一粒の麦の紹介:1958年日本映画。「東北には子供があまっていた」時代。福島県の中学校から集団就職列車に乗って東京に就職した生徒たちと、彼らを送り出した就職担当の先生の悩み多い一年間。カラー作品。
監督:吉村公三郎 出演者:菅原謙二(井上正治)、若尾文子(沼田イチ子)、東野英治郎(相沢校長)、木下雅弘(西山強)その他
映画「一粒の麦」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「一粒の麦」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「一粒の麦」解説
この解説記事には映画「一粒の麦」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
一粒の麦のネタバレあらすじ:就職者の引率
福島駅のホームに集団就職の生徒を激励する、テープに録音した県知事の声が流れる。井上先生に引率された平田中学の卒業生30人も集団就職列車に乗り込む。出発ぎりぎりにイチ子先生は井上先生に手作りの弁当をもってきた。線路わきでは村の人たちが生徒を見送る。上野駅に着いた生徒たちは、迎えに来たそれぞれの就職先の人に引渡される。渡辺梅夫はそば屋に、西山強は自動車修理工場に、実・次男・権三の三人は鉄工所に就職する。看護婦を目指す新井香代は小児科病院に住み込みで勤める。四郎と誠は雇い主が現れないので、職業安定所の職員がガラス工場へ連れて行かなければならなかった。井上先生はさらに浜松まで、夕子たち紡織工場に就職する女子を引率していった。浜松の旅館で各校の先生たちは工場主たちから接待されるが、井上先生は別の学校の就職担当の先生の俗っぽい話に腹を立てて言い争って先に帰ってしまう。
学校に戻った井上先生は、相沢校長から来年も就職担当をと頼まれるが、教育者としてもっと自分自身の勉強をする時間がほしいと言って即答を避ける。
一粒の麦のネタバレあらすじ:四郎と誠
井上先生とイチ子先生の祝言がイチ子先生の実家で行われた。そこに、東京の職安からガラス工場で働く四郎と誠が逃亡したという電報が来たと学校の用務員が知らせる。上京する井上にイチ子も同行し、とんだ新婚旅行になる。四郎と誠は警察に保護されていた。夜学に通わせる約束は守られず、休みもなく約束以下の給料で働かされた二人はガラス工場に戻る気はなかった。二人のために井上先生は浜松の紡織工場に足をのばすが、工場は休業中で新しい工員を雇うどころでないことを知る。だが幸い、井上先生たちの泊っている県人会宿泊所で逃亡事件を知った地元選出の塚本代議士の世話で四郎と誠は自転車工場に就職する。これは塚本にとって選挙区で宣伝になるのだった。
一粒の麦のネタバレあらすじ:悩む先生
夏。イチ子先生は早くもお腹に子供ができる。だが、校長と東京の職業安定所を訪れて疲れて帰った井上先生はイチ子先生と夫婦げんかになる。就職係をやっていたらすり減ってしまうと愚痴を言う夫にイチ子先生が、本当の教育者になってほしい、教壇で教えるだけが教育じゃない、あなたは足に地がついていないと言ったせいで。だが、そこに強の母がトマトをたくさん差し入れにもってきて、けんかは済んでしまう。
一粒の麦のネタバレあらすじ:強と香代
強はオート三輪車の運転免許を取った。工場のオート三輪に香代を乗せてドライブをする。海の側で二人の将来の夢を話す。ところが、香代が帰ると紡織工場が倒産した夕子が香代を頼ってたずねてきていた。一方、自動車修理工場では工場で整備したトラックが死亡事故を起こしたため警官たちが調べに来ていた。
夕子は連れ込み旅館の女中の仕事がみつかって香代の部屋を出る。自動車修理工場の経営は事故のせいで傾き、社長が廃業を決めたところに、強を香代が訪れ、院長が名古屋の大病院の跡を継ぐために名古屋に引っ越さなければならなくなったことを話す。
一粒の麦の結末:先生の決心
3月。強は名古屋に行く香代を駅に見送る。その日、体をこわしていた実は鉄工所を休職し故郷に帰ることになり、強は実の代りに鉄工所に就職することが決まる。だが、鉄工所で面接が済んだ直後、自動車修理工場の社長から電話が来る。強の母の死を告げる電報が届いたというのだ。
母の葬儀に現れなかった強を心配して、井上先生が上京して次男・権三・強のいる鉄工所の寮に来た。強はせっかく得た職を失わないために母の死を皆に黙っていたことを話す。福島に戻った井上先生は迎えに出た校長に来年の就職係をすることを言う。また集団就職のシーズンが来ていた。今年も録音された知事の声のする福島駅で、井上先生に引率された卒業生たちが列車に乗った。
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