ジェーン・ドウの解剖の紹介:2016年アメリカ映画。映画の祭典「ファンタスティック・フェスト」で最優秀作品に選ばれたのをはじめ、世界各国の映画祭で話題を呼んだホラー。身元不明の女性の遺体、“ジェーン・ドウ”の検死を担当することになった親子、トミーとオースティン。ところがジェーン・ドウは、今まで彼らが見てきた遺体とは全く違っていた…。主演は「ボーン・アイデンティティ」シリーズのブライアン・コックス、そして「イントゥ・ザ・ワイルド」のエミール・ハーシュ。また、妖しく美しい死体“ジェーン・ドウ”を演じるのは、ヴォーグ誌のグラビアや有名ブランドの顔として活躍中のモデル、オルウェン・ケリー。
監督:アンドレ・ヴーヴレダル 出演者:オルウェン・ケリー(ジェーン・ドウ)、エミール・ハーシュ(オースティン・ティルデン)、ブライアン・コックス(トミー・ティルデン)、マイケル・マケルハットン(バーク保安官)、オフィリア・ラヴィボンド(エマ)、パーカー・ソーヤーズ(コール)、ジェーン・ペリー(ウェイド)ほか
映画「ジェーンドウの解剖」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ジェーンドウの解剖」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ジェーン・ドウの解剖の予告編 動画
映画「ジェーンドウの解剖」解説
この解説記事には映画「ジェーンドウの解剖」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ジェーン・ドウの解剖のネタバレあらすじ:起
アメリカのバージニア州グランサム。とある民家で殺人事件が起こりました。現場に駆けつけたバーク保安官は、惨殺された痛ましい住民達の遺体を目にします。地下室におりると、土の中に半分埋まった若い女性の遺体がありました。女性は全裸で、ここの家族とは無関係の人間らしく身元がわかりません。奇妙なことに犯人が侵入した形跡はどこにもなく、むしろ被害者達のほうが家から脱出を試みたようです。バーク保安官は女性のことを、身元不明遺体を指す通称名“ジェーン・ドウ”と呼びます(男性の遺体の場合は“ジョン・ドウ”と呼ぶ)。ジェーンは、“ティルデン遺体安置所&火葬場”に運び込まれます。バーク保安官は、経営者のトミー・ティルデンと長年の友人。トミーの息子オースティンとも気心が知れています。若いオースティンは、トミーの助手としていつも検死を手伝っていました。ジェーンの遺体が地下の解剖室に運ばれてきたのはすでに夕刻。仕事を終えたオースティンは、恋人のエマと映画に出掛けようとしていました。バーク保安官はトミーに、翌朝が記者会見のため今夜中に検死を済ませてほしいと頼みます。父親思いのオースティンは、映画はレイトショーで見ようとエマを説得。トミーの検死を手伝うことにしました。エマはすねてしまいますが、じきに機嫌を直して出て行きます。バーク保安官も去り、解剖台に乗せられたジェーンの遺体を見下ろすトミーとオースティン。いつものように仕事に取り掛かります。
ジェーン・ドウの解剖のネタバレあらすじ:承
静かな解剖室にラジオの音が響いています。ブルネットの髪に濁ったグレイの瞳をしたジェーンの遺体。外傷もなく、その姿は美しいとすら言えそうです。しかしトミーは、何かがおかしいと気づきます。死後硬直がなく、まるで生きているようにしなやか。しかし手首と足首の骨は粉々に砕かれています。ウエストが細く、手足の爪には泥炭が詰まっています。最も衝撃的なのは、舌が引きちぎられていたことです。トミーは推理します。これは売春目的でさらわれた、人身売買の被害者ではないか。さらに不可解なことは続きます。ジェーンの鼻から血が流れ、中からハエが飛び立ちます。口の中からは細い糸が見つかり、臼歯が1本抜けています。検死中、部屋の電気がチカチカ点滅し、ラジオの電波が乱れて不気味に明るい歌が流れてきます。トミーがジェーンの胸を切開すると、流れるはずのない血が噴き出します。心臓には切り傷があり、肺は真っ黒。臓器も激しく損傷しています。あり得ない状況に困惑しながら、トミーはふと、細すぎるウエストは長年コルセットを着けていたせいではないかと考えます。作業中、トミーはうっかりメスで自分の手首を傷つけてしまいます。オースティンは通気孔から聞こえる不審な音に気づき、そこに横たわる飼い猫スタンリーの傷だらけの姿を見つけます。スタンリーは、オースティンの母親が可愛がっていた形見同然の猫でした。トミーとオースティンは悲しみにくれ、スタンリーを火葬します。
