シャトーブリアンからの手紙の紹介:2011年フランス,ドイツ映画。ナチス占領下のフランスで一人のドイツ人将校暗殺により収容所の人質が集団処刑されるいう実話をもとに描いた作品。「ブリキの太鼓」で世界に衝撃を与えたフォルカー・シュレンドルフ監督がナチスへの痛烈な皮肉を込めて描いた戦争ドラマです。
監督:フォルカー・シュレンドルフ 出演者:レオ=ポール・サルマン(ギィ・モケ)、マルク・バルベ(ジャン=ピエール・タンボー)、ウルリッヒ・マテス(エルンスト・ユンガー)、マルタン・ロワズィヨン(クロード・ラレ)、ヴィクトワール・デュボワ(オデット・ネリス)、ジャン=マルク・ルロ(ルシアン・トゥーヤ収容所長)、セバスティアン・アカール(ベルナール・ルコルヌ副知事)、ほか
映画「シャトーブリアンからの手紙」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シャトーブリアンからの手紙」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
シャトーブリアンからの手紙の予告編 動画
映画「シャトーブリアンからの手紙」解説
この解説記事には映画「シャトーブリアンからの手紙」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シャトーブリアンからの手紙のネタバレあらすじ:起
1941年、ナチス占領下のフランス。10月20日ナント地区で1人のドイツ人将校がフランス人の共産党員に暗殺されるという事件が起こります。これに怒ったナチス・ドイツの総統アドルフ・ヒトラーは150人のフランス市民の処刑を命じます。これまでフランス人と良好な関係を築いてきたパリ司令部のドイツ軍人シュテュルプナーゲル将軍やエルンスト・ユンガー大尉はこの指令に頭を悩ませます。彼らは処刑が感情的な復讐でありフランス人達からの反発を買うだけだと考え、なんとか処刑回避を試みようとします。しかし犯人逮捕の有力な手がかりは得られず、人質のリストを作り始める準備が着々と始まっていきます。ターゲットとなったのがシャトーブリアン郡のショワゼル強制収容所に収容されている共産党員などの政治犯達でした。
シャトーブリアンからの手紙のネタバレあらすじ:承
共産党員の父の影響を受けて育った少年ギィは映画館でドイツの占領を批判するビラを配った罪でショワゼル強制収容所に収容されています。学生デモを起こして逮捕された友人クロードはまもなく釈放されることが決まっていて、妻とともに暮らせる日を心待ちにしています。ギィはオデットという少女に恋をしていて、二人は塀越しに愛を語り合います。二人はいつか塀の外で会えることを夢見ているのでした。一方で処刑の計画は着々と進んでいきます。それはまずナント地区に住む政治犯と収容所の共産党員達50人を処刑し、それでもなお犯人が見つからなければ次の50人が処刑されていくという非情な計画でした。この情報をいち早く聞きつけた収容所の共産党員タンボーは我々の死により世の中が変わるなら受け入れるしかないと絶望する仲間達に語りかけます。タンボー達の話を耳にしてしまったギィは恐怖で身を固くするのでした。
シャトーブリアンからの手紙のネタバレあらすじ:転
やがて収容所の人質リストが作成されます。その中にはタンボ―ら共産党員のみならずギィや釈放が決まっているクロードの名前もありました。フランス副知事ルコルヌは若きギィやクロードをリストから外すよう収容所長に掛け合いますが、代わりに犠牲になる三人を選ぶよう迫られ、断念せざるを得ませんでした。10月22日、パリにも人質処刑の告示が貼り出されます。収容所ではリストに載せられた27人の人質の名前が次々と呼ばれて行きます。クロードは釈放を撤回され、ギィは一番最後に名前を呼ばれました。薄暗い棟の中に集められた人質は一時間後に採砂場で銃殺されることが告げられます。ルコルヌに呼ばれてやってきた神父は暗殺と銃殺を繰り返すことは報復の連鎖を生むだけだと迫りくる処刑に強い憤りを見せるのでした。人質達は家族への最後の手紙を書く時間を与えられました。覚悟を決めたギィは両親や兄弟に向けて遺書を書き始め、クロードは妻との最後の面会を許されました。そして処刑の執行の時がやってきます。神父は人質達から家族や仲間達に宛てた手紙を託されていきます。人質は採砂場へ輸送されるため次々と車に乗せられていきますが、仲間の処刑へ抗議する怒声が収容所内に響き渡ります。ギィはオデットに宛てて書いた手紙をドイツ兵に託すのでした。
シャトーブリアンからの手紙の結末
採砂場にたどり着くと人質は1人ずつ柱にくくりつけられ、ドイツ兵に次々と銃殺されていきます。その頃オデットはギィからの手紙を受けとっていました。そこには約束を果たせなかったことへの謝罪や彼女への深い愛が綴られていました。オデットは死にゆくギィを思い号泣してしまうのでした。ギィは一か所に集められた仲間達の遺体を見つめ、悲しみに震えながら柱にくくりつけられます。タンボーはフランスの未来を願い、自由万歳と高らかに叫びながら最期を遂げます。ギィは自分の歩んできた道を決して後悔しないと胸に誓いながら17年という短い生涯を閉じるのでした。オデットはギィに渡せなかった愛の手紙を書きます。ギィとオデットは一緒に外に出ることは叶わなかったものの、ギィ達の勇敢な死は決して無駄ではなく、人々に立ち上がる勇気を与えたのでした。
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