サンタ・サングレ/聖なる血の紹介:1989年イタリア映画。母親に操られ、次々と女性を殺害していく青年の狂気を描いたサスペンス・スリラー。サーカスで生まれ育ったフェニックスは、ある夜、父が母の両腕を切り落として自殺するというショッキングな現場に居合わせてしまった。心を病んだフェニックスは精神病院に入れられ成人を迎える。そんな彼の前に両腕の無い母が現れ、近付く女性全てを殺害しろと命令するのだった。監督は「エル・トポ(1969年)」「ホーリー・マウンテン(1973年)」等で知られるカルト映画の巨匠アレハンドロ・ホドロフスキー。
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー 出演者:アクセル・ホドロフスキー(フェニックス)、ブランカ・グエッラ(コンチャ)、ガイ・ストックウェル(オルゴ)、セルマ・ティゾー(刺青の女)、サブリナ・デニソン(アルマ)ほか
映画「サンタ・サングレ/聖なる血」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「サンタ・サングレ/聖なる血」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
サンタ・サングレ/聖なる血の予告編 動画
映画「サンタ・サングレ/聖なる血」解説
この解説記事には映画「サンタ・サングレ/聖なる血」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
サンタサングレ 聖なる血のネタバレあらすじ:血の惨劇
舞台はメキシコ・シティ、歓楽街の外れにあるにグリンゴ・サーカス。団長でナイフ投げの名手オルゴと、美貌の軽業師コンチャの間に生まれたフェニックスは、少年魔術師としてマジックを披露しています。オルゴは酒好きの女好きで浮気を繰り返し、コンチャはカルト宗教の信奉者ですが、フェニックスは両親を愛していました。
オルゴは最近サーカスに入った通称「刺青の女」を気に入っています。全身に刺青を入れた彼女は、聾唖[ろうあ]の養女アルマを連れていました。アルマは顔を白く塗って芸の稽古をしています。フェニックスは彼女に淡い恋心を抱いていました。コンチャは聖なる血を流した少女リリオを聖人として祀っています。リリオはレイプされた後両腕を切り落とされ、血の海に沈んだそうです。両親は少し変わっていましたが、2人もフェニックスのことを愛していました。
ある夜、ショーの最中にオルゴと刺青の女が浮気しているのを見つけたコンチャ。彼女は追ってくるフェニックスをトレーラーに乗せて鍵をかけ、浮気現場に乗り込みます。怒り狂ったコンチャはオルゴの局部に硫酸を浴びせました。怒りと激痛に染まったオルゴはコンチャの両腕をナイフで切り落とし、自分の首を掻っ切って自殺します。刺青の女は騒ぎになる前にアルマを連れて逃げてしまいました。一部始終を見ていたフェニックスは泣き叫び、あまりのショックに正気を失ってしまいます。
サンタサングレ 聖なる血のネタバレあらすじ:再会と復讐
精神病院に入れられたフェニックスは成人を迎えました。未だ心を病んだままの彼は、ある夜、治療の一環で街へ出かけます。そこで偶然刺青の女を見つけました。激しく動揺するフェニックスは、これをきっかけに正気に戻ったかのように振る舞います。病室に戻ると窓の外から自分を呼ぶ声がしました。覗いてみると、両腕の無いコンチャが立っています。病院を脱走したフェニックスは、導かれるようにコンチャの後をついて行きました。
その夜、刺青の女が赤い爪を持つ何者かによって惨殺されます。彼女の家には美しく成長したアルマもいましたが、無理やり売春させられそうになって逃げていたため、難を逃れました。フェニックスはサーカスにいた頃仲が良かった象使いのアラジンを捜し出し、コンチャと3人の暮らしを始めます。
サンタサングレ 聖なる血のネタバレあらすじ:コンチャの支配