ジェーン・ドウの解剖のネタバレあらすじ:転
ジェーンの検死が再開されます。胃の中から溶けた花が出てきます。図鑑で調べると、麻酔に使われる花だと判明。ラジオからは嵐の到来のニュースが流れますが、トミーは仕事を続けます。体内から古い埋葬布が出てきます。布にはローマ数字のような文字が書かれていて、ジェーンの抜けた臼歯を包んでいました。オースティンが、これは何かの宗教儀式ではと言います。ラジオからまたあの不気味な歌が聞こえてきます。ジェーンの体を切開すると、皮膚の内側にまで謎のローマ数字が書かれていました。検死済みの遺体を保存している、冷蔵庫の扉がゆっくりと開きます。突然、天井の照明が割れて辺りは真っ暗に。廊下へ出たトミーとオースティンは、地上へ出る扉を開けようとします。しかし、暴風雨で木が扉の上に倒れて開きません。携帯は圏外で通じず、やむをえず事務所の固定電話で助けを呼ぼうとする2人。警察にかけるとバーク保安官が出ますが、嵐のためかすぐに切れてしまいます。事務所の外では、冷蔵庫に入っていたはずの遺体がトミーに襲いかかります。なんとかトミーを助けたオースティンは、全てジェーン・ドウの仕業だと言います。事務所を出て解剖室へ戻ると、ジェーンの遺体はそのままです。しかし、体内から出した臓器は腐敗しています。2人はジェーンを火葬場へ運ぼうと試みますが、歩き回る遺体に阻止されます。オースティンはその場でジェーンにアルコールをかけ、トミーがマッチで火をつけます。火は室内に燃え広がり、慌てて消火器をまいたトミーは愕然とします。ジェーンだけが全く燃えていなかったのです。
ジェーン・ドウの解剖の結末
2人は廊下の向こうのエレベーターで脱出しようとします。再び遺体が追ってきて、トミーは非常用のオノを夢中でふりかざします。ところがそれは遺体ではなく、オースティンを迎えに来たエマでした。首を切られたエマはその場で絶命。オースティンは泣きくずれ、トミーも放心状態です。落ち着きを取り戻したオースティンは、ジェーンがなぜ自分達を生かしているのかを考えます。ジェーンは何かを隠している。死因を突き止める必要がある。トミーもうなずき、2人は解剖室へ戻ります。再び解剖作業を開始し、頭蓋骨を切開して脳細胞を顕微鏡で見たトミーはショックを受けます。血液細胞が動いていて、それはジェーンが生きていることを意味するのです。オースティンは埋葬布を調べます。文字は「レビ記 20章 27節」と判明しました。思いついたのは、17世紀のニューイングランドで行われた魔女裁判です。無実の少女達が魔女狩りで殺害された。ジェーンは魔女か、もしくは人間が悪魔になってしまったかのどちらかだと、トミーは言います。これはジェーンの復讐だと考えたトミーは、頼むから息子を傷つけないでくれとジェーンに言います。次の瞬間トミーは苦しみ出し、反対にジェーンの体から傷が消えていきます。苦しむトミーは、泣いているオースティンに目で訴えます。父親の気持ちを察したオースティンは、泣きじゃくりつつもメスを手にとり、トミーの心臓に突き立てます。ジェーンの灰色の瞳に生命力が宿りました。父親を殺害し、座り込んでしまうオースティン。外でバーク保安官の声がしました。ようやく助けが来たのです。オースティンは立ち上がり、地上へつながる扉へと向かいます。扉の向こうでは、すぐに行くから待っていろとバーク保安官が言っています。ほっとしたオースティンは扉を開けようとしますが開きません。バーク保安官の声が、あのラジオの歌声に変わります。ぎょっとしたオースティンが振り向くと、背後に死んだはずのトミーが立っています。トミーの瞳は、ジェーンと同じ灰色です。驚いてバランスを崩したオースティンは階段から落下し、即死しました。翌朝。遺体安置所にやってきたバーク保安官には、トミーとオースティンに一体何が起こったのかさっぱり分かりません。侵入者の形跡はなく、トミーが自殺するはずもないのです。解剖室に入ると、昨夜運んだ時と全く変わらない状態のジェーンの遺体が横たわっていました。バーク保安官は、ジェーンの遺体を葬儀場ではなく大学へ運ぶよう指示します。ジェーンの遺体を乗せた車が走り出しました。ラジオから再び、あの不気味な歌が流れます。空(くう)を見つめるジェーンの遺体。足の指がピクリと動きました。
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