夜の女たちの紹介:1948年日本映画。戦後の焼跡にあらわれたパンパン(売春婦)を扱った作品で、溝口監督としては珍しく社会派的な内容となっている。主演は戦後の溝口作品に欠かせない田中絹代。音楽にベートーヴェンの「運命」が使われている。
監督:溝口健二 出演:田中絹代(大和田房子)、高杉早苗(君島夏子)、角田富江(大和田久美子)、永田光男(栗山謙造)、村田宏寿(病院長9、ほか
映画「夜の女たち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「夜の女たち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「夜の女たち」解説
この解説記事には映画「夜の女たち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
夜の女たちのネタバレあらすじ:起
戦後すぐの大阪は西成。「日没後、この付近で停立または徘徊する女性は闇の女と認め、検挙する場合があります」と札が立っています。バラックの間を歩いてきた大和田房子は古着屋に入ると、持ってきた着物を現金に替えます。焼け出された後、房子は結核の子供を抱えて困窮していました。彼女の夫は戦地からまだ帰ってきません。両親や妹の夏子は朝鮮半島で終戦を迎えたものの消息不明です。
姑や義理の妹の久美子と同居しながら、彼女はこうして手元の着物を売り払ってなんとか暮らしを立てていました。疲れた顔の房子に、古着屋の女主人が「お金が入用なら、エエ話がおまっせ」とささやきます。まともな仕事だと思った房子はその話に応じる気になりますが、すぐに体を売ることだと分かり、腹を立てて店を出ていきます。
夜の女たちのネタバレあらすじ:承
やがて、房子はラジオの放送で夫の消息を知る元兵士の存在を知り、姑とともに栗山商会という淀橋の会社を訪ねます。しかし房子へもたらされたのは、夫がソ連の収容所で死亡した、という知らせでした。しかも直後に子供も血を吐き、看病の甲斐もなく死んでしまいます。
房子は全ての希望がなくなったようで呆然としますが、そんな時に彼女を助けたのが栗山商会の社長・栗山です。天下茶屋のアパートに引っ越し、彼の秘書となった房子はその後、内地へ引き揚げてきていた夏子と街角で再会します。夏子はダンサーをやっていました。
すぐに姉妹は一緒に暮らし始めますが、実は房子は栗山と体の関係ができていて、将来は結婚するつもりでした。ところが漁色家の栗山は夏子にも手を出し、房子は絶望。アパートを飛び出し、古着屋の女主人の手引きでパンパンになってしまいます。
夜の女たちのネタバレあらすじ:転
心配した夏子は姉が阿倍野で街角に立っていたと聞き、様子を見に行きます。しかしパン助に間違われて警察に逮捕され、性病検査のために病院へ送られることに。幸い、そこに房子も収容されていました。房子は心配顔の夏子を罵りますが、翌朝、夏子が梅毒に感染し、しかも妊娠していると分かってショックを受けます。
夏子は病気を治して子供を産むと宣言。それを聞いた房子はいたたまれない気持ちになって病院を脱走し、売春業を続けます。一方、アパートに戻った夏子は栗山に妊娠を告げるものの、部屋に現れた警察によって栗山が逮捕されてしまいます。阿片の密輸の確証があがったのです。夏子は一人で取り残され、やけくそになって色々な男と関係を持ちます。
夜の女たちの結末
房子は久しぶりにアパートを訪れてその事情を知り、妹と一緒に千里山にある婦人保護寮へ。夏子はその途中で産気づき、赤ちゃんを生みますが、結局梅毒のせいもあって死産でした。その後、房子は縄張りを荒らして勝手に商売していたパンパンがリンチされている現場に遭遇。そのパンパンはなんと義妹の久美子でした。
彼女は家出して男に騙された挙げ句、パン助になっていたのです。清純だった頃を知っているだけに久美子の今の姿は房子に衝撃を与え、彼女をかばいながら号泣。久美子も声を上げて泣き出し、房子の「帰ろな」という言葉に頷きます。
周りのパンパンたちは足を洗おうという房子の方にも暴力を振るいますが、房子に同情した仲間がリンチをやめさせ、房子と久美子はその場からなんとか逃げ出します。
以上、映画「夜の女たち」のあらすじと結末でした。
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