サマー・オブ・84の紹介:2017年カナダ映画。80年代の米国オレゴン州。郊外の穏やかな住宅街で地元を騒がす連続殺人事件が勃発する。15歳のデイビーを中心とする親友4人組にとって事件は胸がワクワクする冒険であり、イベントでもあった。自分たちの手で殺人鬼の正体を暴くという彼らの野心は、図らずもおぞましい世界への扉をこじあけていくこととなる。単なるホラーにとどまらず、デイビーと仲間たちの友情、恋、家庭環境など子供目線で細やかに描かれた物語は、観る者をタイムスリップさせてくれる。監督を務めたのはROADKILL SUPERSTARS (RKSS)というユニット名で数多くの短編を手掛けたのち、SXSW映画祭最優秀観客賞などを受賞したフランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン・カール・ウィッセル。誰もが体験する好奇心に胸を膨らませた子供時代をノスタルジーとリアリティと共に描いた青春ホラー。
監督:RKSS(フランソワ・シマール/アヌーク・ウィッセル/ヨアン=カール・ウイッセル) 出演:グラハム・バーチャー(デイビー・アームストロング)、ジュダ・ルイス(トミー・‘イーツ’・イートン)、コリー・グルーター=アンドリュー(カーティス・ファラディ)、カレブ・エメリー(デール・’ウッディ‘・ウッドワース)、ティエラ・スコビー(ニッキー)、リッチ・ソマー(マッキー)ほか
映画「サマー・オブ・84」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「サマー・オブ・84」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
サマーオブ84の予告編 動画
映画「サマー・オブ・84」解説
この解説記事には映画「サマー・オブ・84」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
サマーオブ84のネタバレあらすじ:起
"連続殺人鬼も誰かの隣人だ"
主人公である15歳の少年デイビー(グラハム・バーチャー)のナレーションで幕を開けます。
1984年、オレゴン州郊外にあるイプスウィッチという静かな住宅街。ここに暮らすデイビーはミステリーやオカルト好きな少年です。彼には3人の親友がいます。革ジャンが似合う少し不良のイーツ(ジュダ・ルイス)、心優しい太っちょのウッディ(カレブ・エメリー)、化学が得意な頭のいいオタク君ファラディ(コリー・グルーター=アンドリュー)です。昼間は自転車でつるみ、夜は鬼ごっこをして遊んだり、アジトの小屋でアダルト雑誌に夢中になったりと、4人はいつも一緒でした。
しかしこの年の夏、イプスウィッチの住民たちを震え上がらせる出来事が起こりました。近隣の町で次々と、同世代の子供が行方不明になるという事件が発生したのです。テレビや新聞では連日に渡り、子供の目撃情報を募りますが成果は出ず、犯人も野放し状態でした。
サマーオブ84のネタバレあらすじ:承
そんなある日、事件は急展開します。
デイビーの父親が務める新聞社に“ケープメイの殺人鬼”を名乗る人物からの手紙が届いたのです。すぐにイプスウィッチ警察による記者会見が開かれました。手紙には『少年13名と大人2名を殺害する』と予告をほのめかす内容が書かれていたとのこと。この衝撃的なニュースはあっという間に住民に広がり、人々に緊張が走ります。
ところが、デイビーの反応は異なりました。かねてから都市伝説や陰謀論に夢中だった彼は興奮を隠せません。まさか自分の住む町で本当の連続殺人事件が起こるとは!さらにデイビーは衝撃を受けました。牛乳の紙パックに印刷されていた失踪中のダスティ少年を見たときに、ほんの数日前にお向かいに住む警官マッキー(リッチ・ソマー)と一緒にいるのを目撃したことを思い出したのです。
デイビーはすぐさま仲間を集めると「連続殺人の犯人はマッキーだ」とこれまでのことを話しました。マッキーは愛想のいい警官で顔見知りだったため、仲間たちには信じがたい気持ちがありましたが、公表されたプロファイルも一致し、確信を持って話すデイビーにも説得力があり、皆も少しずつ心を動かされていきました。
