いろとりどりの親子の紹介:2017年アメリカ映画。10年間で300以上の家庭に取材、世界中で大ベストセラーとなったアンドリュー・ソロモン著のノンフィクション作品「FAR FROM THE TREE」をエミー賞受賞監督レイチェル・ドレッツィンが映画化したドキュメンタリー作品です。難病やLGBTなど様々な“違い”を抱えた6組の親子の生き方に密着します。
監督:レイチェル・ドレッツィン 出演者:エイミー・オルナット、ボブ・オルナット、ジャック・オルナット、エミリー・パーク・キングスレー、ジェイソン・キングスレー、デレク・リース、リサ・リース、タイラー・リース、レベッカ・リース、ハワード・ソロモン、アンドリュー・ソロモン、ロイー二・ヴィヴァオ、リア・スミス、ジョセフ・A・ストラモンドほか
映画「いろとりどりの親子」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「いろとりどりの親子」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
いろとりどりの親子の予告編 動画
映画「いろとりどりの親子」解説
この解説記事には映画「いろとりどりの親子」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
いろとりどりの親子のネタバレあらすじ:アンドリューとハワード親子
この映画の基になった「FAR FROM THE TREE」の著者アンドリュー・ソロモンは「この本を書いたのは、自分を知るため、親を許すためだ」と語り始めました。
ニューヨークの薬品会社フォレスト・ラボラトリーズ社の元会長であるハワード・ソロモンの子として産まれたアンドリューは子供の頃から、周囲の男子が好きなロックなどではなく、オペラやエミリ・ディキンスンの詩などを嗜む少年でした。そんなある時、アンドリューは自分がゲイであることに気付き、両親に打ち明けましたが、両親、特に母はそんな息子を受け入れず、アンドリューは両親に憎しみを抱き、うつ病を患うようになっていきました。
アンドリューは深く悩んだ末に同性愛を治そうとセラピーにも通いましたが、結局自分自身を偽ることは耐え難い苦痛であることに気が付きました。
アンドリューの母は彼の同性愛を受け入れることなく、アンドリューが27歳の時に卵巣ガンで他界しましたが、うつ病を克服した今では父とも和解を果たし、同性パートナーとの結婚式の時には祝辞を述べてくれました。現在、アンドリューはパートナーと息子を育てながら執筆活動を続け、自分と同じようなLGBTに悩む人間、身体に障がいを負った人々がどのように親と向き合っているのか検証し続ける日々を送っています。
いろとりどりの親子のネタバレあらすじ:ジェイソンとエミリー親子
ダウン症を患うジェイソン・・キングスレーは語ります。「物語と現実の区別ができない、それが問題だ」
ジェイソンはエミー賞受賞経験を持つ脚本家エミリーの子として生まれましたが、生後間もなく会話も読み書きも不可能なダウン症と診断され、医師からは施設に入れるよう促されましたが、エミリーと夫は諦めずに我が子に教育を施し、その甲斐あってジェイソンは学力が次第に伸びていきました。その後、ジェイソンは「セサミストリート」など数多くのテレビ番組に出演、エミリーもまたダウン症の子を持つ母として講演活動や執筆などでダウン症患者の可能性を世に広める活動を続けてきました。
ジェイソンはこの日41歳の誕生日を迎え、同じくダウン症を患う友人たちの祝福を受けました。ジェイソンは「アナと雪の女王」が大好きで、いつか登場人物の“エルサ”に会いにノルウェーに行くという夢を打ち明けました。ジェイソンは現在、友人3人と共同生活をしながらラジオ局で勤務しています。ジェイソンは「僕はダウン症で生まれてきたから、こうして友達に出会うことができた。今を受け入れている」と語りました。
いろとりどりの親子のネタバレあらすじ:ジャックとオルナット夫妻の親子
ボブとエイミーのオルナット夫妻の子・ジャックは2歳ごろから自閉症を発症、それ以降は全く言葉を発さなくなっていました。両親は音楽療法、理学療法、アレルギー検査、自然療法、高圧酸素治療などあらゆる療法を試してきましたが一向に効果は現れず、ジャックのストレスは溜まるばかりでした。そんなある日、ある女性教師がアルファベットのボードを用意してジャックにタイピングを教え、ジャックは何時間もかけてようやく両親に自分の想いを伝えられるようになりました。ジャックは母エイミーに、自分の気持ちは「檻の中のトラのようだ」とタイピングで答えました。その後、ジャックは学校で自分と同じ自閉症の友人ができ、タイピングで「学ぶことは無限にある」と心境を語りました。
いろとりどりの親子のネタバレあらすじ:トレヴァーとリース夫妻の親子
デレクとリサのリース夫妻は長男トレヴァー、次男タイラー、長女レベッカの3人の子宝に恵まれ、愛情を注いで育ててきました。ところがある日、当時16歳だったトレヴァーが8歳の少年を殺害した容疑で逮捕されてしまいました。夫妻は精神分析医を雇い、我が子に問題がなかったのか調べましたが何の異常も見つからず、罪を認めたトレヴァーは終身刑の判決を受け、今なお服役しています。事件後、リース夫妻は大学生になったタイラーと高校生になったレベッカと共に故郷を捨ててテキサスに移住しました。デレクは一生我が子の罪を背負うと語り、タイラーとレベッカは将来子どもを持たないという考えを示しました。
いろとりどりの親子のネタバレあらすじ:ロイーニ
エルサルバドルとアメリカンサモアの血を引くアメリカ人女性ロイー二・ヴィヴァオは、マジュースキー骨異形成性原発性低身長症2型という非常に珍しい型の低身長症を患っています。ロイーニの家族は彼女に過保護に接し、道行く人々も幼い子どものように接してくるというのですが、それでもロイーニはサフォーク郡コミュニティカレッジでリベラルアーツの準学士を取得しました。ロイーニの望みはもっと外の世界に出て旅行なども楽しみたいということ、そしていつか恋人をつくってデートがしたいということです。
ある日、ロイーニは母とともに低身長症の人々の生活を支援する団体「リトル・ピープル・オブ・アメリカ」の年次大会に参加、そこで初めて自分を理解してくれる仲間と出会い、生まれて初めてファッションショーにも参加しました。
いろとりどりの親子のネタバレあらすじ:リアとジョセフ夫妻
リア・スミスとジョセフ・A・ストラモンドの夫妻はSNS「MySpace」を通じて知り合い、4年の交際を経てゴールインした共に低身長症のカップルです。妻であるリアは、障がい者権利センターでメディア&エンターテイメント部門を担当する妻リアは「リトル・ピープル・オブ・アメリカ」の本部会議で低身長症を治すことではなく、今の自分たちがありのまま認められるべきだと主張、サンディエゴ州立大学の哲学部の助教授である夫ジョセフは生命倫理や障がい哲学、フェミニスト哲学などに関する課題について講義や執筆を行っています。ジョセフは「身体が不自由だと、心も不自由だと思われている」と心境を語りました。
リアとジョセフの願いは子どもが欲しいということでしたが、リアは一度流産をしており、病院に相談に出向きました。二人は生まれ来る子どもが低身長であってもなくても構わないと願っていました。やがて夫婦には待望の子どもが生まれ、ジョセフの祖母や両親は涙を浮かべてリアと赤ん坊を抱きしめてくれました。
あらためて考えさせられた。多くの人たちが見るべきだと。ただ後半のピンクの戦車は… あれはないでしょ。