傷ついた男の紹介:1983年フランス映画。暴力的な男に惹かれる孤独な青年の姿を描くドラマ作品。18歳の青年アンリは、いつも無気力で寂しげな様子だった。そんなある日、妹を見送りに行った駅で暴力的な男ジャンに出会う。彼の鮮烈さに惹かれたアンリは、昼となく夜となくジャンを探し求めるようになった。やがて自身も暴力的な衝動に突き動かされ、破滅的な愛に溺れていく。監督パトリス・シェローと共同脚本を務めるのは、『ぼくの命を救ってくれなかった友へ』で知られるエルヴェ・ギベール。
監督:パトリス・シェロー 出演者:ジャン=ユーグ・アングラード(アンリ)、ロラン・ベルタン(ボスマン)、ヴィットリオ・メッツォジョルノ(ジャン)、リサ・クロイツァー(エリザベト)、クロード・ベリ(客)ほか
映画「傷ついた男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「傷ついた男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
傷ついた男の予告編 動画
映画「傷ついた男」解説
この解説記事には映画「傷ついた男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
傷ついた男のネタバレあらすじ:暴力的な男
舞台は1982年のフランス、とある地方都市の郊外。18歳の孤独な青年アンリは、バカンスに出発する妹を見送るため、両親と一緒に駅に来ていました。アンリは友人もおらず、やりたいことも無いので、いつも無気力な空気を纏っています。バカンスに乗り気でない妹、無関心な父親、口うるさい母親。家族といても心が動くことはありません。
待合室で時間を潰していたアンリは、ふと自分を熱烈に見つめている男の存在に気付きました。彼の名前はボスマン。気味悪く思ったアンリが移動しても、さり気なく、しかし確実に後をついて来ます。逃げるように入ったトイレで、アンリは思わぬ事件に遭遇しました。
1人の暴力的な男が、床に座り込んだもう1人の男に酷い暴行を加えていたのです。暴力的な男の名はジャン。彼はアンリに気付くと、ナイフで脅して身分証を提示させました。更に無理やり暴行に加わるよう怒鳴ります。混乱するアンリは、次の瞬間ジャンに激しいキスをされました。
ジャンは驚きから立ち直れないアンリを置いて姿を消してしまいます。魂を抜かれたような足取りでアンリは両親と合流し、帰宅することにしました。途中でジャンとボスマンが一緒にいるところを目撃します。
傷ついた男のネタバレあらすじ:ジャンを求めて
アンリはジャンの強引なキスを忘れられなくなっていました。ジャンに会いたい一心で駅へ向かうと、ボスマンが現れます。アンリはジャンについて尋ねましたが、ボスマンは詳しいことは教えてくれませんでした。
アンリは熱病にかかったようにジャンを探し求めます。ある夜、また駅に向かったアンリは偶然ジャンと再会しました。嬉しさと驚きに震えるアンリを、ジャンは愛人エリザベトの部屋に連れて行きます。ジャンはアンリのことを駅で会っただけの子どもと説明し、その夜は3人同じ部屋で眠ることになりました。アンリは何も言わず、囁き合うジャンとエリザベトの声から逃れるように眠りに就きます。
傷ついた男のネタバレあらすじ:翻弄されるアンリ
翌日、ジャンはアンリを駅に連れ出しました。自分のことを警察官だと言うジャンは、アンリにおとりをやれと指示します。買春している老人とホテルへ行き、罰して金を奪うという計画でした。手を出されそうになったら必ず助けると約束するジャンを信じ、アンリは老人をホテルに誘います。
しかしアンリが強姦されそうになってもジャンは現れません。何とかアンリがホテルの外へ逃げ出すと、ジャンは別の男達と談笑している最中でした。アンリはその場を走り去り、自宅に戻って母親から金をむしり取ります。
その後、ジャンを探しましたが、彼はどこにもいませんでした。エリザベトの部屋も空振りです。彼女の好意に甘えて少し眠ったアンリは、ジャンの服を着て外へ出かけていきました。
傷ついた男のネタバレあらすじ:転落する青年
ジャンを求めるアンリ。しかし彼の前にジャンは現れません。アンリはパリからやって来たという21歳の青年に声をかけ、2人で激しいキスを交わしました。アンリは繊細さを失い、ジャンに感化されたように暴力的になっていきます。
それを見咎めたボスマンは、苦渋の決断として、アンリを自宅へ連れていくことにしました。彼の屋敷は居候が勝手に寄って来るそうで、その中にジャンもいました。ジャンはアンリを強引に押し倒し、ボスマンに見せつけるように抱こうとします。アンリに好意を抱くボスマンは「やめろ!」と叫びました。
ジャンはボスマンに暴行を加え、アンリと共に夜の街へ飛び出します。ジャンを失いたくないアンリは泥棒に入ろうと言い出しました。金で引きとめようとしたのです。しかしジャンは泥棒に入っている最中、アンリの身分証をこっそり抜き出し、それを故意に落として姿を消しました。
憔悴したアンリが帰宅すると、家は緊張した沈黙に包まれています。アンリの身分証が発見され、警察が来たらしいのです。冷たく質問する父親に、アンリは何も答えず家を出ました。
傷ついた男の結末:暴力的な愛の果て
アンリはフラフラと娼館へ向かいます。店内には驚き、悲しむような表情を浮かべるボスマンの姿がありました。彼はアンリを連れ、奥の個室の前に立ちます。ドアの向こうでは、全裸のジャンが睡眠薬を服用して深い眠りに落ちていました。
「任せる」とボスマンに背中を押され、アンリは部屋の中に入ります。アンリは眠っているジャンを見下ろし、服を脱いで全裸になりました。ジャンに抱きつき、激しい愛撫を繰り返します。そしてアンリは眠るジャンの首を絞めて殺害しました。遺体を抱きしめたアンリが涙を流し、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「傷ついた男」のあらすじと結末でした。
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