サマーオブ84のネタバレあらすじ:転
早速、翌日から“打倒マッキー作戦”を開始した4人。
トランシーバーを使って連携を取り、張り込みをしたりゴミを漁るなどしてマッキーの行動パターンをくまなくチェック。その中で、マッキーがホームセンターで大量の土やシャベルを購入していることがわかりました。いよいよ怪しくなってきたマッキーに対して、小さな捜査官たちも証拠探しに力が入ります。
そんな中、デイビーは憧れの美少女ニッキー(ティエラ・スコビー)との距離を縮めていきました。彼女は両親の離婚がきっかけで近々町を出ていくことになっていました。デイビーは別れを惜しむ気持ちから、捜査中の秘密をニッキーに打ち明けます。
その後、具体的な証拠が見つからず、捜査は難航。もはやここまでかと思われたその時、深夜にマッキーを尾行していたウッディとファラディが貸倉庫の存在を突き止めます。そこには動物の死骸の腐敗臭を抑制するために使われる水酸化ナトリウムの袋がありました。
一方、デイビーとイーツはマッキーの家に侵入し、物置で血痕が付着したTシャツを発見しました。失踪中のダスティが着ていたMTVのロゴが入ったシャツでした。
ついに証拠をそろえた4人はデイビーの両親にすべてを話します。
ところが、両親からはこっぴどく怒られてしまい、マッキーに直接謝罪するはめになってしまいました。それでも疑いを拭い去ることのできないデイビーでしたが、その表情を見てマッキーは、ダスティだと言う少年は自分の甥だと説明しました。結局、疑う気持ちは晴れないまま、両親から当面の外出を禁じられてしまうデイビー。仲間たちも捜査を降り、作戦は中止になりました。
サマーオブ84の結末
それから間もなく、イプスウィッチ警察が重大発表を行いました。
ついに“ケープメイ殺人鬼”を捕まえたとのこと。しかも犯人を逮捕したのはマッキーでした。マッキーは一躍地元のヒーローとなり、住民にも安心のムードが訪れます。
しかし、この吉報を前にしてでもデイビーは一人自説を曲げません。最後の頼みとして、仲間を強引に説き伏せて、イプスウィッチの住民たちが集まり盛り上がるお祭りの日に、マッキー宅へ侵入することを持ち掛けます。イーツとファラディが監視している間にデイビーがカメラを携えウッディと共に侵入する計画です。今回はニッキーも参戦しました。
きっと地下室にマッキーが犯人である決定的な証拠があるはず。そう確信しながら恐る恐る、地下室の扉を開いてみると…そこにはバスタブで薬品に漬けられている死体と、まだ息のある失踪中の少年がいました。やはりデイビーがにらんだ通り、殺人鬼はマッキーだったのです。デイビーたちは急いで少年を救助すると、両親とともに証拠となるビデオテープを警察へ提出しました。
これを機にマッキーは姿をくらまし、警察は必死に捜索をします。
デイビーは少年の命を助けることができた安心感もありましたが、冒険心からはじめた探偵ごとが、思わぬ事件に発展し、複雑な気持ちでした。
うとうとと眠りについたその時、何者かが侵入。薬品でデイビーの口をふさぎ、泊まっていたウッディと共に連れ去られてしまいました。2人が目を覚ました場所は、何も見えない暗い森。
恐怖にかられながら一刻も早くこの森から脱出しようと2人は走ります。そこへパトカーの拡声器から「お前たちの好きなゲームをしよう」という声が聞こえてきました。その声の持ち主はマッキーです。
いとも簡単にウッディは首を切られて殺されてしまいました。デイビーも足を切られて捕まってしまいます。絶対絶命の状況。しかしマッキーは、死の恐怖におびえるデイビーを前にとどめを刺さず「恐怖を味わって生きるがいい」と手を放し、そのまま消えていきました。
後日、町を出るニッキーを見送りながら、これまで通り自転車に乗るデイビーの姿がありました。
見た目に温かそうな家庭や人。しかし扉の向こう側のことは誰にも分からない。デイビーは恐怖のトラウマを抱えながら、穏やかに生活をしている人々の中に潜む悪魔を感じていたのでした。デイビーのナレーションで幕を閉じます。
"連続殺人鬼も誰かの隣人だ"
以上、映画「サマー・オブ・84」のあらすじと結末でした。
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