ロルナの祈りの紹介:2008年ベルギー,フランス,イタリア映画。ベルギーへ移民してきたロルナは、偽装結婚の相手の死をきっかけに、心が揺らいでしまう。揺れる彼女の胸中はいかに。
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ 出演:アルタ・ドブロシ(ロルナ)、ジェレミー・レニエ(クローディ)、ファブリツィオ・ロンジョーネ(ファビオ)、アウバン・ウカイ(ソコル)、モルガン・マリンヌ(スピルー)、オリヴィエ・グルメ(捜査官)、ほか
映画「ロルナの祈り」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ロルナの祈り」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ロルナの祈りの予告編 動画
映画「ロルナの祈り」解説
この解説記事には映画「ロルナの祈り」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ロルナの祈りのネタバレあらすじ:起・ベルギー国籍を取るために
アルバニアからの移民ロルナは、薬物中毒のクローディと偽装結婚をし、念願のベルギー国籍を手に入れた。クローディと離婚をして早く偽装結婚を解消したいロルナは、彼を入院させた後、薬物中毒の夫に暴力を振るわれたと警察に届けた。しかし、警察は自分で作ることのできる怪我だとし証人もいないままだと離婚が早まるわけでもないと言った。斡旋をしていたファビオは、薬物中毒で死ぬだろうからこのまま未亡人になれと取り付く島もない。
恋人のソコルはケルンの原子炉で働き始め、二人の目標のバーを持つ目標も近いと、クローディのあとにロシア人との偽装結婚を控えているロルナを励ました。そして、離婚をしてしまいたいロルナは、クローディを見舞った時に柱に頭をぶつけ、看護師に応急手当をしてもらいながら、証人を頼んだ。
そして、退院したクローディは裁判所からの連絡に、ロルナが離婚調停を知ってしまった。ファビオは次のロシア人との偽装結婚を怪しまれぬように妻を演じていろとロルナに釘を刺した。
ロルナの祈りのネタバレあらすじ:承・偽装結婚の相手に
退院して間もなく、ロルナが帰宅すると、クローディは家に麻薬の売人を上げていた。ロルナは売人を追い返し、その夜、夫婦として一夜の関係を持った。しかし、翌日クローディはファビオの計画通り薬物中毒で死亡してしまった。事情聴取にやってきた警察は、検死の結果クローディが薬物の過剰摂取によるもの、その原因として離婚調停を進めていたのが知れてしまったのが原因かもしれないと涙するロルナに疑問んは抱かなかった。
クローディの残したお金を返しに、彼の実家に行くと、そこにいた母親と兄はクローディやロルナのお金は貰いたくないとあしらった。しかたなく仕事場の庭にそのお金を埋めた。
ケルンからはるばるやってきたソコルと、バーの物件を探し、とんぼ返りしてしまう恋人と、酒場でダンスを踊った。
ロルナの祈りのネタバレあらすじ:転・予期せぬ妊娠の発覚
未亡人としてロシア人との偽装結婚の仕事の前に、ロルナは二人で見に行って気に入った物件を契約し、その中をソコルに電話で説明して歩いた。けれど、三階まで上がろうと言う所で、彼女は座り込んでしまった。
クローディとの間に子供を身ごもったと直感したロルナは堕胎のために病院へ行くが、取りやめて、残されたクローディのお金を、子供のために口座の番号を彼の苗字で発行してもらい、預けることにした。
ファビオは妊娠をすると即座におろすようにと言った。ロルナは相手のロシア人にも自分が妊娠している事を承知してほしいと頼むが、妊婦とは結婚できないの一点張りだった。そしてファビオに連れられ堕胎のために病院へ行くと、エコー検査の結果妊娠はしていないという事がわかった。
ロルナの祈りの結末:夢破れたあとに
斡旋業者のファビオにもう信用できないからと言う理由で、アルバニアに送り返されようとするロルナに、恋人のソコルは自分達の資金が減ってしまったと追い打ちをかけた。故郷のグラムシで会おうと言ってもロルナには彼がそこへ来るとは思えなかった。
ファビオの手下に送られる道中で、ロルナは用を足したいからと森の近くで降ろしてもらい、草陰に隠れた。このままでは殺されてしまうと思った彼女は近くの石を懐に入れて、車に戻るなり、運転席にいる手下を殴って森へ逃走した。
彼女の中ではまだ子供が存在し、母である自分が守らなければならないと言う気持ちで、森の中の小屋で暖を取り、明日の事をお腹の子に語りながら、「おやすみ」と言って、ベンチの上で眠った。
以上、映画「ロルナの祈り」のあらすじと結末でした。
ロルナの祈りのレビュー・考察:ロルナはなんのために祈るのか
エンドロールで流れる曲はベートーベン最晩年のピアノソナタ三曲のうちの一つ。ロルナが歩んできた道とは裏腹にやさしく奏でられるこの曲に、どこか子守歌めいたものを感じずにはいられない。ロルナが実際には妊娠していないという事は明白だけれど、彼女は一度は堕胎を決心したものの、それを取りやめた瞬間に、母親になろうと決意したのだと思う。それを裏打ちするように、クローディの苗字で子供の口座を作り、彼の残したお金を入れている。それは、実の家族から疎まれていただろうクローディがいたと言う事実を、赤ん坊として残そうと言う行為にも見える。祖国を出てきた彼女にとって、近くに住む家族に疎まれいたという事実はどれだけ辛かっただろうか、想像に難しくない。
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