女王フアナの紹介:2001年スペイン,イタリア,ポルトガル映画。神聖ローマ帝国皇帝カール5世の母で、夫を愛するあまりの狂気的な嫉妬から狂女と言われた女王フアナの生涯を描き、本国スペインで大ヒットを記録した歴史ドラマ。
監督:ヴィセンテ・アランダ 出演:ピラール・ロペス・デ・アジャラ(フアナ)、ダニエレ・リオッティ(フェリペ)、マニュエラ・アーキュリ(アイサ)、エロイ・アソリン(アルバロ)、ロサナ・パストール(エルビーラ)、ジュリアーノ・ジェンマ(ド・ヴェイル伯爵)、ロベルト・アルバレス(アドミラル)、ほか
映画「女王フアナ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「女王フアナ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「女王フアナ」解説
この解説記事には映画「女王フアナ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
女王フアナのネタバレあらすじ:政略結婚
1554年、74歳のフアナはおよそ半世紀の間、塔に幽閉されていた。スペイン国王の娘であり、神聖ローマ帝国皇帝カール5世の母であるフアナは死の時を待っていた。
1946年、カスティーリャ王国の女王イザベルは、フランドルとの政略結婚のため、16歳になる娘フアナ王女をハプスブルグ家の王子フェリペに嫁がせる。肖像画のみで会ったこともない相手との結婚に不安を募らせるフアナだったが、会ったとたん、その美貌に魅了される。
ほどなくフアナは次々と出産、1500年には後のスペイン王カルロス1世、神聖ローマ帝国皇帝カール5世が誕生する。しかしその頃には夫フェリペはフアナの欲求に応えることが減っていた。この頃、フアナのきょうだいたちは相次いで病で亡くなっていたため、フアナがカスティーリャの王位継承者となっていた。
女王フアナのネタバレあらすじ:愛するがゆえの狂気
そんな中、1504年にイザベラ女王が死去。カスティーリャからの使者から母の死を知らされたフアナはすぐさまフェリペに伝えようと彼の元へいくと、夫は他の女性との情事に耽っていた。フアナは母の死と夫の浮気で取り乱し、狂ったように泣き叫ぶ。フアナは夫の浮気相手と目される侍女の髪を切り、それを見たフェリペはフアナの執着に恐れをなす。
イザベラ女王の崩御によってフアナはカスティーリャ王国の君主となり、フェリペを伴ってカスティーリャを訪れる。国民はフアナを歓迎するが、女癖が悪くフアナを疎んじているフェリペをカスティーリャの貴族たちは受け入れてはいなかった。
フェリペはフアナの目を盗み、夜毎娼館へ出かけていた。しかしフアナはフェリペに尾行をつけ、彼の娼館通いに嫉妬の炎を燃やしていた。フェリペは娼館で踊り子のアイサに出会って夢中になり、女官になりたいというアイサの言いなりになって彼女をフアナ付きの侍女にする。自分の侍女の中に夫の愛人がいることに気づいたフアナは愛人探しに躍起になる。
女王フアナの結末:夫の謀反
常軌を逸したフアナの言動に乗じ、フアナが狂人で統治能力不能として、フェリペをカスティーリャの君主にするという提案がアラゴン王であるフアナの父やフェリペの側近らによって議会になされる。フェリペは徐々に衰弱していたが、側近らに諭され自分が君主になることを宣誓する。彼が王座へつこうとしたその時、フアナが自分を支持する貴族や国民らとともに現れ、カスティーリャの君主は自分だと宣言する。
ほどなくフェリペは病に倒れ、死の床で彼はフアナに許しを請いながら28歳でこの世を去る。夫の死に嘆き悲しむフアナは、彼の棺とともにフランドルへの道を彷徨うがその道のりは厳しく、たどりつくことはできなかった。
その後フアナは女王の座を奪われることはなかったが幽閉され、愛する夫と再び会える時を待ちながら長い年月を過ごす。
「狂女王」と呼ばれたフアナですが、この映画を観ると、単に夫を愛しすぎただけだというのが分かります。彼女にとっては筋の通ったことをやっているだけなのに、周りの者にはそんな彼女を理解できず、「おかしい」と思われることで次第に追い詰められていき、更に行動が常軌を逸していくという、負のスパイラルに陥ってしまったのでしょう。
フアナ役のピラール・ロペス・デ・アジャラの美しさが際立つだけに、せつない気持ちになります。フアナがもし夫をもっと冷静な目で見られたら、賢い女王として歴史に名を残したかもしれません。