ラヴェンダーの咲く庭での紹介:2004年イギリス映画。嵐の去った海辺に倒れていた謎めいた青年に想いを寄せるようになったアーシュラ、しかし戦争が近づく中、村に不穏な空気が流れ始める。
監督:チャールズ・ダンス 出演:ジュディ・デンチ(アーシュラ)、マギー・スミス(ジャネット)、ダニエル・ブリュール(アンドレア)、ナターシャ・マケルホーン(オルガ)、ミリアム・マーゴリーズ(ドルカス)、デヴィッド・ワーナー(ミード医師)、ほか
映画「ラヴェンダーの咲く庭で」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ラヴェンダーの咲く庭で」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「ラヴェンダーの咲く庭で」の予告編 動画
映画「ラヴェンダーの咲く庭で」解説
この解説記事には映画「ラヴェンダーの咲く庭で」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「ラヴェンダーの咲く庭で」のネタバレあらすじ:起・嵐の後で
海辺の崖の上にある館で悠々自適に暮らしていたジャネットとアーシュラの老姉妹、嵐が過ぎ去った後、妹のアーシュラは岩場に打ち上げられた人影を見つけた。彼がまだ生きている事を確かめると、自分たちの館で介抱すべく男手を呼び、ミード医師を呼んだ。
医師は、彼は疲労と足を骨折している事、そして言葉が通じないと姉妹に説明した。アーシュラが看病をしていると、目を覚ました彼は、ドイツ語で自分はポーランド人でアンドレアと名乗った。
村では彼の噂が酒場ですぐに広まった。
彼の他に、この村には外で絵を描く若い女性が滞在していた。
アーシュラは彼が休養している間に英語を教え、また、回復を始めた彼に服が必要だと、服を新調することにした。
やがて彼は松葉づえを使い、歩く練習を始めた。
「ラヴェンダーの咲く庭で」のネタバレあらすじ:承・青年の意外な特技
ラジオからは、大戦を予感させるニュースが流れ、アンドレアは海で溺れかけた事を断片的に思い出した。
ある日ジャネットがピアノを弾いていると、酷い音だと耳を塞ぐアンドレアにアーシュラが音楽が嫌いなのかと尋ねると、バイオリンの方がいいと言うので、村でバイオリンを持っているアダムに彼のために弾いてもらった。アダムのバイオリンを聞くと、アンドレアはバイオリンを貸して欲しいと頼み、素晴らしい曲を奏でた。外から画家の女性がブラボーと拍手を送った。
姉妹は町で彼のためのスーツとシャツ、ネクタイを揃えた。アンドレアはそのスーツを着て訪れた村の収穫祭で、件の画家の女性オルガと改めて挨拶をし、皆の前でバイオリンを披露した。
ある昼下がり、庭先で姉妹を前にバイオリンを弾いていると、オルガがやって来て、収穫祭で知り合ったのだと、二人に説明した。ジャネットはドイツ語で流暢に彼と話す彼女の名はロシアの名前だと、台所で不快感を露わにし、二人に花を摘んできてくれたアンドレアのためにも、彼とは英語で話そうとアーシュラと話した。
「ラヴェンダーの咲く庭で」のネタバレあらすじ:転・誘いの手紙
オルガから二人の元に、彼女はボリス・ダニロフという音楽家の妹で、アンドレアの才能を知りたいと言う旨の手紙が来た。試しにアンドレアにダニロフという名を聞いてみると、彼はマエストロだと言った。
ミード医師は、片田舎で若いオルガが絵を描いている事に興味を持ったが、邪険にされ、彼女の素性を訝しんだ。そして、足が治ったので、アンドレアを祖国に帰すように提案すると、彼は家族だと言う姉妹に、関係機関に連絡するように忠告した。ジャネットはオルガからの手紙を燃やし、先の大戦で愛しい人を亡くしているジャネットは、ラジオの不穏なニュースに警戒していた。
アメリカに渡る夢を持つアンドレアが、浜辺の漁師たちに聞いて回り、からかわれているのを見たオルガは彼を昼食へ誘い、アンドレアはそこで手紙を隠されていた事に怒った。オルガはバイオリンを弾いている姿を描きたいと申し出、二人だけの秘密にしようとした。しかしミード医師はアンドレアがオルガの家から出てくるところを目撃してしまった。
アンドレアに好意を寄せているアーシュラは、突然不愛想になった彼に不安に思った。
ミード医師は、よそ者二人が密会していると思い、その様子を監視していた。しかし中で行われているのは、アンドレアのスケッチ。兄にアンドレアの才能について改めて書き送った。アンドレアが館でダニロフの事を黙っていた事を怒ると、アーシュラは若いオルガと懇意にしている事を知り、自分の気持ちを抑え、庭で切った彼の髪をひと房大事に持っておくことにした。
「ラヴェンダーの咲く庭で」の結末:彼の去る時
ミード医師は、村の酒場でドイツ語で話すオルガとアンドレアをますます訝しんだ。ラジオからいよいよ戦争が始まると流れ、彼らはスパイなのではないかと老姉妹の所へ聞き込みが来た。その時アンドレアはオルガに呼び出され、電報でロンドンに兄が来ていると知ったオルガに連れられて、二人に告げず発った。後でそれを知ったアーシュラは泣き出し、思い出に耽りながら塞ぎこんでしまった。
しばらくしてロンドンから来た小包には、彼がダニロフに会い、ラジオで放送される事と、オルガの描いた肖像画が入っていた。当日、館には村の人々がラジオを囲み、姉妹はコンサートホールでそれを聞いた。拍手喝采を浴びる彼に会い、アーシュラは彼の髪を捨て、二人は元の生活に戻って行った。
以上、映画「ラヴェンダーの咲く庭で」のあらすじと結末でした。
「ラヴェンダーの咲く庭で」のレビュー・考察:不安の連鎖
保守的、閉鎖的な村社会に入り込んだ二人のよそ者、国籍は違うものの、二人が話すのはドイツ語。彼らは紛れもなく音楽家と画家だが、不穏な時代が彼らをまるでスパイでもあるかのように見せる。一種の集団ヒステリーのようにも見えるが、見ているこちらも最後まで穿って見ていたので、彼らの疑いが晴れた時、自分の思考が村社会の色眼鏡をかけていたことに気づかされる。
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