るにんの紹介:2004年日本映画。流刑地八丈島、数十年もこの島に閉じ込められてきた遊女豊菊と恋に落ちた若き流人喜三郎は彼女の願いをかなえるため、今までに脱出できたものはいないと言われる島から抜け船を企てる決意を固めます。絶海の孤島を舞台に描かれる壮大なヒューマンドラマです。
監督:奥田瑛二 出演者:松坂慶子(豊菊)、西島千博(佐原喜三郎)、小沢まゆ(お千代)、麻里也(花鳥)、根津甚八(稲葉重三郎)、島田正彦(近藤富蔵)、奥田瑛二(お薬金次郎)、ほか
映画「るにん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「るにん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「るにん」解説
この解説記事には映画「るにん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
るにんのネタバレあらすじ:起
江戸時代末期。舞台は絶海の孤島、八丈島。断崖に罪人を閉じ込めた球状の竹籠が一列に並んでいます。役人稲葉重三郎は次々とその籠を蹴っては海の中へと突き落とし、ぶっ転がしの刑を執行していきます。流人の遊女豊菊は身体を震わせながらこの光景を眺めています。罪人達を密告したのは豊菊です。吉原に火をつけた罪で15の時に島に流されてきた豊菊はご赦免状を貰って江戸に戻れる日を切望しており、稲葉に仲間達を売り続けてきたのです。
そんな中江戸からまた新たな流人が流されてきました。博打で失敗した若い男佐原喜三郎もその中の一人です。ある日喜三郎は道でへたばっていた老人小平治に呼び止められ、ある場所に連れていってもらいたいと頼まれます。小平治を背負って辿り着いたのは豊菊の家でした。豊菊は島の男相手に身体を売って生活をしていました。しかし小平治は豊菊との性交中に突然死してしまいます。豊菊は小平治を成仏させてあげたいと火照る身体を喜三郎に押しつけ、二人は関係を持ちます。
るにんのネタバレあらすじ:承
豊菊は稲葉からお役御免になったため江戸に帰ることになったと知らされます。稲葉は豊菊を利用したたけであり、ご赦免状を発行するつもりなど最初からありませんでした。騙されていたことを知った豊菊は逆上し、稲葉の股間に短刀を突き刺しますが、逆に激しい暴行を受けます。喜三郎は家の前で全身傷だらけで倒れている豊菊を見つけ、介抱します。豊菊はこれまで自分が犯してきた罪を明かし、この穢れた身体で島の土になりたくないと切実に訴えます。豊菊の思いに胸を打たれた喜三郎は必ずお前を江戸に返してやると約束します。
島には新たな流人が流されてきました。15歳の花鳥は豊菊と同じく吉原に火を付けた罪で流されてきた遊女です。島の男達が物欲しそうに花鳥を見つめる中、島の娘お千代は花鳥を妹のように可愛がり始めます。お千代は流人の男の子供を身ごもっていました。やがて村に飢饉が襲い掛かると、崖崩れで家を失い正気を失った村人金次郎がお千代と花鳥を拉致するという事件が起きます。豊菊は金次郎を刺し殺して、お千代と花鳥を救い出します。そして金の慰み者となってしまった花鳥を家に連れて帰り、介抱してやります。花鳥は江戸に残してきた父母のことを思うと胸が痛いと心中を明かします。お千代の出産が迫りますが、肝心の赤ん坊の父親はご赦免となり一人江戸へと帰ってしまいます。
るにんのネタバレあらすじ:転
島の地図を作っている武士の流人近藤富蔵に出会った喜三郎は船で島を抜けることが可能か尋ねます。すると富蔵は今までに抜け船に成功した流人はいないが、黒瀬川の川幅が半分になる七月ならば脱出できる可能性はあると答えます。喜三郎は毎日のように海へ出て、潮の流れを観察するようになります。豊菊の家に住み着いた花鳥は喜三郎を誘惑し始めます。花鳥は喜三郎が抜け船を目論んでいることに目をつけ、自分も一緒に連れていってほしいと懇願しますが、俺が愛しているのは豊菊だけだと拒絶されます。傷つき、やけになった花鳥は島の男衆をたぶらかし、皆に抜け船しようと唆します。花鳥は生まれた赤ん坊の顔を江戸にいる父親に見せてやろうとお千代も誘います。
こうしてある明け方、花鳥とお千代、男衆を乗せた抜け船が江戸に向けて出発します。しかしすぐに役人達の追っ手が迫ってきます。逃げ切ることは困難だと悟った花鳥はお千代と赤ん坊を海に逃がしてやります。役人達の船は瞬く間に抜け船に迫り、花鳥達はあっという間は捉えられてしまいました。お千代は自力で海を泳いで八丈島にたどり着き、豊菊に救出されました。その後島抜けに失敗した花鳥達の処刑の日がやってきます。豊菊はぶっ転がしの刑に連れられて行く花鳥に死に支度をさせてやりたいと役人に頼み込み、花鳥と最後に言葉を交わすことができました。花鳥は吉原に行く前母が買ってくれたという髪飾りを豊菊に託します。豊菊は必ずこれを父母のもとに届けると約束します。豊菊は喜三郎とともに抜け船する覚悟を決めました。
るにんの結末
喜三郎と豊菊はお千代と赤ん坊、豊菊を姉と慕う流人達を引き連れて島を脱出します。苦難を乗り越え、船は江戸へと無事に漂着しました。豊菊と喜三郎は流人達と別れると、お千代を赤ん坊の父親の住む町まで送り届けます。しかし町にはすでに豊菊達の人相届が出回っていて、見つかればすぐに処刑されてしまいます。喜三郎は一旦下関へ行き身を隠そうと言いますが、豊菊は花鳥の形見を両親に返すまでは江戸を離れられないと言います。二人が花鳥の両親を訪ねると、両親は涙を流して喜びました。そして早々に引き上げようとする二人を引き留め、酒を振る舞い始めます。しかしこれは花鳥の母が仕掛けた罠でした。豊菊達が罪人であることを承知していた花鳥の母は最初から二人を奉行所に売り渡すつもりだったのです。
嵌められた二人はあっという間に同心達に囲まれてしまいます。覚悟を決めた喜三郎はあの世で祝言をあげようと豊菊に言い残し、一人果敢に闘うも最期は刺されて息を引き取るのでした。喜三郎を失った豊菊は逃げる気力も失い、その場へへたり込んでしまいました。一方夫と再会したお千代でしたが、赤ん坊の父親はすでに別の女と所帯を持っていることが分かり、泣きながらその場を去っていくのでした。豊菊の処刑の日がやってきます。豊菊は彼岸で喜三郎と祝言を上げることを夢見て散っていくのでした。
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