打ちをかけるように母を亡くしたメアリーでしたが、そばで慰めてくれたダニアンとの仲が急速に進展し、二人は結婚します。
メアリー&マックスの結末
メアリーはマックスをモデルにしたアスペルガー症候群についての卒業論文を書き上げます。高い評価を得た論文が出版されることになると、出来上がった本を早速マックスに贈ります。しかし本を読んだマックスは自分が研究材料とされていたことに深く傷つき、メアリーに対して激しい怒りや失望をぶちまけます。ショックを受けたメアリーは研究を投げ出し、無気力な生活を送るようになってしまいます。マックスに謝罪の手紙を送ったものの、なかなか返事は来ません。さらに抜け殻のようになったメアリーに愛想をつかしたダミアンも家を出て行ってしまいます。絶望し、自殺しようとしていたメアリーの元にマックスから小包が届きます。そこにはマックスが大事にしてきたフィギュアのプレゼントとともにメアリーを生涯で唯一の最良の友達だと思っていることが綴られた手紙が入っていました。元気を取り戻したメアリーは子供を授かります。それから一年後メアリーは我が子を連れて、ついにニューヨークのマックスの家を訪れます。部屋をノックしたものの、応答がなかったためドアを開けてみると、椅子に座り、上を見上げたままマックスが絶命していました。メアリーは20年以上かかってようやく会うことができた親友マックスの手に優しく触れます。そして部屋の天井一面に自分が送った手紙が飾られているのに気づいて、涙してしまうのでした。
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