ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~の紹介:2015年フランス映画。パリ・オペラ座の芸術監督に就任したミルピエ。来るシーズンへの新作づくりと、彼の求めるバレエ団の改革に迫る。フランスの歌劇場、パリ・オペラ座が公式にプロデュースしたドキュメンタリー作品。
監督:ティエリー・デメジエー、アルバン・トゥルレー 出演:バンジャマン・ミルピエ、レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン、アクセル・イーボ、エレオノール・ゲリノー、レティツィア・ガローニ、マリオン・バルボー、オーレリー・デュポン
映画「ミルピエ パリ・オペラ座に挑んだ男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミルピエ パリ・オペラ座に挑んだ男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~の予告編 動画
映画「ミルピエ パリ・オペラ座に挑んだ男」解説
この解説記事には映画「ミルピエ パリ・オペラ座に挑んだ男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~のネタバレあらすじ:起・新しい芸術監督
20年勤めたB.ルフェーブル氏の後継者として、NYシティバレエから来たバンジャマン・ミルピエは芸術監督として、初めてのシーズン。2015年9月24日、オペラ座ガラ公演で33分の新作を発表するために構想を練り始めた。
16人のダンサーは、情熱的でやる気に満ちている事、そしてエトワールではないコール・ド・バレエを踊る若手を選んだ。音源はあるが楽譜が届かず、何拍子か定まらないままリハーサルを開始、同時に元ダンサーのアシスタント、ヴィルジニアとインタビューや取材などのスケジュールも詰め始めた。
パリ・オペラ座という大きな組織は、物事を決めるのは大変だが、豊富な予算で創作できるというメリットがある。設備不足の面を、自身が持ち込んだ携帯端末やパソコンで補いながら、来たるシーズンのための準備を開始した。同じ頃、ミルピエはオンラインでサードステージを開設し、SNSに予告動画の投稿を始めた。アクセスはたちまち10万件に上った。
ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~のネタバレあらすじ:承・ミルピエと新しい波
リヨンのコンセルヴァトワールで寄宿舎暮らしをして踊りを学んだバンジャマン・ミルピエ。ダンスにリズムと踊る喜びを求めるのは、ダカールで暮らしていた事にも起因するだろう。また、コンテンポラリーダンスで自己表現を学んだ。ダンスは技術だけでなく、感性と、空間や時間に関する鋭い感覚が必要になる。かつてバレエのドキュメンタリーを見てバレエ学校を怖がっていた少年が、今はバレエ団の芸術監督をしているというのはなんとも不思議な事だ。
就任して7ヵ月が経ち、まだオペラ座の構造に慣れないまま、一連の動きのリハーサルを開始。大道具の手配や衣装デザインも開始された。
ミルピエは、パリ・オペラ座の入団の難しさ、オーディションや昇進試験、階級構造などからダンサーたちが常に競争し、不安を抱えている事を危惧し、着任の年は多様性を重んじ、団員を採用した。それまでパリ・オペラは白人しか採らなかった事は、ミルピエにとってバカげた差別だった。
ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~のネタバレあらすじ:転・ダンサーとの関係
ミルピエが着任したのはパリ・オペラ座のエトワール達が引退した転換期、次のエトワールの任命するのはミルピエだった。注目しているのは、マリオン、アレクセイ、レティツィア、ジェルマンの四人だった。
パリ・オペラ座は、フランスの伝統にこだわらないミルピエの着任で、教育方針から何から迷子状態だった。しかしミルピエは、世界一のバレエ団という幻想にとらわれていると断じ、現状にも満足してはいなかった。
ミルピエは常にダンサーの怪我や筋肉痛に気を配り、身体のケア、労わり方をを教え、キャリアを楽しみ、リタイアをした時に後悔しないように、安全や回復を優先していた。着任時に、まず床を張り替え、ダンサーにとって良い環境を整えようと尽力していた。その改革には批判もあったが、寛容な精神を忘れず突き進んだ。
そして、ミルピエが注目していたレティツィアは、オペラ座史上初めてのハーフのダンサーとして『リーズの結婚』の主役に抜擢した。
ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~の結末:ガラ公演まで秒読み
新作のタイトルが『クリア、ラウド、ブライト、フォワード』に決まった。
作曲者のニコを交え、オーケストラとのリハーサルも始まり、曲の概要やニュアンスをメンバーの全員に伝え、肩の力を抜いて自由に動くようにと話した。シーズン開始間近の一週間後に完成のめどが立ち、ポートレート写真撮影をした頃、オペラ座の技術者たちがプレミア公演に合わせてストライキをする予告をし、二公演が中止になった。
それでもミルピエはガラ公演だけは無事に行おうと、通し稽古、ステージでの調整、指揮者と、ニコによる演奏の最終チェック、照明や舞台美術、衣装の調整を着々と行い、本番と同じ状態でのリハーサルに辿り着いた。
そして前日、16人のメンバーに、オペラ座の現状を語り、今までの努力は自分の喜びのため、舞台では踊る喜びを味わうように、そしてコンテンポラリーとクラシックを区別しないで同じように挑むようにと言葉を贈った。
ガラ公演は無事開幕し、大喝采を浴び、舞台袖でミルピエはメンバーたちを褒め、カーテンコールに送り出した。
この四カ月後、バンジャマン・ミルピエは、パリ・オペラ座バレエ団の芸術監督を辞任した。
以上、映画「ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~」のあらすじと結末でした。
ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~のレビュー・考察:ミルピエの感性
世界最高峰のバレエ団と名高い、パリ・オペラ座。それに対して、世界各地での経験を持つミルピエは保守性や旧態然とした仕組みに疑問を呈し、劇的に改革していく。同時に新作の振付を行い多忙を極めた事は想像に難くない。着任していた時期こそ短いがミルピエが残した物は多い。何より、彼が注目していた四人のうちの一人、ジェルマン・ルーヴェが後にエトワールの一人となったのは、ダンサーを見る目の確かさを証明するにはじゅうぶんだと思う。
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