フェニックスとコンチャは一心同体の芸でショーに出演します。フェニックスがコンチャの背後にぴったりくっついて立ち、まるで彼女の腕であるかのように自分の腕を動かす芸でした。赤い爪の腕を優雅に動かすフェニックス。2人のショーは「コンチャと魔法の手」と呼ばれ評判になっています。しかしフェニックスは大きな悩みを抱えていました。近付いてくる女性を全て殺害しろとコンチャに命令されているのです。整った顔立ちのフェニックスは言い寄られることも多く、最近は同じ劇場に出ているルビーという女性から誘われていました。
フェニックスは嫌がりますが、コンチャは自分の腕に命令しているだけだと厳しく言い放ちます。コンチャに操られたフェニックスは結局ルビーを殺害してしまい、深く傷つきました。これまでの犯行と同じようにルビーの遺体を墓穴に横たえ、その体を白く塗るフェニックス。彼は家でもコンチャの腕として自分を殺し、彼女に食事をさせたり身支度を整えたりしています。そしてリリオの像を祀った部屋でピアノの練習をさせられていました。
サンタサングレ 聖なる血のネタバレあらすじ:フェニックスの抵抗
苦悩しながらコンチャに操られるフェニックスは、セイントというレスラーの存在を知ります。地上最強の女と謳われる彼女は筋骨隆々で、成人男性が束になっても敵いません。セイントなら自分に殺されることはないだろうと考えたフェニックスは、彼女を自宅に作った劇場に招待しました。やはり現れたコンチャはセイントを殺せと命令します。フェニックスは苦しみながら「腕を折ってくれ」とセイントに頼みました。
フェニックスの正気を疑ったセイントは、飛び掛かる彼を返り討ちにして出て行こうとします。「剣を使うのよ」とコンチャに囁かれたフェニックスは刀で斬りかかり、セイントを殺害してしまいました。泣きながら遺体を埋めに行ったフェニックスの前に、今まで殺害してきた女性達の幻覚が現れます。真っ白い体の女性達に囲まれたフェニックスは「許してくれ」と膝をつき、泣き崩れてしまいました。
サンタサングレ 聖なる血の結末:真実と解放
フェニックスがフラフラと帰宅すると、思いもよらない人物が待っていました。昔のように顔を白く塗ったアルマです。彼女は「コンチャと魔法の手」のポスターを手掛かりに、フェニックスに会いに来たのでした。フェニックスは「君を待っていた」と呟きキスをします。しかしコンチャが現れ「手よ 彼女を殺せ」と命じました。コンチャの腕となりナイフを握ったフェニックスは必死に抵抗します。
そこへ、フェニックスがよく行く店の女性店員がやって来ました。フェニックスに恋をする彼女は半ば強引に夕食の約束を取り付けたのですが、ただならぬ場面に出くわし助けを求めて外に走ります。フェニックスはアルマに振り落そうとしていたナイフをコンチャに突き刺しました。やっと呪縛から逃れたフェニックスは「僕の前から失せろ!」と叫びます。コンチャは「私はお前の中にいる」と告げ、目の前から消えてしまいました。
フェニックスの頭の中で響くコンチャの笑い声。フェニックスは唐突に真実を思い出します。オルゴが自殺した夜、コンチャも死亡していたのです。フェニックスを操っていたコンチャは、フェニックス自身が作り上げた妄想でした。どこからともなくサーカス団のピエロが現れ、フェニックスを支えます。アルマがベッドまで導くと、そこに横たわっていたのはコンチャに似た人形でした。フェニックスはこれをコンチャだと思い込んでいたのです。
フェニックスが叩き壊した人形とリリオの像を、アルマが静かに燃やしました。アルマはフェニックスの手を取り、赤いネイルチップを1枚ずつ外していきます。フェニックスは自分の手を見つめ笑いました。幻覚のピエロ達と共に、アラジンも手を振りながら消えていきます。アルマに手を引かれ外に出ると、家は警察に囲まれていました。「手を上げろ」と言われたフェニックスは、恐る恐る腕を上げます。そして「僕の手だ」と感動し、この映画は終幕を迎えます。
以上、映画「サンタ・サングレ/聖なる血」のあらすじと結末でした。
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